Caymus Vineyards(ケイマス・ヴィンヤーズ)

ケイマス・ヴィンヤーズ(Caymus Vineyards)

1800年代からナパバレーワイン産業の礎を築いてきた伝統あるWagner Familyを祖先に持つCharles J. (Chuck) Wagnerが、1972年にナパバレー・ラザフォードでスタートさせた最上級のカベルネ・ソーヴィニョンを造るワイナリーCaymus Vineyardsケイマス・ヴィンヤーズが辿った栄光の軌跡をご紹介します。貴重なバックヴィンテージのテイスティング・レポートもあわせてお届けします。

ケイマス・ヴィンヤーズについて

Charlie Wagnerと妻Lorna Belle Glos Wagner

Charlie Wagnerと妻Lorna Belle Glos Wagner
参照元:wagnerfamilyofwine.com

Charles J. (Chuck) Wagner(以下Chuck Wagner)の祖先であるWagner家は1800年代にナパバレーのワイン産業の礎を築いた伝統ある一家です。

1885年にハウエル・マウンテンでブドウ栽培を開始するも、1920年から1933年の間実施されたアメリカにおける禁酒法の施行で一度、家業は途絶えました。

禁酒法の廃止後1941年にCharles F. (Charlie) Wagnerと妻Lorna Belle Glos Wagnerはラザフォードに土地を購入し、再び農業を営みましたがプルーンやクルミの栽培に未来は無いと感じ、ピノノワール、カベルネ・ソーヴィニョン、リースリング等に植え替えました。

苗木はスタッグス・リープ・ヴィンヤードのFAY vineyardから調達し、暫くは栽培したブドウをInglenook等のワイナリーへ販売していましたが、1972年に19歳の息子Chuck Wagnerと共に正式にCaymus Vineyardsケイマス・ヴィンヤーズとしてブランドを設立しました。

息子Chuck Wagnerと父Charlie Wagner

息子Chuck Wagnerと父Charlie Wagner
参照元:wagnerfamilyofwine.com

1973年のケイマス・カベルネ・ソーヴィニョンがワイン評論家の注目を集め、ケイマス・ヴィンヤーズの名は一気に広まりました。

ケイマス・ヴィンヤーズの名前は、Yountville地域に住んでいたネイティヴアメリカンのグループ名に由来します。また、現在のケイマス・ヴィンヤーズがある場所は1836年にRancho Caymusという地名でした。

現在のケイマス・ヴィンヤーズがある場所は1836年にRancho Caymusという地名でした。

1975年には醸造されたワインのうち、一部の樽に限って特別にクオリティが高い事が分かり、それをCaymus Vineyards Special Selection Cabernet Sauvignonとして別でリリースする事にしました。

これは1975年からワインメーカーとして従事しているRandy Dunnによる発見でした。

Randy Dunnは1978年に自身のワイナリーDunn Vineyardsを設立し、1985年にケイマス・ヴィンヤーズを退職します。代わりにChuck Wagnerが栽培からワイン造りまでの総指揮を務めます。

NV Caymus Vineyards, Liberty School

NV Caymus Vineyards, Liberty School
参照元:hogsheadwine.wordpress.com

また、同じ1975年にNapa Valley Cabernet SauvignonとSpecial Selection Cabernet Sauvignonに使われなかった余剰のカベルネ・ソーヴィニョンでセカンドワインLiberty Schoolリバティー・スクールをリリース。

この当時はNV(Non Vintage)でした。しかしながら、1980年初頭には入手困難な程の人気になってしまったため、品質の高いカベルネ・ソーヴィニョンの仕入れ先としてPaso Roblesエリアを検討していたところ、Hope Family Winesに辿り着きリバティー・スクールの仕入れ先に指定しました。

※1996年にはケイマス・ヴィンヤーズからHope Family Winesへリバティー・スクールが売り渡されました。

数々の偉業を成し遂げたケイマス・ヴィンヤーズ

Wine of the Year Caymus Special Selection

Wine of the Year Caymus Special Selection
参照元:meetup.com

1989年にWine Spectator誌がCaymus Special Selection Cabernet Sauvignon1984をWines of the Yearに選定しました。

また、5年後の1994年にもCaymus Special Selection Cabernet Sauvignon1990をWines of the Yearに選定し、ケイマス・ヴィンヤーズはこの名誉ある賞を2度受賞した唯一のワイナリーとなりました。

