Freemark Abbey(フリーマーク・アビー)

フリーマーク・アビー(Freemark Abbey)

1800年代に起源を持ち、1976年に開催された世紀の米仏ブラインドテイスティング対決「パリテイスティング」でその名を世界に知らしめたナパバレー伝統のワイナリーFreemark Abbeyフリーマーク・アビーの歴史と功績をご紹介します。貴重なバックヴィンテージのワインテイスティングレポートもあわせてお届けします。

フリーマーク・アビーについて

Josephine Marlin Tychson

Josephine Marlin Tychson
参照元:freemarkabbey.com

フリーマーク・アビーは過去に前例がない程、所有者が変わるといった数奇な歴史を持つワイナリーです。

1886年にJosephine Marlin Tychsonがセントヘレナの北端にTychson Cellarsという名でワイナリーを設立しました。Josephine Marlin Tychsonはカリフォルニアで初めてワイナリー建設を監督した女性であり、当時、州内でも数少ない女性醸造家の1人とでした。1894年になるとTychson CellarsはJosephine Marlin TychsonからNils Larsenへ売却されます。

Albert Abbey Ahern

Albert Abbey Ahern
参照元:freemarkabbey.com

そして4年後の1898年にNils LarsenからAntonio Forniへ売却されます。Antonio Forniは取得したワイナリーを生まれ故郷のイタリア・ロンバルダに因んでロンバルダセラーズへと改名しました。

Antonio Forniはイタリアンスタイルのワインに焦点を当てワイナリーを運営していましたが、1920年から1933年の禁酒法時代に突入するとワイナリーの稼働は停止してしまいます。禁酒法時代が明けると1939年に南カリフォルニア出身の3人のビジネスマンAlbert “Abbey” Ahern、Charles Freeman、Marquand Fosterがこのロンバルダセラーズを購入します。このワイナリーは3人の名前を組み合わせてフリーマーク・アビーと名付けられました。

こうして何人もの所有者を経てフリーマーク・アビーは誕生しましたが、実はこの後も所有者は変わっていきます。

Seven partners

Dick Heggie、Brad Webb、Bill Jaeger、Frank Laurie Wood、Jim Warren、Chuck Carpy、John Bryan
参照元:freemarkabbey.com

1959年にAlbert “Abbey” Ahernが死去するとワイナリーの稼働は再び停止してしまいます。そして1966年に7人のパートナーがフリーマーク・アビーを購入しシャルドネとカベルネ・ソーヴィニョンを独自のスタイルで造り上げます。そして1970年にFreemark Abbey Bosche Cabernet Sauvignonを1980年にFreemark Abbey Sycamore Cabernet Sauvignonをリリースします。
※後にアメリカのワイン・スペクテーター誌がFreemark Abbey Bosche Cabernet Sauvignonを「真のナパバレー・ラザフォードスタイルのカベルネ・ソーヴィニョン」と絶賛しました。

歴史を変えた米仏ワイン対決「パリテイスティング」で大健闘!

Judgement Of Paris

パリテイスティング
参照元:lastbottlewines.com

アメリカ独立200周年記念にあたる1976年にアカデミー・デュ・ヴァンのスティーブン・スパリエがフランス・パリのインターコンチネンタルホテルで米仏ブラインドテイスティング対決「パリテイスティング」を開催しました。

当時ワインと言えばフランス一強の時代でありカリフォルニアワインの実力を知る人は殆ど居ませんでした。

審査員は出版社、名門レストラン、協会、学校、醸造家といったフランスのワイン業界を代表する著名人9名で、米仏の赤ワインと白ワイン各10本をブラインドでテイスティングし採点。フリーマーク・アビーだけが赤白両方でエントリーされました。

結果はFreemark Abbey Chardonnay 1972(白ワイン)が6位、Freemark Abbey Cabernet Sauvignon 1969(赤ワイン)が10位という快挙を成し遂げ、フリーマーク・アビーの名はたちまち世界中に知れ渡りました。

パリテイスティングの詳細はこちらの記事を参考

進化を続けるも再び所有者が変わるフリーマーク・アビーの数奇な運命

Ted Edwards

Ted Edwards
参照元:freemarkabbey.com

1985年になるとワインメーカーにTed Edwardsを迎え入れます。Ted Edwardsはカリフォルニア大学デービス校で理学、食品、科学、工学の修士号を取得。1980年にフリーマーク・アビーに参画後、Rutherford Hillでアソシエート・ワインメーカーに就任し、1985年に再びフリーマーク・アビーへ戻りワインメーカーに就任しました。

Ted Edwardsはヴィオニエ、メルロー、リースリングを導入しフリーマーク・アビーのラインアップを拡充。更にSycamore Vineyard、Bosche Vineyardのスタイルを確立しフリーマーク・アビーの評価を高めました。1992年にはフリーマーク・アビーの所有者である7人のパートナーが8人目のパートナーとしてTed Edwardsを迎え入れました。

2001年になるとフリーマーク・アビーは投資会社レガシー・エステート・グループ(The Legacy Estate Group)に売却されます。そして4年後の2005年にレガシー・エステート・グループが破産し、フリーマーク・アビーはJackson Family Winesジャクソン・ファミリー・ワインズの傘下となります。

