Silver Oak Cellars(シルバー・オーク・セラーズ)

シルバー・オーク・セラーズ(Silver Oak Cellars)

カベルネ・ソーヴィニヨン1種に集中し、熟成には敢えてアメリカンオーク樽を使用するといったアメリカンクラシックとも呼ぶべき独特なスタイルを貫くSilver Oak Cellarsシルバー・オーク・セラーズの歴史と栄光の軌跡をご紹介します。

貴重なアレキサンダーバレーとナパバレーのバックヴィンテージ・テイスティングレポートもあわせてお届けします。

シルバー・オーク・セラーズについて

Raymond Twomey Duncan and Justin Meyer

ジャスティン・メイヤーとレイモンド・トゥーメイ・ダンカン
参照元:silveroak.com

シルバー・オーク・セラーズは1960年代後半に、カリフォルニアのブドウ園に投資を始めたコロラド州の起業家(石油会社やリゾート開発を手掛ける)であるRaymond Twomey Duncanレイモンド・トゥーミー・ダンカンと、グレイストーンズ・セラーズでワインメーカーの修業を積んだ後、ワインビジネスのコンサル会社の社長に就任したジャスティン・メイヤー(元々はレイモンド・メイヤー。キリスト教の関係で改名)は、タッグを組み、1972年にナパバレー・オークヴィルの土地を購入しワイン造りをスタートさせました。

レイモンド・トゥーミー・ダンカンは財政的支援を行い、ジャスティン・メイヤーはワイン製造、栽培、カリフォルニアワイン市場の専門知識を提供しました。

彼らにはカベルネ・ソーヴィニヨンのみを生産し、最高品質のアメリカンオーク樽のみでワインを熟成させるといったシンプルな哲学がありました。

レイモンド・トゥーミー・ダンカンとジャスティン・メイヤーは、お気に入りの赤ワインであるシャトー・ラトゥールのラベルからインスピレーションを得て、カリフォルニア農業の象徴でもある給水塔をシルバーオークのロゴに含める事を選択しました。

当時、給水塔はカリフォルニア農業の一般的かつ機能的な特徴の1つでした。開業にあたって取得した土地がSilveradoシルバラードとOakvilleオークヴィルの間に位置していたため、SilveradoとOakvilleを合わせてSilverOakと名付けました。これはジャスティン・メイヤーの妻ボニーの提案でした。

シャトー・ラトゥール

参照元:silveroak.com

シルバーオーク

参照元:wikipedia.org

1972年のファーストヴィンテージはナパバレーのワインではありませんでした。
ナパ(ナパバレー)とソノマ(アレキサンダーバレー)の両方のブドウのブレンドであり、「ノースコースト」と呼ばれていました。

実際にはクリスチャンブラザーズワイナリーで造られ、その後、現在のシルバーオークワイナリーの敷地内にある古い酪農の納屋で樽詰めされ、瓶詰めされました。

そして、同じ年に初めてナパバレー(ナパ郡)のブドウ畑にブドウを植え始めました。ナパバレーは1979年のヴィンテージで初めて登場する事になります。

1975年にレイモンド・トゥーミー・ダンカンとジャスティン・メイヤーは、1973年に設立され資金不足でオープン前に破産してしまったフランシスカン・エステートを購入し、シルバーオークとフランシスカンの両方に携わっていきました。

そこから、数年でシルバーオークはフランシスカン売却に動きます。1979年までにフランシスカンとそれに付随するナパバレーのブドウ畑を売却しましたが、数年間はフランシスカンでシルバーオークのワインを造り続けました。
その後、シルバーオークのワイナリーは1980年代初頭に建設され、1982年にオープンしました。

この頃までにシルバーオークが造るワインはロバート・パーカーをはじめ数多くの評論家から賞賛を受けるようになり、カリフォルニア・ステートフェアで金メダルを獲得する等注目を集め始めました。

