Duckhorn Vineyards(ダックホーン・ヴィンヤーズ)

ダックホーン・ヴィンヤーズ(Duckhorn Vineyards)

ナパバレーの多くの生産者がカベルネ・ソーヴィニョンを中心としたワインの生産に注力している中でいち早くメルロー品種に着目し、Duckhorn Vineyards Napa Valley Merlot Three Palms Vineyard 2014でWine Spectator’s 2017 Wine of the Yearに輝いたセントヘレナのDuckhorn Vineyardsダックホーン・ヴィンヤーズの歴史と栄光の軌跡をご紹介します。

ダックホーン・ヴィンヤーズの歴史

左:Margaret Duckhorn 右:Dan Duckhorn
参照元:duckhorn.com

サンフランシスコで生まれたDan Duckhornは、カリフォルニア大学バークレー校でコーポレート・ファイナンスの学士号と修士号を取得しました。一方、Margaretはカリフォルニア大学バークレー校でDanと出会います。

偶然にもDanの父はセバストポリでチェリーワインを造り、Margaretの母方の曾祖父はカリフォルニア州ストックトンでワイナリーを経営していました。

DanがサンフランシスコのCrocker Associatesというソフトウェア会社に勤務している時に、ブドウを温室で管理する事業を別会社として立ち上げる事になりナパバレーに頻繁に出向くようになりました。

やがて、DanとMargaretはこの地域に惚れ込み1973年に移住し1976年にDuckhorn Vineyardsダックホーン・ヴィンヤーズを設立。1978年にはメルローの産地として名高いフランス・ボルドー地方右岸ポムロールとサンテミリオンへ出向き、現地を調査。更に右岸の頂点に君臨するシャトー・ペトリュスも視察しました。

Danは使用する樽の種類を始め、様々なテクニックを研究しました。最初のヴィンテージは同年1978年でメルローとカベルネ・ソーヴィニョンを800ケースずつ生産しました。カベルネ・ソーヴィニョンはHowell MountainのBeatty RanchとSteltzner Vineyardsで収穫されたブドウを、メルローはThree Palms Vineyardを使って造られました。

1981年になると敷地内にある10エーカーの土地にソーヴィニョン・ブランとセミヨンを植えMarlee’s Vineyardと名付けました。

次々に幅を広げていくダックホーン・ヴィンヤーズのラインナップ

ダックホーン・ヴィンヤーズでは自社ブランドの下で様々なワインを展開するのではなく、それぞれのワインの為に別々のブランド、ワイナリーを設立していくという手法を展開していきました。

1985年になるとダックホーン・ヴィンヤーズで使われなかったブドウで造られるセカンドワインDecoy Winesデコイ・ワインズをリリースします。更に1995年にはKorte Vineyardの樹齢100年のブドウの木から4トンのジンファンデルを調達し、ダックホーン・ヴィンヤーズのカベルネ・ソーヴィニョンと少量のメルローとプティシラーとブレンドしてParaduxxパラダックスをリリース。

後に1,400万ドルの費用を投じて独自のブランドでワイナリーを建設しました。創業以来、ボルドー品種に傾倒してきたDanとMargaretは自分たちのピノノワールへの関心が高まっている事に気付き始めていました。1996年になると小さなワイナリーとブドウ畑を含む80エーカーの物件をAnderson Valleyで見つけ、購入します。

ここでは世界クラスのピノノワール造りに特化する目的で新たにGoldeneye Wineryゴールデンアイ・ワイナリーという名の新ブランドで始動しました。ダックホーン・ヴィンヤーズの展開はまだ終わりません。

2001年にはソノマ郡のピノノワールとシャルドネに焦点を当てたブランドMigration Winesマイグレーション・ワインズを立ち上げます。

The Duckhorn Portfolio

The Duckhorn Portfolio
参照元:duckhornwineshop.com

転機を迎えるダックホーン・ヴィンヤーズ

Canvasback Wine

Canvasback Wine
参照元:canvasbackwine.com

ダックホーン家の離婚問題と株主構成の複雑化が原因となり、2006年にダックホーン・ヴィンヤーズの株式をプライベート・エクイティ・ファンドのGI Partnersに売却しました。

新たな経営体制になると2012年にナパバレー産の最高級のブドウを使ってシャルドネのリリースを実現します。
更に同年2012年にはワシントン州の高品質なカベルネ・ソーヴィニョンに着目しCanvasback Wineキャンバスバック・ワインを設立します。そして2015年にはダックホーン・ヴィンヤーズのフラッグシップとなっていたメルローの供給源Three Palms VineyardをJohn and Sloan Upton兄弟から購入し万全の状態に整えます。
※実は創業以来リリースされているThree Palms Vineyardのメルローは自社畑で収穫されたブドウではありませんでした。