ジャクソン・ファミリー・ワインズはLA Jota Vineyard、Lokoya、Arrowood、Kendall-Jackson、Siduri等、アメリカを中心に世界中にワイナリーを保有する大企業です。

レガシー・エステート・グループからフリーマーク・アビーを購入する際にByron Vineyard & WineryとArrowood Vineyards & Wineryも含まれていた為、98,000,000ドルを超える買収額となりました。

Jackson Family Wines

Jackson Family Wines
参照元:calwinecountry.com

1894年に初めて所有者が変わって以来、幾度となく繰り広げられてきた売却劇は2000年代に入っても続きました。何とも数奇な運命を辿るワイナリーです。

歴史ある古い石造りのワイナリーの大規模改修に着手

1898年にNils Larsenからワイナリーを取得したAntonio Forniはワイナリーを古い石造りの建物へと変貌させました。以来、所有者が変わってもこの古い石造りの建物は受け継がれてきましたが、フリーマーク・アビーでは2015年に1,500万ドルの資金を投じて大規模な改修に着手しました。

屋内外のテイスティングルームや大規模なバックヴィンテージのワインライブラリーが刷新され、レストランが併設されました。

Old Winery , New Winery , Freemark Abbey New Winery

Old Winery,New Winery,Freemark Abbey New Winery
参照元:freemarkabbey.com , napawineproject.com , zfa.com

フリーマーク・アビーが管理する畑

フリーマーク・アビーではナパバレーの各所で有力な畑と契約しブドウを仕入れています。

ナパバレーの北東にあるヴァカ山脈の標高1,400フィートの霧の上に位置するHowell Mountain、同じくナパバレーの北東に位置する岩だらけの丘陵地帯Atlas Peak、フリーマーク・アビーのワイナリーから最も近い霧の上にあるSpring Mountain、ナパバレーで最も険しい場所に位置するMount Veeder、世界的に評価されており独特の埃っぽいニュアンスを提供するRutherford dustでお馴染みRutherfordの5エリアで提携していますが、中でもRutherfordにあるBosche VineyardとSycamore Vineyardは非常に評価が高く、フリーマーク・アビーのフラッグシップとなっています。

Freemark Abbey Vineyard Map

Freemark Abbey Vineyard Map
参照元:freemarkabbey.com

Bosche Vineyard
サンフランシスコの弁護士John Boscheが所有する21エーカーの畑。ナパバレーで最高の畑の1つとして長い間認められており、フリーマーク・アビーでは1970年から提携しています。フラッグシップワインFreemark Abbey Cabernet Boscheの供給源。
Sycamore Vineyard
1976年にパートナーの1人John Bryanが購入した22エーカーの畑でStaglin Family、To Kalon、Heitz Bella Oaks Vineyardsといった著名な畑と隣接した場所にあります。冷涼な気候のこの畑は乾式農法で栽培され深みのあるワインが造られます。

近年のフリーマーク・アビー

Kristy Melton

Kristy Melton
参照元:freemarkabbey.com

2020年にTed Edwardsは1985年から続けてきたワインメーカーの主導権をKristy Meltonに引き継ぎます。テキサス州出身のKristy Meltonは同州サンアンジェロにあるアンジェロ州立大学で動物科学と生物学を学びます。その後カリフォルニア大学デービス校でブドウ栽培学とワイン醸造学の修士号を取得するとニュージーランドのIron Horse VineyardsとSeresin Estateで経験を積みます。

更にカリフォルニアのSaintsbury Wineryで才能を発揮すると2012年にClos Du Valのワインメーカーに就任します。2016年にはJackson Family Wines参加の5つのブランドでワイン造りを担当した後、2020年にフリーマーク・アビーのワインメーカーに就任した実力の持ち主です。Ted Edwardsは名誉ワインメーカーという新しいポジションに就き、引き続きKristy Melton率いるフリーマーク・アビーのワイン造りをサポートしていきます。

Ted Edwards and Kristy Melton

Ted Edwards and Kristy Melton
参照元:freemarkabbey.com

ワインテイスティングレポート

Freemark Abbey Cabernet Sauvignon 1978 vs Bosche Vineyard 1977
2020年9月18日

Freemark Abbey Cabernet Sauvignon 1978 vs Bosche Vineyard 1977

Freemark Abbey Cabernet Sauvignon 1978

ブラックチェリーの香りから始まりスモーキーで土のニュアンスがある。カベルネ・ソーヴィニョン特有の杉や針葉樹のニュアンスも取れる。味わいは甘みはまろやかで酸味はなめらか。タンニンはこのヴィンテージでもシッカリと残る。

Freemark Abbey Cabernet Sauvignon Bosche Vineyard 1977

ブラックベリーの香りから始まり黒スグリや甘草のニュアンスが取れる。若干のスパイスやタバコのニュアンスも取れる。味わいは甘みはまるやかで酸味は比較的シッカリしている。タンニンは収斂性はあるがどちらかというと熟成によって溶け込んでいる印象。

Freemark Abbey Cabernet Sauvignon 1978と比べると果実味が強く、酸味がシッカリしており当編集部では高評価でした。

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