Twomey Cellars

参照元:visitcalistoga.com

1990年代になるとジャスティン・メイヤーはAmerican Vineyard Foundationの会長に就任し、更にワイン関連のいくつかの重要な役職も務めるようになり、カリフォルニアのワイン業界に大きく貢献しました。

一方、レイモンド・トゥーミー・ダンカンは1999年にシルバーオークでカベルネ・ソーヴィニヨンに専念する代わりに、カベルネ・ソーヴィニヨン以外の品種を追求する目的でTwomey Cellarsを設立しました。

シルバーオークが直面した大きな転機

Justin Meyer

ジャスティン・メイヤー
参照元:sfgate.com

2001年1月にジャスティン・メイヤーは健康上の問題を理由に、レイモンド・トゥーミー・ダンカンに自身が保有する分の株式を売却しました。

その後、2002年8月6日ジャスティン・メイヤーは休暇中に心臓発作で倒れ、63歳の若さで亡くなりました。
ジャスティン・メイヤーには2人の息子(チャドとマット)と1人の娘(ホリー)がいます。

マットは1987年にジャスティン・メイヤーが設立したメイヤー・ファミリー・セラーズを運営し、ジャスティン・メイヤーの妻ボニーはメイヤー・ファミリー・セラーズが所有するボニー・ヴィンヤーズ(ジャスティン・メイヤーが妻のボニーへの贈り物として1974年に植えた畑)を運営しています。

一方、レイモンド・トゥーミー・ダンカンはCEOの座を息子デビッド・ダンカンに継承しました。

Meyer Family Cellars

左:マット・メイヤー、右上:ボニー・メイヤー、右下:デビッド・ダンカン
参照元:terroirist.com , pressdemocrat.com , bloomberg.com

2006年シルバー・オーク・セラーズのナパバレー・ワイナリーで早朝6:30頃に火災が発生。火元はゴミ箱から始まり、建物全体に広がりました。

これにより歴史的な建物と約200万ドル相当のワインが失われました。
建物に隣接する主要な石造りのワイナリーは被害を免れました。火災当時オークヴィルのワイナリーには誰もいなかった事は唯一の救いでした。

2002年のジャスティン・メイヤーの死、2006年のワイナリー火災という災難に直面したシルバーオークは、レイモンド・トゥーミー・ダンカンの息子デビッド・ダンカンをプロジェクトリーダーにシルバーオーク再建を進めました。

このような状況から2007年のヴィンテージのみ、シルバーオーク・セラーズ・ナパバレー・カベルネ・ソーヴィニヨンはすべて、ソノマ郡のワイナリーで生産されました。

そして、2008年、ついにオークヴィルに新しいワイナリーとテイスティングルームを完成させました。
モダンで機能的な現代建築のワイナリーは、シルバーオーク・セラーズ・ナパバレー・カベルネ・ソーヴィニヨンという1本のワインのみを生産するように設計されています。

幸いな事に、シルバーオークのシンボルでもある木製の給水塔は火災での損傷を受けておらず、ホスピタリティセンター入り口の隣に移動されました。

この最新のワイナリーはエネルギーおよび環境デザインを考慮した設備を整えており、後に衛生管理、環境保全、省エネ、節水等の厳しい基準をクリアしたLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)の認定を受けた世界初のワイナリーになりました。

こうしてデビッド・ダンカンCEO率いるシルバーオークが再始動しました。

ナパとソノマに保有する6つの畑

ナパバレー・カベルネ・ソーヴィニヨンとアレキサンダー・バレー・カベルネソーヴィニヨンはどちらもブレンドされたワインであり、エステートヴィンヤード(自社畑)と買いブドウの両方で造られています。

ナパバレー・カベルネ・ソーヴィニヨンは、ナパ郡オークヴィルワイナリーで生産され、アレキサンダー・バレー・カベルネソーヴィニヨンはソノマ郡アレキサンダーバレーワイナリーで生産されています。
以下に各畑の特徴をご紹介します。