Charlie and Chuck Wagner

Charlie and Chuck Wagner
参照元:wagnerfamilyofwine.com

更に、2001年にはケイマス・ヴィンヤーズの功績が称えられChuck Wagnerとその息子であるCharlie Wagner(祖父である創設者と同名)がWine Spectator誌のHall of Fameに選定され、殿堂入りを果たしました。

※Chuck Wagnerは2007年に同誌からワインビジネスに多大な貢献を果たした個人に贈られる「Distinguished Service Award」も受賞しています。

ケイマス・ヴィンヤーズが展開するその他のブランド ~Wagner Family of Wines

当初、ケイマス・ヴィンヤーズで造られていたソーヴィニョン・ブランには改善の余地が多大にあった事から、最終的にケイマス・ヴィンヤーズから取り扱いを消し、別ブランドで展開する事にしました。

この方法を採用する事で各ブランドが扱う品種に特化し、クオリティの高いワインを造る事が出来ると確信したChuck Wagnerは、手掛けるワインを品種ごとに別ブランド(ラベル)で展開する事にしました。

以下にChuck Wagnerが展開するブランド(Wagner Family of Wines)をご紹介します。

Mer Soleil
Mer Soleil1988年にモントレー郡のSanta Lucia HighlandsのSalinas Valleyに100エーカーの土地を購入してChuck Wagnerによって設立されたワイナリーで、シャルドネを65エーカー、ヴィオニエを12エーカー植え、残りをピノブラン、ルーサンヌ、ピノグリ、サンジョヴェーゼ、ネッビオーロ、ドルチェットの実験区画にしました。

現在はシャルドネとピノノワールに特化したワインをリリース
し、息子のCharlie Wagnerが監督しています。Mer Soleilは、海と太陽という2つの自然の力に因んで名付けられました。

Conundrum
ConundrumConundrumの白ワインはシャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン、マスカットカネリ、ヴィオニエのブレンドです。

当時、白ワインをブレンドする文化が無かった時代に登場したこのワインは大変珍しいワインでした。

ブドウは1989年がファーストヴィンテージになり、ナパ、モントレー、サンタバーバラ、サンベニート、ソラノ、テュレア各郡から調達されています。2011年にはプティシラー、ジンファンデル、カベルネソーヴィニョンから造られるConundrum Redをリリース。

ヴァルディギエという希少なブドウをブレンドしたロゼもリリースしています。

Emmolo Wines
Emmolo Wines1994年にCheryl Emmoloによって設立されたブランドで、Sauvignon BlancとMerlotに特化しています。

2011年から娘のJenny WagnerがEmmolo Winesの事業を引き継いでいます。

曾祖父のSalvatore Emmoloは、1923年にイタリアからナパバレーに移住し、ブドウの苗床を営んでいました。
この苗床は、数十年にわたってナパバレーのワイン生産者の主要サプライヤーになっていました。

Red Schooner
Red Schoonerアルゼンチンのアンデス山脈で栽培されたブドウ(品種:マルベック)から造られるワインで、ナパバレーに冷蔵出荷され、しなやかなケイマススタイルで生産された濃厚なワインです。

ラベル表示の基準を満たしていないためヴィンテージの表示はありません。
当初はナパバレーのマルベックでワインを造る予定でしたが、品質を追求した事からマルベックの本場アルゼンチンのブドウを使う事にしました。

Sea Sun
Sea Sunサンタバーバラ郡、モントレー郡、ソラノ郡が持つシャルドネの成長に理想的な条件(十分な日差しと沿岸気候)に着目し、この3つのエリアからブドウを仕入れ、各地域の独自の品質を組み合わせたシャルドネをリリースしています。

また、この3つのエリアからピノノワールの生産も開始しています。

Bonanza
Bonanza個々のアペラシオンやヴィンテージの境界を取り除いて、ケイマス・ヴィンヤーズではないカベルネ・ソーヴィニョンを造る事を目的としたワインです。

ブドウの調達元は非公開となっておりますが、NV(Non Vintage)である事と、アペラシオンがカリフォルニア表記である事からセカンドやサード的な位置付けのカベルネ・ソーヴィニョンであると考えられます。

Caymus Vineyardsリリースワイン一覧

ケイマス・ヴィンヤーズでは、1972年の創業時からリリースされているカベルネ・ソーヴィニョンとその特別な樽のセレクションであるカベルネ・ソーヴィニョン・スペシャル・セレクションの他に、ジンファンデルとプティシラーもリリースしています。以下にリリースワインの詳細をご紹介します。

