La Jota Vineyard(ラ・ホタ・ヴィンヤード)

1800年代にヨーロッパ移民によって設立されるも、禁酒法時代(1920年~1933年)に休止を余儀なくされた事で手付かずの廃墟と化していた古いワイナリーを石油会社を経営するBill Smithと妻のJoanが復活させた事で始まったLa Jota Vineyardラ・ホタ・ヴィンヤードが辿った栄光の軌跡をご紹介します。貴重なバックヴィンテージのワインテイスティングレポートもあわせてお届けします。

ラ・ホタ・ヴィンヤードの歴史

1888年、ワイン造りのパイオニアであるW.S. Keyesがハウエルマウンテンに最初のブドウの木を植え、その10年後、スイスからの移民であるFrederick Hessフレデリック・ヘスがハウエルマウンテンの高台にあるRancho La Jotaランチョ・ラ・ホタというメキシコの土地の中からブドウ畑の為に327エーカーを購入しました。

1898年にはその敷地内で切り出した火山灰岩を使用してワイナリーを建設しました。ワイナリー建設からわずか2年後の1900年のパリ万国博覧会ではラ・ホタ・ヴィンヤードのワインは銅メダルを獲得し、国際的に認められました。更にセントルイスで開催された1904年の万国博覧会で金メダルを獲得し、たちまち名声を得ました。しかしながら、1920年から1933年まで続いた禁酒法の期間、ワイナリーは手付かずの状態となってしまいます。

Bill and Joan Smith

Bill and Joan Smith
参照元:tomeiwines.com

1974年になると休止していたラ・ホタ・ヴィンヤードを石油会社を経営するBill Smithと妻のJoanが購入します。夫妻は荒廃したブドウ畑の再植林に着手し、カベルネ・ソーヴィニョンとジンファンデルを増殖していきました。

1982年になると隣人であるダン・ヴィンヤーズのオーナー「ランディ・ダン」のサポートでラ・ホタ・ヴィンヤード初のカベルネ・ソーヴィニョンをリリースし、翌年にはジンファンデルのリリースも実現します。そして1983年にハウエルマウンテンの地がAmerican Viticultural Area (AVA)に認定されアメリカの正式なブドウ栽培地域となりました。

ブドウの大半はワイナリーの近くにある3つの畑から調達されています。立地は標高1,500フィート以上で谷底の霧の上にあり、非常に岩の多い土壌は火山性で、水はけが良く、ハウエルマウンテン特有の赤みを帯びた火山性土壌で知られています。

躍進から売却へ ~ラ・ホタ・ヴィンヤードが迎えた数々の局面

W.H.Smith Wines Pinot Noir

W.H.Smith Wines Pinot Noir
参照元:cellartracker.com

しかしながら1980年代のラ・ホタ・ヴィンヤードのワインは非常に素朴なものでした。そこで、1992年に全米でも著名なコンサルタントワインメーカーであるHelen Turleyヘレン・ターリーを迎え入れると年々ラ・ホタ・ヴィンヤードのワインの評価は上がっていきます。

Bill Smithはヘレン・ターリーにラ・ホタ・ヴィンヤード内に場所を間借りさせ、独自にワインを造る事を容認していました。代わりにヘレン・ターリーはピノノワールの造り方について貴重な見識を与え、ソノマにあるHellenthal Vineyardを紹介します。Bill SmithはこのHellenthal Vineyardから仕入れたブドウで造るピノノワールをW.H.Smith Wines Hellenthal Vineyardとして別ブランドでリリースしました。

そんな矢先の2001年にBill Smithは低価格帯のワインで有名なMarkham Vineyardsにラ・ホタ・ヴィンヤードを売却します。Markham Vineyardsの親会社は日本企業キリンホールディングス傘下のメルシャン株式会社です。これによりMarkham Vineyardsは主戦場であった低価格帯のみならずハイエンド市場への参入を果たす事になります。

Chris Carpenter

Chris Carpenter
参照元:napavintners.com

2005年になるとJackson Family Winesがラ・ホタ・ヴィンヤードを購入し、再度所有権が移転します。Jackson Family Wines傘下ではワインメーカーにChris Carpenterを迎え入れます。

Chris Carpenterはイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で生物学の学士号を取得し、イリノイ大学シカゴ校でマーケティングと国際ビジネスの修士号を取得しました。

卒業後にナパバレーを訪れた際にワインの魅力に目覚めカリフォルニア大学デイビス校のブドウ栽培・醸造学科で修士号を取得した後、イタリアとカリフォルニアのワイナリーで経験を積んだ経歴を持ちます。

La Jota Vineyard Map

ラ・ジョタ・ヴィンヤーズではハウエルマウンテンAVAに自社の畑を所有しカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン、プティヴェルド、マルベック、タナ、シャルドネを栽培しています。以下にその詳細をご紹介します。

Vineyard Map

Vineyard Map
参照元:lajotavineyardco.com

近年のラ・ホタ・ヴィンヤード

William Howard Smith

William Howard Smith
参照元:napavalleyregister.com

Jackson Family Wines傘下に入ってからのラ・ホタ・ヴィンヤードは100余年の歴史と伝統を受け継ぎ、現在、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フラン、シャルドネを生産しています。

一方、創業者のBill Smithはラ・ホタ・ヴィンヤードの売却益で自らのブランドW.H.Smith Wines(Piedra Hill Vineyard)を設立し、ワイン造りに関与してきましたが2017年6月13日にセントヘレナの自宅で亡くなりました。享年87歳。

ワインテイスティングレポート

La Jota Vineyards Howell Mountain Cabernet Sauvignon 1994
2020年12月10日

ハウエルマウンテンの厳選したブロックから収穫されたブドウを使って造られるこのワインは、Helen Turleyヘレン・ターリーがコンサルティングワインメーカーとして監修していた時期のもので、アニバーサリーシリーズであるLa Jota Vineyards Howell Mountain Cabernet Sauvignon 1994は高い評価を受けていたヴィンテージです。

ブラックベリーやブラックチェリーのような濃縮した黒系果実のジャミーな香りから始まり、カベルネ・ソーヴィニョン特有の杉や針葉樹のニュアンスはシッカリと感じられる。また、ややスモーキーで土っぽいニュアンスも取れる。味わいは甘み控えめで酸味は比較的シッカリとしている。タンニンはこのヴィンテージでも非常に強く感じられ収斂性がある。強い酸味とタンニンが印象的な1本でした。

La Jota Vineyards Howell Mountain Cabernet Sauvignon 1994
カリフォルニアワインについて

ABOUTこの記事の監修者

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
2011年よりカリフォルニアワインのバックヴィンテージを追求。 ナパバレー、ソノマに足を運び数多くの名門ワイナリーを訪問。 主に海外のワインオークションで希少なバックヴィンテージを調達。

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