Napa Valleyナパバレー

Soda Canyon Vineyard ソーダキャニオン・ヴィンヤード
1999年にこの土地を購入し、以来、ナパバレー・カベルネ・ソーヴィニヨンのフレーバーと複雑さを造り出すブドウ園の1つ。気候は暖かく乾燥していますが、サンパブロ湾の冷却効果の影響を大きく受けており、砂利が混ざった火山性の土壌が特徴。カベルネ・ソーヴィニヨンに最適なテロワールと言えます。
Jump Rock ジャンプロック
アトラスピークAVAの標高1,500フィートに位置するこのブドウ園は、岩だらけの岩石質土壌で、砂漠気候と相まって、非常に高濃度のカベルネ・ソーヴィニヨンを生産しています。ダンカンが幼年期時代に過ごしたコロラド州の家の近所にあった自然の水泳場にちなんで名付けられました。
Navone Vineyard ナボン・ヴィンヤード
Navone Family Winesが所有する畑で、シルバーオークが指定した区画を管理し、そこからブドウを仕入れています。この水捌けの良い砂利ローム土壌で収穫されるカベルネ・ソーヴィニヨンは、複雑さと優雅さのバランスを取り、ナパバレー・カベルネ・ソーヴィニヨンに美しくフィットします。

Alexander Valleyアレキサンダーバレー

Red Tail Vineyard レッドテール・ヴィンヤード
標高が320~440フィートのなだらかな丘で構成されたこの畑は、1988年に購入されました。粘土と砂質のローム土壌でカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に最適と考えられています。

またこのテロワールから栽培されるブドウはアレキサンダーバレー・カベルネ・ソーヴィニヨンに酸味、輝き、イチゴとスパイスの特徴を与えます。敷地内を飛び回るアカオノスリ(鳥類)にちなんで名付けられました。

Alexander Valley Estate Vineyard アレキサンダーバレー・エステート・ヴィンヤード
アレキサンダーバレーAVAの南端近くにあるこのブドウ園は、標高230~300フィートに位置しています。隣のMiraval Vineyardの土壌によく似た沖積土壌からは高品質なカベルネ・ソーヴィニヨンが栽培されます。
Miraval Vineyard ミラバル・ヴィンヤード
アレキサンダーバレーAVAの南端に位置するこの畑は、標高は200~350フィートに位置します。粘土と砂のローム土壌は、保水能力が高く、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適しており、熟度、フィネス、エレガンスのバランスが取れたブドウが収穫されます。平地と緩やかな斜面の組み合わせにより、地形と土壌タイプに基づいて6つのブロックに分割されています。

1994年にワインメーカーのダニエル・バロンがワイン造りを切り替えました。この時点までは、ワインは100%カベルネ・ソーヴィニヨンでしたがシルバー・オーク・ナパバレーはカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネフラン、メルロー、プチヴェルドーのブレンドになりました。

ワインはステンレスタンクからアメリカンオーク樽に移し替えられた後、アメリカンオーク樽で30ヶ月熟成させ、更に瓶詰後ボトルで2年熟成させてから出荷されます。

レイモンド・トゥーミー・ダンカンの死とシルバーオークのその後

Raymond Duncan Dies at 84

レイモンド・トゥーミー・ダンカン
参照元:winespectator.com

2015年10月9日コロラド州デンバーの自宅で、創業者レイモンド・トゥーミー・ダンカンが84歳の年齢で亡くなりました。

生前、ビジネスで功績を残したダンカンは、クロウキャニオン考古学センター、デンバー美術館、ケント・デンバー・スクール、セントヘレナ・モンテッソーリ・スクール、ソノマ・アカデミーなど、数多くの慈善活動にも携わっていました。

そして、ダンカンが亡くなる少し前に母校であるノートルダム大学に支援をして、ノートルダム大学は学生活動のための9階建ての施設である「ダンカン・スチューデントセンター」を着工しました。