Napa Valley Cabernet SauvignonSauvignon
CAYMUS NAPA VALLEY CABERNET SAUVIGNONケイマス・ヴィンヤーズ・カベルネ・ソーヴィニョンは1972年の創業時からリリースされているワインで、ケイマスの土地で栽培されたブドウを使用していますが、ナパバレーの他のブドウ畑からもブドウを調達しています。
※ナパバレーの16のサブアペラシオンのうち8か所からブドウを調達。
Special Selection Cabernet Sauvignon
CAYMUS SPECIAL SELECTION CABERNET SAUVIGNON収穫されたブドウの出来が本当に良い年のみに造られ、その中で本当に出来の良い樽のみをSpecial Selectionとして選定し、リリースされる最高品質のシリーズです。

Wine Spectator誌によってWines of the Yearを2度受賞した唯一のカベルネ・ソーヴィニョンです。

Napa Valley ZINFANDEL
CAYMUS NAPA VALLEY ZINFANDEL創業者のCharlie Wagnerが好んだ事から、創業当時より少量のジンファンデルを造っています。

ワイナリーでのみ販売し、一部の国に輸出しています。ジンファンデルのブドウのほとんどは、セントヘレナのブタラブドウ園から供給されており、少量のプティシラーをブレンドして仕上げます。

Caymus-Suisun Grand Durif
Caymus-Suisun Grand Durifカリフォルニア州ソラノ郡サスーンバレーでDurif(プティシラーの別名)から造られるCaymus-Suisun Grand Durifは2014年にケイマス・ヴィンヤーズが調査を開始し、見つけた土地で造られます。

サスーンバレーはケイマス・ヴィンヤーズの南東に位置し、車でわずか40分の場所にあり、暖かい日中と涼しい夜がDurifに最適であると考えられています。

創業者Charlie Wagnerの死 ~ケイマス・ヴィンヤーズが次のステージへ

2002年2月20日にケイマス・ヴィンヤーズ創業者Charlie Wagnerが89歳で亡くなりました。

Charlie Wagnerはケイマス・ヴィンヤーズを設立する前は、高品質なブドウを栽培し周囲のワイナリーへ安価で販売していましたが、それらのブドウがブレンドに使われるのを見てうんざりし、60歳という高齢で家族と共にケイマス・ヴィンヤーズを設立。

その品質は瞬く間に評価され、結果としてナパバレーワイン産業の発展とナパバレーにおける高品質ワインの波を生み出しました。

Charlie Wagnerはケイマス・ヴィンヤーズを設立する前のブドウ販売業の時に元従業員の中毒患者に22口径のライフルで顔、足、胴体に8発の弾丸を撃ち込まれ奇跡的に生還した過去があります。

何とも壮絶な生き様でしたが、その89年の人生に幕を下ろしました。

Charlie Wagner亡き後もケイマス・ヴィンヤーズの勢いは止まりません。

名声を欲しいままにしていたケイマス・ヴィンヤーズは、2007年にロサンゼルスに本社を置く高級クルーズ会社Crystal Cruisesからの依頼で570リットル(約60ケース分)のケイマス・ヴィンヤーズ・スペシャル・セレクション・カベルネソーヴィニョン巨大ボトルを造りました。

そして、Caymus Vineyards Napa Valley Cabernet Sauvignonがこの世に誕生して40年が経過した2012年には40周年記念ラベルをリリースしました。

翌年2013年にChuck Wagnerの母であり、創業メンバーのLorna Belle Glos Wagnerが97歳で亡くなります。長い間静かに舞台裏で支えてくれた重要な存在でした。

それでもChuck Wagner率いるケイマス・ヴィンヤーズはその手を緩めません。

同じ2013年にはナパバレーのすぐ東に隣接するソラノ郡にワイナリーと倉庫施設を建設する目的で178エーカーの土地を購入。

これまではラザフォードの施設でワインを造っていましたが、ソラノ郡のワイナリー及び施設が完成するとラザフォードでは引き続きケイマス・ヴィンヤーズを造り、その他のブランドを新施設で造る事が可能になります。これにより交通と労働力を軽減しWagner Family of Wineに利益をもたらします。

CAYMUS VINEYARDS Rutherford Winery

参照元:meyersound.com

ラザフォードにあるケイマス・ヴィンヤーズのワイナリーではリラックスした心地よい環境づくりを心掛けています。

この伝統はテイスティングルームと屋外シーティングエリアでも体現されており、Meyer Sound社製の47台の屋外スピーカーと12台の屋内スピーカーから音楽が流れています。

ケイマス・ヴィンヤーズでは良い仕事は、良い職場環境から生まれるという信念を持って、働く環境づくりに注力しています。

Mariah Carey GTFO

参照元:variety.com

ケイマス・ヴィンヤーズの人気は意外なところで実感出来ます。

2018年にアメリカのシンガーソングライター、マライア・キャリーは、彼女のシングル「GTFO」の歌詞の中でケイマス・ヴィンヤーズを引用しました。

“Who was the knight in shining armor? I could’ve sworn you’d love me harder Might as well down this Caymus bottle I ain’t the type to play the martyr.”

