Diamond Creek Vineyards

ダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズ(Diamond Creek Vineyards)

徹底した品質への拘りから1968年以来ワインメーカーは2人、ワイン生産量は小ロットの限定生産を貫く事で注目を集めた1968年にナパバレーのダイヤモンドマウンテンに設立されたダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズの歴史と功績をご紹介します。貴重なバックヴィンテージのワインテイスティングレポートもあわせてお届けします。

ダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズについて

Al Brounstein

Dick Graff
参照元:napavalleyregister.com

Al Brounsteinアル・ブロウンスタインはフランス・ソルボンヌ大学で芸術を学んだ後、UCLAで偶然フランスワイン鑑賞の授業を受けた時にワインへの関心が芽生えました。その後クパチーノのRidge Vineyardsリッジ・ヴィンヤーズで収穫の手伝いをし、ソノマのSebastiani Vineyardsで営業担当者として従事すると、いつしか自身でナパバレー産のカベルネ・ソーヴィニョンを造りたいという夢を持つようになりました。

Al BrounsteinはルイマティーニのLouis MartiniやハイツセラーのJoe Heitzを始めとするナパバレーの著名なワインメーカーに相談した結果、1968年にナパバレーのマヤカマス山脈北部の人里離れたダイヤモンドマウンテンに80エーカーの土地を購入しダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズを設立。

名前の由来は敷地内を流れる小川の中でキラキラと輝く水晶を見つけた事から「ダイヤモンド・クリーク」と命名しました。ダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズとしての最初のリリースは1972年になります。

Al Brounsteinはこの土地に3種類の異なる土壌が存在する事に気付きました。そしてそれぞれの土壌に合わせて畑をVolcanic Hillヴォルカニック・ヒル(8エーカー)、Red Rock Terraceレッド・ロック・テラス(7エーカー)、Gravelly Meadowグレヴリー・メドゥー(6エーカー)とし、それぞれ別々のワインを造りました。

Volcanic Hill,Red Rock Terrace,Gravelly Meadow , Lake Vineyard

左:Volcanic Hill,Red Rock Terrace,Gravelly Meadow 右;Lake Vineyard
参照元:napawineproject.com

後に4番目の畑Lake Vineyardレイク・ヴィンヤード(0.75エーカー)を加え4種類の畑になるのですが、このLake Vineyardレイク・ヴィンヤードは冷涼な気候の影響を最も受ける畑になります。

その為、果実が完熟する例外的な年にのみ単一畑のワインとしてリリースしますが、その他の年はGravelly Meadowグレヴリー・メドゥーにブレンドしてリリースします。

創業者が残した偉大な遺産

2006年6月26日、創業者Al Brounsteinは1983年から患っていたパーキンソン病の合併症で亡くなりました。享年86歳。大量生産をせず品質に拘り抜いたAl Brounsteinは、1972年に最初のワインをリリースした時は僅か65ケースで1982年まで利益が上がりませんでした。

銀行はダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズの収益を上げさせる為にシャルドネやジンファンデルのような他のブドウ品種をポートフォリオに加えるよう圧力を掛けましたが、Al Brounsteinはカベルネ・ソーヴィニョン(ボルドー品種)1本に固執するビジネスプランを決して変えようとはしませんでした。

この強い拘りこそが世界中の業界人や消費者からの賞賛をもたらし、今日のダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズの名声を築いたのです。

ダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズが所有する4つの畑

ダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズの敷地内の各畑で土壌や微気候が異なる為、ワインにはそれぞれのテロワールを反映した独特の違いが現れます。以下に各畑の詳細をご紹介します。※テロワールが異なる4つの畑の他にプティベルドを植えた1エーカーの畑もあります。

Diamond Creek Vineyard Map

Diamond Creek Vineyard Map
参照元:diamondcreekvineyards.com

Volcanic Hillヴォルカニック・ヒル
南向きの丘の中腹にある8エーカーの畑で火山灰をベースにした軽い埃を含んだ土壌が特徴です。ダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズの4つの畑の中で最も日当たりが良く温暖な気候から造られるDiamond Creek Volcanic Hill Cabernet Sauvignonはタンニンが強くなるという特徴があります。
Red Rock Terraceレッド・ロック・テラス
北向きの標高400フィートから800フィートまである急勾配に位置する7エーカーの畑は土壌に鉄分が多く含まれており赤みを帯びています。Volcanic Hillヴォルカニック・ヒル同様、温暖な気候ですがダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズの4つの畑の中で最もエレガントな仕上がりとなります。
Gravelly Meadowグレヴリー・メドゥー
東向きの5エーカーのこの畑はもともと先史時代の川床であった事から小岩や砂利が多く水捌けの良い土壌でブドウは水分を求めて奮闘する為、強くなります。また、Lake Vineyardに次いで2番目に涼しい微気候という条件も相まって超長期熟成型のワインに仕上がります。
Lake Vineyardレイク・ヴィンヤード
湖に囲まれた3/4エーカーの畑は午後に吹く太平洋の風が影響して4つの畑で最も涼しい場所となります。それゆえブドウが熟すまでに時間が必要ですが格別のワインに仕上がります。ブドウが完熟する例外的な年にのみ生産され、その他の年はGravelly Meadowにブレンドされます。ファーストヴィンテージは1978年で過去40年の内リリースされたのは14回のみ。

