ワイナリー 2021.05.07
林 亨(はやし りょう)
William Hill Estate Winery
1976年にWilliam (Bill) Hillウィリアム・ヒルによってSilverado Benchに設立されたカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネに焦点を当てたWilliam Hill Estate Wineryウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーの歴史と功績をご紹介します。
ウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーについて
オクラホマ州出身の
William (Bill) Hillウィリアム・ヒル はStanford Business Schoolに通う為にサンフランシスコベイエリアへ移住。1974年12月にビジネスの修士号を取得したウィリアム・ヒルは自分が進むべき道は農業関連産業にあると確信していました。
そこで当時、急成長し始めた新興のワインビジネスで自分の地位を確立しようとナパへ移住しブドウ畑の開発に着手しました。ワインの世界に魅了されたきかっけはヨーロッパ旅行、特にブルゴーニュで過ごした時間が大きく影響しています。
1976年にMt.Veederで200エーカーの土地(うちブドウ畑は140エーカー)を購入し最初のワインを造りましたが、リリースはしませんでした。
翌年、自身の名前を冠したラベルでワインをリリース。これがWilliam Hill Estate Wineryウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーの始まりです。
当初は他のワイナリーを間借りしてワインを生産していましたが、
1980年代後半に現在のワイナリーをナパバレー南部Silverado Trailに建設し、本格的に始動します。
その後10年以上にわたって安定した成長を続けるウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーでしたが、創業当初、資金不足から様々なパートナーと手を組み資金を集めていた中で、何人かのパートナーがしばしば問題を起こすようになりました。
そして1992年にウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーを米国の大手ワインマーケティング会社Wine Allianceへ売却。William (Bill) Hillウィリアム・ヒルは1994年にナパバレーで最高の立地を見つけBighorn Cellarsとして再始動しました。
E.& J.Gallo Winery傘下となるウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリー
1992年にウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーが売却されてから何度か所有権の移転がありましたが、2007年にはBeam Wine Estates(2005年にウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーを買収)からE.& J.Gallo Winery社へ売却されました。
E.& J.Gallo Winery社はカリフォルニア州モデストを拠点とし、Louis M. MartiniやPahlmeyer、Talbott Vineyardsを所有する全米第2位のワイン会社です。また、直前の所有者であったBeam Wine Estatesはカリフォルニア、オーストラリア、ニュージーランドのワインブランドやヨーロッパのポート、シェリーのブランドを所有し輸入しています。
リリースワイン一覧
ウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーではナパバレー南部のシルバラード・ベンチでカベルネ・ソーヴィニョン主体のレッドブレンドとシャルドネを中心に生産しています。ここでは各シリーズの中のレッドブレンドの詳細をご紹介します。
Benchmark
自社畑の最高級のブドウ畑の中でも厳選されたブロックから収穫されたブドウで造られており、ウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーのポートフォリオの中で最高峰のワインです。
Winemark's Series
ワインメーカーのMark Williamsのビジョンを反映した小ロットのワインで、100%自社畑で且つ100%カベルネ・ソーヴィニョンで造られます。
Benchland Series
自社畑とナパバレーの最高級のブドウ畑の中でも厳選されたブロックから収穫されたブドウで造られており、エレガントでリッチな味わいで、凝縮された果実味と幾重にも重なる複雑さを持っています。
Napa Valley Collection
ナパバレー全体で収穫されたブドウをブレンドして造られるアペラシオンワインです。
Coastal Collection
ノースコースト(レイク群とソノマ郡)で収穫されたカベルネ・ソーヴィニョン100%で造られるワインです。
近年のウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリー
大手E.& J.Gallo Winery傘下となって再始動を遂げたウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーは
2014年にMark Williamsをワインメーカーとして迎え入れます。
Mark Williamsはカリフォルニア大学デービス校のブドウ栽培教授である父の研究用テーブルブドウの収穫を手伝いながら育ちました。自身もカリフォルニア大学フレズノ校でブドウ栽培と醸造学を学びました。Mark Williamsのワイン造りのキャリアは、オーストラリアからカリフォルニア(Bridlewood Estate Winery、Louis M. Martini他)まで、世界中に広がっています。
2017年にはシニアワインメーカーに昇進し現在のウィリアム・ヒル・エステート・ワイナリーのワイン造り全般を管理しています。
ワインテイスティングレポート
Reserve 1986 vs Gold Label 19822021年4月29日
William Hill Napa Valley Cabernet Sauvignon Reserve 1986
干しプラムの香りと枯れ葉や杉のニュアンスも取れる。味わいは甘みはほぼ感じ取れず酸味が非常に強く、タンニンは感じ取れない。完全に飲み頃が過ぎており、且つ酸味が非常に強いので、もはやワインである事すら判別できない可能性がある。
William Hill Napa Valley Cabernet Sauvignon Gold Label 1982
干しプラムの香りと葉巻、タール、ブラックカラントのニュアンスが取れる。また、スミレの香りとスモーキーな印象も感じ取れる。味わいはこちらも飲み頃が過ぎている事が予想され、味わいは甘みはほぼ感じ取れず酸味が非常に強く、タンニンは感じ取れない。
本来であればGold Labelの方が圧倒的に格上だろうと予想が付くがどちらもワインとして飲めるレベルではないという印象でした。
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