Mayacamas Vineyards

マヤカマス山脈に囲まれたMount Veeder AVAの標高1,800~2,400フィートに位置し、1800年代から続く「パリテイスティング」で大活躍した伝説のワイナリーMayacamas Vineyardsマヤカマス・ヴィンヤーズの歴史と功績をご紹介します。貴重なバックヴィンテージのワインテイスティングレポートもあわせてお届けします。

マヤカマス・ヴィンヤーズの歴史

Old Stone Winery

Old Stone Winery
参照元:mayacamas.com

標高1,800~2,400フィートのMount Veederにあるマヤカマス・ヴィンヤーズは475エーカーの敷地の内50エーカーが畑になっており、火山灰から石灰質の岩盤までその複雑な土壌と険しい立地からカリフォルニアでも極めて高品質なブドウ栽培を実現します。この敷地には長い歴史の中で何人かのオーナーがいました。その歴史は1889年にまで遡ります。

ドイツからの移民であるJohn Henry Fisherによって設立されたワイナリーはFisher Wineryとして知られていました。1906年のサンフランシスコ地震とその後の火災で経営は破綻し1920年代後半から1941年まではThe Brandlin familyがこの土地を所有していましたがワイナリーは放棄された状態でした。1936年にShell Oil Companyの研究員であったイギリス人Jack Taylorとその妻Mary Taylorは禁酒法時代に放棄されたこの古い石造りのワイナリーを発見しました。そして1941年にこの土地を購入しマヤカマス・ヴィンヤーズとしてシャルドネとピノノワールを植えました。

後にピノノワールは引き抜かれ、カベルネ・ソーヴィニョンに植え替えられます。Jack Taylorが手掛けるマヤカマス・ヴィンヤーズの最初のヴィンテージは1951年で、当時のワインメーカーはかのフィリップ・トニーでした。

Bob Travers

Bob Travers
参照元:www.sfgate.com

1968年になると後継者がいなかった事とマーケティングが上手くいっていなかった事が理由でJack Taylorはマヤカマス・ヴィンヤーズを証券会社のBob Traversとその妻Elinor (Nonie)、そして6人の投資パートナーに売却します。

Bob TraversはHeitz Cellarハイツ・セラーのJoe Heitzからワイン造りを学んだ経歴があります。ワインメーカーには後にHanzell Vineyardsで活躍するBob Sessionsを迎え入れます。このチームはチャレンジ精神が旺盛で当時、ピノノワールのロゼやレイト・ハーベストのジンファンデルを造った事もありました。

パリテイスティングたちまち脚光浴びる

アメリカ独立200周年を記念して1976年にフランス・パリのインターコンチネンタルホテルで米仏ブラインドテイスティング対決パリテイスティング」が開催されました。審査員はフランスのワイン業界では名の通った人物ばかりです。赤ワイン部門の結果は以下の通りです。

judgment of paris

judgment of paris
参照元:vinepair.com

1位.(米) Stag’s Leap Wine Cellars 1973
2位.(仏) Chateau Mouton Rothschild 1970
3位.(仏) Chateau Haut Brion 1970
4位.(仏) Chateau Montrose 1970
5位.(米) Ridge Monte Bello 1971
6位.(仏) Chateau Leoville Las Cases 1971
7位.(米) Mayacamas 1971
8位.(米) Clos Du Val 1972
9位.(米) Heitz Cellars 1970
10位.(米) Freemark Abbey 1969

マヤカマス・ヴィンヤーズは大健闘し、たちまちその名が知れ渡る事となります。
また、フランスワインは熟成して本領を発揮する為、この時と同じヴィンテージのワインで10年後にリベンジマッチが開催されました。その結果は以下の通りです。

1位.(米) Clos Du Val 1972
2位.(米) Ridge Monte Bello 1971
3位.(仏) Chateau Montrose 1970
4位.(仏) Chateau Leoville Las Cases 1971
5位.(仏) Chateau Mouton Rothschild 1970
6位.(米) Stag’s Leap Wine Cellars 1973
7位.(米) Heitz Cellars 1970
8位.(米) Mayacamas 1971
9位.(仏) Chateau Haut Brion 1970