近年のダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズ

Al Brounstein and Adelle“Boots”Brounstein

Al Brounstein and Adelle“Boots”Brounstein
参照元:napavalleyregister.com

2019年7月31日に創業者Al Brounsteinの妻であるAdelle“Boots”Brounsteinが亡くなりました。享年92歳。

そしてダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズは翌年2020年になると1776年の設立以来一貫して家族経営を続けるフランスのシャンパーニュ・メゾンLouis Roedererルイ・ロデレールへ売却する事になります。

Al Brounsteinと妻Adelle“Boots”Brounsteinが築き上げてきた1つの歴史が終わります。Louis Roedererルイ・ロデレール傘下で新体制になったDiamond CreekVineyardsダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズの新たな歴史が始まろうとしています。

ワインテイスティングレポート

Diamond Creek Volcanic Hill 1994 vs Red Rock Terrace 1994
2020年11月20日

Diamond Creek Volcanic Hill 1994 vs Red Rock Terrace 1994

ダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズは1990年代と2000年代前半が特に出来が良く高い評価を得ています。今回、当編集部ではまさに90年代ど真ん中のVolcanic HillとRed Rock Terraceの同一ヴィンテージ1994を入手しましたのでレポート致します。

Diamond Creek Volcanic Hill 1994

プラム系の香りの中に黒スグリと若干の杉、針葉樹のニュアンスが取れる。またややスモーキーでもある。味わいは甘みは控えめでソフト。酸味は非常にシッカリとしていてタンニンはこのヴィンテージでも強めで収斂性がある。シッカリとした酸味と強めのタンニンが特徴的でした。

Diamond Creek Red Rock Terrace 1994

プラム系の香りの中に杉、針葉樹、土、タバコのニュアンスが取れる。スモーキーでややスパイシー。味わいは味わいは甘みは控えめでソフト。酸味は非常にシッカリとしていてタンニンはこのヴィンテージでも強めで収斂性がある。Volcanic Hillとの違いは強い酸とエレガントな仕上がりという点。素晴らしい。

Diamond Creek 4種飲み比べ
2022年8月15日

Diamond Creek Red Rock Terrace 1996

ブラックベリーのような黒系果実の香りと杉や針葉樹の他に甘草や土、タバコのニュアンスも感じ取れる。甘味はソフトで控えめ。酸味はシッカリしており、タンニンはこのヴィンテージでも非常に強め。
4つの中で最もタンニンがシッカリとしていて玄人向けの印象を受けました。

Diamond Creek Volcanic Hill 1996

ブラックベリーやカシスの香りと杉や針葉樹のようなニュアンスが感じ取れる。ややスモーキーでリッチな味わい。甘味はソフトで控えめ。酸味は非常にシッカリしており、タンニンは強めで収斂性がある。
4つの中で最もバランスが取れている印象を受けました。

Diamond Creek Gravelly Meadow 1985

ブラックベリーやカシスの香りと若干のチョコレートやモカのニュアンスが感じ取れる。ややスパイシーでスモーキー。埃っぽい印象も感じ取れる。非常に冷涼なLake Vineyaradのブドウがブレンドされている事もあり完成度が高い。
4つの中で最もボルドー的な印象を受けました。

Diamond Creek Lake Vineyard 1990

黒系果実のブラックベリーの他にやや赤系果実よりのカシスのニュアンスも感じ取れる。森の下草(スーボワ)の印象が強くスパイシーでハッキリとした土っぽさと葉巻のようなニュアンスも取れる。他の畑と比べてタンニンがそこまで強く無く、むしろソフトで繊細な印象。
4つの中で最もエレガントな印象を受けました。

今回、この4種のテイスティングを行ったのは5名。満場一致でLake Vineyard 1990が高評価でした。素晴らしい!

ダイヤモンド・クリーク・ヴィンヤーズの購入はコチラ

カリフォルニアワインについて

ABOUTこの記事の監修者

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
カリフォルニアワイン協会認定資格 California Wine Certification Program Level 2

2011年よりカリフォルニアワインのバックヴィンテージを追求。 ナパバレー、ソノマに足を運び数多くの名門ワイナリーを訪問。 主に海外のワインオークションで希少なバックヴィンテージを調達。

監修者情報の詳細

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です