Screaming Eagle

Screaming Eagle(スクリーミング・イーグル)

不動産業で成功を収めた女性起業家Jean Phillipsによって、1986年ナパバレー・オークヴィルに設立されたワイナリーがこのスクリーミング・イーグルです。ロバート・パーカーによって1992年のファーストヴィンテージに初登場し99点の超高得点が付けられた事を機に、カリフォルニア最高峰のワイナリーにまで登り詰めた歴史と栄光の軌跡をご紹介します。

スクリーミング・イーグルの歴史

Jean Phillips and Heidi Barrett

Jean Phillips and Heidi Barrett
参照元:cultwine.com

1986年に不動産事業で成功を収めていた女性起業家Jean Phillipsジーン・フィリップスが、オークヴィルにある57エーカーの土地(畑)を購入。

この土地には様々なブドウ品種が植えられており、ナパの多くのワイナリーへブドウを販売する事から始まりました。ある時、Robert Mondaviロバート・モンダヴィ氏の助言から1エーカー(約80本)のカベルネ・ソーヴィニヨンが高いポテンシャルを持っている事を知り、コンサルタントにRichard Petersonを招いてワイン生産者へと転身します。

1992年になると初代ワインメーカーにRichard Petersonの娘であり全米でも指折りのワインコンサルタントとして著名になったHeidi Peterson Barrettハイジ・ピーターソン・バレット(シャトー・モンテレーナCEOボー・バレットの妻)を迎え、スクリーミング・イーグルとして本格的にワイン造りを開始します。

当時は隣接するDalla Valle VineyardsのオーナーGustave Dalla Valleもこのワイン造りに協力しました。

瞬く間にトップワイナリーへと登り詰めるスクリーミング・イーグル

1992 Screaming Eagle Cabernet

1992 Screaming Eagle Cabernet
参照元:benchmarkwine.com

ファーストヴィンテージはScreaming Eagle Cabernet Sauvignon 1992で1995年に200ケースのリリースとなりました。

このファーストヴィンテージであるスクリーミング・イーグル1992が世界的ワイン評論家であるロバート・パーカー監修ワインアドヴォケイト誌の採点で99点を獲得し、一気に注目が集まりました。

同年1995年には所有する畑のうち50エーカーに対してカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローへの植え替えを実施し、生産量を増やせるよう体制を整え始めます。

度重なる所有権の移転

Charles Banks,Stan Kroenke

左:Charles Banks 右:Stan Kroenke
参照元:winespectator.com , thefamouspeople.com

2006年3月になると創業者であるJean Phillipsはサンタ・バーバラを拠点とする投資家Charles Banksチャールズ・バンクスとそのビジネス・パートナーである起業家のStanley Kroenkeスタンリー・クロエンケにスクリーミング・イーグルを売却します。

Jean Phillipsは約20年にわたる激動のスクリーミング・イーグル運営の中でそろそろのんびりしたいと考えており、そこへタイミングよくオファーが来ました。それでも決断に至るまでには相当悩んだそうですが、結局このオファーを受けました。売買価格は非公表ですがワインスペクテーター誌では、この買収は2,000万ドルから3,000万ドル以上の価値があると見積もっています。

新体制では様々な改革が実施されました。57エーカーの土地(畑)の多くは植え替えが必要な為、ヴィンヤード・マネージャーにDavid Abreuを招き、徐々に植え替えを進めます。また、ワインメーカーにはStag’s Leap Wine Cellars、Spottswoode、Harlan Estate等で経験を積んだAndy Erickson、コンサルタントには世界的に著名なMichael Rolandミシェル・ローランドを迎えます。

更に新しいグラビティ・フロー方式のワイナリー建設を進め、新生スクリーミング・イーグルとして始動しました。

2009年4月になるとCharles BanksとStanley Kroenkeはスクリーミング・イーグルにおけるパートナーシップを解消しました。これによりStanley Kroenkeはスクリーミング・イーグルの経営を全面的に担う事になりました。一方、Charles Banksはワイン業界への投資を目的とした投資会社Terroir Capitalを設立し、投資家として活動します。

新体制で次のステージへ

Nick Gislason

Nick Gislason
参照元:cluboenologique.com

2012年になるとStanley Kroenkeの単独所有となった新体制スクリーミング・イーグルでは、アシスタントワインメーカーだったハーラン・エステート出身のNick Gislasonニック・ギスラソン(当時は未だ30歳の若手醸造家)を昇格させ、2つの大きな改革を進めます。
Screaming Eagle Line Up