ダンカンがワイナリー経営だけでなく幅広い分野で活躍していた事がよく分かります。

同じく2015年にシルバーオークは、ミズーリ州に本拠地を構えるオーク樽の製造会社A&K Cooperageの所有権を取得し、名前をThe Oak Cooperageに変更しました。
※2000年に株式の50%だけは取得していました。

これにより、シルバーオークが重視するアメリカンオーク樽の品質と供給を完全にコントロールできるようになりました。

アメリカのホワイトオーク樽が造り出す、豊かで複雑な風味に徹底してこだわるシルバーオークの強い信念を垣間見る事が出来ます。

オーク樽の製造会社The Oak Cooperage

参照元:theoak.com

2017年になるとシルバーオークは、ナパバレーのOvidを買収して保有を拡大しました。この買収には、プリチャードヒルにある超近代的なワイナリーと15エーカーのブドウ畑が含まれます。

ダンカンは、1998年にOvid創設者マーク・ネルソンとダナ・ジョンソンが険しいプリチャードヒルの地にワイナリーを建設し、ブドウ畑を構えるという野心的な取り組みを始めた時に初めて2人に会いました。

2つの家族は、ワインと慈善活動への愛情で結束し、子どもたちは学友でした。Ovidの買収契約は大変友好的なものでした。

2018年になるとシルバーオークは、ナパバレーに継ぎ、ソノマ郡アレキサンダーバレーにも新しいワイナリーとテイスティングルームを建設しました。

建設にはリサイクル素材が使用され、2,500以上のソーラーパネルがワイナリーの電力の大部分を支え、エネルギーおよび環境デザインを考慮した設備が整っています。

ナパバレー同様、アレキサンダーバレーでもLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認定を取得しようとしています。

Silver Oak Winery Alexander Valley

参照元:archdaily.com

現在、シルバーオークはデビッドと3人の兄弟(ティム、マイク、ケビン)が所有しています。デビッド・ダンカンが社長兼CEOを務め、ティム・ダンカンがエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めています。

ダンカン一家は先代の遺志を受け継ぎ、“Life is a Cabernet“をスローガンに今日までワイナリーを運営し続けています。

David and Tim Duncan

左:ティム・ダンカン、右:デビッド・ダンカン
参照元:twomey.com

Life is Cabernet

参照元:silveroak.com

テイスティング・レポート

シルバー・オーク・アレキサンダーバレー 1999 vsナパバレー 1998
2020年2月2日

Alexander Valley 1999

これ位のヴィンテージになると熟成によって縁がオレンジ掛かってくるが、程度は少ない。

香りは葉巻のニュアンスが強く、腐葉土の香りも強い。味わいは、甘みはソフトで酸味は滑らか。
タンニンはカベルネ・ソーヴィニヨン特有のシッカリとして長く続くという特徴があるが、熟成によって、丸みを帯びている。

総評として玄人向けの味わい。

Napa Valley 1998

こちらはアレキサンダーバレーとは異なり、同じ位のヴィンテージにも関わらず、縁のオレンジはほぼ見られない。

香りに葉巻のニュアンスは無く、ブラックベリー、ブラックチェリーが主体。
カベルネ・ソーヴィニヨンによく見られる牡丹の香りというよりも、スミレの花の香りに近い。

土のニュアンスはほぼ感じられない。
味わいは、甘みはまろやかで、酸味は滑らかだが、アレキサンダーバレーよりはシッカリしている。

タンニンは非常に柔らかく、全体を通してアレキサンダーバレーとは対照的。

果実味と酸味がシッカリあるのでまだまだ10年は熟成によって良くなると推察。総評として万人受けする味わい。

シルバー・オーク・アレキサンダーバレー 1999  vsナパバレー 1998
シルバー・オーク・ナパバレー 2013
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シルバー・オーク・アレキサンダーバレー 2014
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カリフォルニアワインについて

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