新体制となったダックホーン・ヴィンヤーズの勢いは止まりません。

自社畑(エステート)一覧

当初、ダックホーン・ヴィンヤーズでは買いブドウ中心にワインを造っていましたが1980年代後半から自社畑の購入を積極的に進めました。以下に各保有畑の詳細をご紹介します。

Vineyard Map

Vineyard Map
参照元:duckhorn.com

Three Palms Vineyard
1978年の初ヴィンテージ以来、ダックホーン・ヴィンヤーズのフラッグシップであるMerlot Three Palms Vineyardの供給源となっているこの畑は、3本の象徴的なヤシの木に因んで名付けられました。また、この土地は痩せた土壌を特徴としており、ブドウの木が栄養分を求めて深く根を張る事で複雑な果実味とミネラルの層を持つ濃厚で熟成に値するワインを生み出しています。
Marlee's Vineyard
Margaret Duckhornに敬意を表して名付けられたこの畑はワイナリーの敷地内にあり、ダックホーン・ヴィンヤーズで初めてブドウが植えられた畑です。また、豊かで水はけの良い砂質ロームの土壌は、ソーヴィニョン・ブランとセミヨンの栽培に理想的な場所となっています。
Stout Vineyard
1998年に取得されたハウエル・マウンテン・アペラシオンの標高約2,080フィートに位置する36エーカーのこの畑はダックホーン・ヴィンヤーズの自社畑の中でも最も古いカベルネ・ソーヴィニョンが植えられており、樹齢30年近くになるこれらのブドウの木からは、稀有な個性と複雑さを持つブドウが生み出されます。
Monitor Ledge Vineyard
1992年に取得されたSelby Creekに位置する43エーカーのこの畑は石畳と砂利質の砂質ロームで構成されており、痩せた土壌の中で水は急速に排水され、ブドウの木が成長するのに苦労する事から果実味と骨格の強いワインを実現します。
Rector Creek Vineyard
1994年に取得されたヨントビルの北、Paraduxx Wineryに隣接する39エーカーのこの畑にはメルロー、カベルネ・ソーヴィニョン、ジンファンデル、プティ・ヴェルド、シラー、カベルネ・フランが植えられており、岩の多い沖積土の土壌から濃厚な果実味を持つワインが造り上げられます。
Patzimaro Vineyard
1989年に取得されたセントヘレナの西側、スプリング・マウンテンの麓に位置するこの畑は長年ダックホーン・ヴィンヤーズでセラー兼畑の管理者として従事してきたHurtado familyの故郷メキシコに因んで彼らの勤勉さと献身に敬意を表して命名されました。日中の気温が高く、ブドウを完熟させ、夕方の涼しい風と霧が、バランスの取れたエレガントで骨格のあるワインを造り上げます。
Cork Tree Vineyard
2005年に取得された自社畑の中でも最も南端で冷涼な場所にあるこの畑は水はけが良く深さのある素晴らしい土壌と西側の丘陵地帯の露出という好条件からメルローの栽培に最適な土地となっています。ブドウの木の間に成長するコルク・オークに因んで名付けられました。
Candlestick Ridge Vineyard
1997年に取得されたハウエル・マウンテン・アペラシオン内にある標高1,700フィートの高さに位置する28エーカーのこの畑にはメルロー、ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニョン、シラー、グルナッシュ、ムールヴェードル、カリニャンが植えられています。2015年にRobert Craig Wineryに売却された為、現在はダックホーン・ヴィンヤーズの所有ではありません。

主なリリースワイン

現在、ダックホーン・ヴィンヤーズではソーヴィニョン・ブラン、シャルドネ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フランをリリースしていますが、ここではフラッグシップであるメルローを中心とした主な赤ワインのラインナップをご紹介します。

Merlot
フラッグシップであるメルローはエステートのブドウ園のブレンドとナパバレーのトップ生産者からの果実をブレンドしたMELROT Napa Valleyと単一畑のStout Vineyard、Three Palms Vineyard、Rector Creek Vineyardの他にATLAS PEAKで収穫されたブドウで造られるATLAS PEAKのアペラシオンワインもリリースしています。
Cabernet Sauvignon
カベルネ・ソーヴィニョンはエステートのブドウ園のブレンドとナパバレーのトップ生産者からの果実をブレンドしたCabernet Sauvignon Napa Valleyと単一畑のMonitor Ledge Vineyard、Rector Creek Vineyard、Patzimaro Vineyard、Three Palms Vineyardの他にRutherford、Howell Mountainのアペラシオンワインもリリースしています。
Red Blend
カベルネ・ソーヴィニョン主体でメルローの比率が高めのRed BlendはThe Discussion Napa Valleyのみリリースされています。2006年がファーストヴィンテージのこのThe Discussionは創業当時にワイン造りに関して熱い議論が交わされた事に因んで名付けられました。自社畑(エステート)の中からその年に最適な畑のブドウをいくつかブレンドして造られるダックホーン・ヴィンヤーズ最高峰の赤ワインです。