実はマライア・キャリーはケイマス・ヴィンヤーズのワイナリーを訪れる程の愛好家だったのです。

2020年にケイマス・ヴィンヤーズはラザフォードのRutherford Vista Vineyardsというブドウ栽培業者を約600万ドルで買収しました。この会社はLarry BettinelliとMichael Browningがパートナーシップを組んで運営しています。Larry Bettinelliは5世代続くナパバレーでも有名なブドウ農家で、2016年にNapa Valley Grower of the Yearに選出された実力者です。

そして、2021年半ばにはソラノ郡Suisun ValleyにCaymus-Suisun Wineryのオープンを予定しています。約60,000平方フィートの建築スペースと年間200,000ガロンのワインを生産する能力を持つこのプロジェクトは、伝統的なプティシラーのやわらかいバージョンであるGrand Durifグランド・ドゥリフを専門とし、テイスティングルームも完備された最新の施設を建設します。
※既に同じソラノ郡のFairfieldのCordelia RoadにCaymus Vineyards Cordelia Wineryという名称で178エーカーの広大な倉庫と生産施設を保有しています。

Caymus-Suisun Valley Winery

参照元:medium.com

Chuck Wagner率いるケイマス・ヴィンヤーズ及びWagner Family of Wineの近況

1972年に父Charlie Wagner、母Lorna Belle Glos Wagner、息子Chuck Wagnerで始めたケイマス・ヴィンヤーズは、その拘り抜かれた品質の高さからWine of the Yearを2度受賞する前代未聞の偉業を遂げ、ナパバレーワイン産業の歴史に大きな爪痕を残しました。

Chuck Wagnerが完全に継承してからはWagner Family of Wineとして拡大を続け、その名に恥じぬ功績を積み重ねてきました。

現在、Chuck Wagnerの4人の子供のうちJoeは独自のブランドを立ち上げ活躍しています。

CharlieとJennyはワイン生産者となってChuck Wagnerと一緒に働き、家族の遺産を継承していますが、Chuck Wagnerの精力的な事業活動はまだまだ現役として続きそうです。

Wagner’s Family

Charlie, Jenny, Joe and father Chuck Wagner
参照元:winespectator.com

テイスティング・レポート

Napa Valley 1978 vs Special Selection 1998
2020年5月6日

Caymus Napa Valley Cabernet Sauvignon 1978はその古さからコルクが沈んでいました。

パニエで斜めに差し中に落ちるのを防ぎながら無事抜栓に成功。
一方、Caymus Special Selection Cabernet Sauvignon 1998の方はコルクが約6cmもあり、抜栓途中で油断すると折れてしまう危険性があるので注意。

 NAPA VALLEY 1978 vs SPECIAL SELECTION 1998, NAPA VALLEY 1978,SPECIAL SELECTION 1998

Caymus Napa Valley Cabernet Sauvignon 1978

熟したプラムのニュアンスから始まり、42年の熟成を経てもカベルネ・ソーヴィニョン特有の杉や針葉樹の香りがシッカリと取れる。

時間が経つと枯れ葉や葉巻のニュアンスが強くなる。味わいは甘みはソフトで酸味はシッカリしている。苦味はこの熟成年数だと完全に溶け込んでいる印象。

杉や針葉樹のニュアンスが強く、酸味がシッカリ残っているのが特徴的でした。

このヴィンテージでやや飲み頃過ぎた感はありますが玄人向けの見事な1本で当編集部では圧倒的に評価が高かった。

Caymus Special Selection Cabernet Sauvignon 1998

やや熟したブラックベリー、ブラックチェリーの香りから始まり、仄かなバニラとタールのニュアンスが取れる。

また、ダークチョコレートのニュアンスもある。味わいは甘みは上記のNapa Valley Cabernet Sauvignon 1978よりもやや強く、酸味は滑らか。

苦味はこのヴィンテージでも比較的シッカリ残っている。各項目においてバランス良く整えた万人向けのワインといった印象。

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カリフォルニアワインについて

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