マヤカマス・ヴィンヤーズは五大シャトーのシャトー・オーブリオンをおさえて8位に入賞したのです。更にパリテイスティングから30年後の2006年に再度リベンジマッチが開催されました。結果は以下の通りです。

judgment of paris 2006

judgment of paris 2006
参照元:sfgate.com

1位.(米) Ridge Monte Bello 1971
2位.(米) Stag’s Leap Wine Cellars 1973
3位.(米) Heitz Cellars 1970
4位.(米) Mayacamas 1971
5位.(米) Clos Du Val 1972
6位.(仏) Chateau Mouton Rothschild 1970
7位.(仏) Chateau Montrose 1970
8位.(仏) Chateau Haut Brion 1970
9位.(仏) Chateau Leoville Las Cases 1971
10位.(米) Freemark Abbey 1969

何とマヤカマス・ヴィンヤーズはフランス勢すべてを打ち負かし4位に入賞したのです。3度開催された米仏ブラインドテイスティング対決「パリテイスティング」はカリフォルニアワインの評判のみならず世界中に浸透していたフランス一強の概念を根底から覆す歴史的な事件となったのです。

近年のマヤカマス・ヴィンヤーズ

Charles Banks and Ali Banks

Charles Banks and Ali Banks
参照元:decanter.com

2013年になるとBob Traversはマヤカマス・ヴィンヤーズを売却します。新しいオーナーはスクリーミングイーグルの前オーナーCharles BanksとAli Banksでした。更にオハイオ州のSchottenstein Storesを経営するJay Schottensteinとその息子Joey Schottensteinもオーナーとして参画します。Charles BanksはワインメーカーにAndy Ericksonを迎え入れました。Andy Ericksonとはスクリーミングイーグルの時からの知り合いでした。
CHARLES BANKS SENTENCED TO FOUR YEARS BEHIND BARS

CHARLES BANKS SENTENCED TO FOUR YEARS BEHIND BARS
参照元:sfchronicle.com

2016年9月Charles BanksはNBAのスーパースターTim Duncanに投資話を持ち掛け750万ドルを騙し取ったとして懲役4年の実刑判決を受けました。この事でCharles Banksは自身が保有するマヤカマス・ヴィンヤーズの株式をパートナーに売却する事を余儀なくされてしまいます。その後、チャールズは南カリフォルニアに引っ越して引退しました。

マヤカマス・ヴィンヤーズは2017年10月の大火災で被害を受け、ワイナリーを再建しました。また、2019年2月にはナパのダウンタウンにあるArcher Hotelと同じ建物内にテイスティングルームをオープンし、現在も世界レベルのカベルネ・ソーヴィニョンを提供しています。

Mayacamas Vineyards Winery

Mayacamas Vineyards Winery
参照元:tripadvisor.com

ワインテイスティングレポート

Mayacamas Cabernet Sauvignon 1977
2021年8月20日

Mayacamas Cabernet Sauvignon 1977
マヤカマス・ヴィンヤーズではメルロー、ソヴィニヨンブラン、レイト・ハーベスト・ジンファンデル、ピノノワール、ロゼを造っていた時期もありましたが現在ではカベルネ・ソーヴィニョン、シャルドネが主なラインナップとなっております。今回、当編集部ではフラッグシップであるカベルネ・ソーヴィニョンの貴重なバックヴィンテージを入手しましたのでテイスティングレポートをご紹介します。

ブラックベリーや熟したプラムの香りにコーヒーやチョコレートのニュアンスが取れる。また、カベルネ・ソーヴィニョン特有の杉や針葉樹のニュアンスがハッキリと表れており、微かに土やタバコのニュアンスも受けて取れる。
味わいは甘みはソフトで酸味は比較的シッカリとしている。タンニンはこのヴィンテージでも非常に強く、収斂性がある。3度のパリテイスティングで7位、8位、4位の実績を残しているだけあり山カベ(山のカベルネ・ソーヴィニョン)特有の絶妙なバランスが見事でした!

カリフォルニアワインについて

ABOUTこの記事の監修者

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
2011年よりカリフォルニアワインのバックヴィンテージを追求。 ナパバレー、ソノマに足を運び数多くの名門ワイナリーを訪問。 主に海外のワインオークションで希少なバックヴィンテージを調達。

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