ダックホーン・ヴィンヤーズが獲得した栄誉

Awards

Awards
参照元:duckhorn.com

ダックホーン・ヴィンヤーズのワインはこれまでに歴代大統領の任期中、ホワイトハウスの様々な行事や晩餐会で使われてきた程、高く評価されています。

近年ではWine Spectator誌が主催するその年の最も評価が高いワインを決めるWine of the Year 2017においてDuckhorn Merlot Three Palms Vineyard 2014が1位に輝いています。
また、ダックホーン・ヴィンヤーズはWine & Spirits Magazineによって「世界のトップ100ワイナリー」の1つに8回選出されています。

近年のダックホーン・ヴィンヤーズ

GI Partnersは2016年にサンフランシスコを拠点とするプライベート・エクイティ・ファンドTSG Consumer Partnersにダックホーン・ヴィンヤーズを売却します。この売却にはダックホーン・ヴィンヤーズが保有する他のワイナリーGoldeneye、Paraduxx、Migration、Decoy、Canvasbackと対応するプロパティ全てが含まれます。

ワインメーカーを始めとする全てのスタッフは引き続き各ワイナリーで従事します。TSG Consumer Partners傘下になって間もない2017年にはセントラルコースト最高峰のピノノワール生産者Josh JensenからCalera Wine Companyカレラ・ワインカンパニーを取得しました。

Josh Jensenは後継者問題に直面しており、この売却を決めたといいます。Josh Jensenは4年間ダックホーン・ヴィンヤーズの取締役として残ります。

更に2018年にはカリフォルニア・ピノノワールのトップ生産者Kosta Browneコスタ・ブラウンを買収します。所有者が変わる度に更に勢いを増すダックホーン・ヴィンヤーズは現在、新規株式公開を計画しており、その準備に取り掛かったとの事です。

TSG Consumer Partners Portfolio

TSG Consumer Partners Portfolio
参照元:tsgconsumer.com

ワインテイスティングレポート

Merlot Three Palms 1985 vs Merlot 1997 vs Merlot 2004
2021年3月18日

Merlot Three Palms 1985 vs Merlot 1997 vs Merlot 2004

Three Palms 1985

熟成していてもシッカリと果実味があり、干しプラムのような香りが取れる。ややスモーキーな印象も取れる。味わいは甘みは控えめで酸味は非常にシッカリとしておりタンニンはヴィロードのような印象。複雑性は無いがこのヴィンテージにしては独特の強い果実味が特徴的でした。流石にダックホーンのフラッグシップだけあって別格に美味で素晴らしい!

Merlot 1997

香りはブラックチェリーのような黒系果実の香りとコーヒーやモカのような印象がある。味わいは甘みがシッカリとありまろやか。酸味は主張せず滑らか。タンニンはメルローらしいヴィロードのような印象。スリーパームとは対照的に甘みが強く酸味、果実味が控えめでした。

Merlot 2004

香りはブラックチェリーのような黒系果実の香りとコーヒーやモカのような印象がある。味わいは甘みがシッカリとありまろやか。酸味は控えめだが1997に比べるとシッカリしている。タンニンはメルローらしいヴィロードのような印象。1997との違いはズバリ「酸味」でした。

Cabernet Sauvignon 1982
2021年3月18日

Cabernet Sauvignon 1982
味わいは黒系果実というよりもカシスや干しプラムのような赤系果実寄りの香りが取れる。また、非常にスモーキーで、ややスパイシー。植物的なニュアンスはあまり感じ取れない。味わいは甘みは控えめで酸味は非常にシッカリとしておりエレガント。タンニンは熟成している事もあり溶け込んで控えめ。シッカリとしたスモーキーなニュアンスと長く続く上品な酸味が印象的でした。ダックホーンはメルローのみならずカベルネ・ソーヴィニョンも素晴らしい!

The Discussion 2009
2021年3月18日

The Discussion 2009
メルロー比率の高いこのブレンドはブラックチェリーのような黒系果実の香りとコーヒーやモカのような印象があり、メルロー1997や2004との共通点がハッキリと感じ取れる。味わいは甘みがシッカリとありまろやか。酸味は控えめでタンニンは通常のメルローと比べるとシッカリとしている。

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カリフォルニアワインについて

ABOUTこの記事の監修者

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
2011年よりカリフォルニアワインのバックヴィンテージを追求。 ナパバレー、ソノマに足を運び数多くの名門ワイナリーを訪問。 主に海外のワインオークションで希少なバックヴィンテージを調達。

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