左:Screaming Eagle Sauvignon Blanc 中:Cabernet Sauvignon 右:Second Flight
参照元:new.qq.com

1つは目Screaming Eagle Second Flightスクリーミング・イーグル セカンド・フライトと呼ばれるセカンドワインをリリース。

このセカンド・フライトは若木から収穫されたブドウやスクリーミング・イーグルで使われなかったブドウから作られ、更にメルローがブレンドされる事からスクリーミング・イーグルとは全く異なるスタイルとなっています。

2つ目は僅か30~50ケース程度ではありますがScreaming Eagle Sauvignon Blanc Oakvilleスクリーミング・イーグル ソヴィニヨン・ブランの生産を開始しました。

販売は極めてクローズドに行われており、非常に高値で取引されています。2015年になるとScreaming Eagle Second Flightスクリーミング・イーグル セカンド・フライトはThe Flightに改名されます。

理由は年々、メルロー比率が高まり、スクリーミング・イーグルとは全く異なるスタイルになっていった事でスクリーミング・イーグルのセカンド的な位置付けを連想させるネーミングがふさわしくないと考えたからです。こうして1992年のファーストヴィンテージを機に不動の地位を築き上げていったのです。

スクリーミング・イーグルのワインについて

西向きの斜面に面し、52の独立した区画に分けられたスクリーミング・イーグルの畑は岩、石、砂利、ローム、粘土質の土壌で構成されています。この土壌の下層土では様々な変化が起こっており、これによってワインに複雑さを与えています。

ワインのラベルは非常にシンプルではありますが、2010年のスクリーミング・イーグルとスクリーミング・イーグル・セカンド・フライトから全てのボトルにコード化されたセキュリティシステムが搭載されており、オンラインですぐにボトルが本物であるかどうかを確認する事が出来ます。

スクリーミング・イーグルのワインは、1992年のファーストヴィンテージを機にロバート・パーカー監修ワインアドヴォケイト誌で並外れたレベルの高評価を獲得してきました。これまで1992年から2018年までに7度の100点、3度の99点、4度の98点という快挙を成し遂げています。

このように前代未聞の高評価を獲得するスクリーミング・イーグルのワインは、2000年に開催された米国最大級のチャリティ・ワイン・オークション「Auction Napa Valley」で、ファーストヴィンテージであるScreaming Eagle 1992のマグナムボトル6本セットが$500,000という価格で落札されたという驚異的な記録も持ち合わせております。

Ratings of Screaming Eagle vintages

現在のスクリーミング・イーグル

2018年ヴィンテージでも100点満点を獲得し、依然として勢いのあるスクリーミング・イーグルのStanley Kroenkeは2017年1月にブルゴーニュ最高生産者の一つであるボノー・デュ・マルトレイを傘下に収めました。

ボノー・デュ・マルトレイはコルトン・シャルルマーニュ最大Bonneau du Martrayの生産者でドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)がこの畑を借りて2018年よりコルトン・シャルルマーニュを生産するほどの実力者です。また、Kroenkeはスポーツをはじめとする多様な産業への投資を積極的に行っています。

NFLのLos Angeles Rams、イングランドのサッカーチームArsenal FC、NBAのDenver Nuggets、その他多数。また、精力的に活動するStanley Kroenkeは2020年にカリフォルニア州ロサンゼルスにある新聞社ロサンゼルスビジネスジャーナルが選ぶBusiness Person of the Yearに選ばれました。

Stanley Kroenke Business Person of the Year

Stanley Kroenke Business Person of the Year
参照元:labusinessjournal.com

Stanley Kroenke率いるスクリーミング・イーグルでは有名になっても、世界中から注目されても、ほぼ満点の評価を受けても、石造りの納屋で2人の女性が肩を並べて熱心にワイン造りに励んでいた当初のビジョンに今なお忠実であり続けています。

ワインテイスティングレポート

Screaming Eagle Cabernet Sauvignon 1999 vs Screaming Eagle Second Flight Oakville Napa Valley 2009

Screaming Eagle Cabernet Sauvignon 1999
2022年2月28日

ブラックチェリーやブラックベリーのような黒系果実の香りと微かに杉や針葉樹、ハーブのニュアンスも取れる。

甘味はソフトで酸味は極めて上品。タンニンは緻密で強過ぎない。全体的に力強くありながら非常にエレガントにまとまっており、最上級のフランス・ボルドーを思わせる1本でした。素晴らしい!

Screaming Eagle Second Flight Oakville Napa Valley 2009
2022年2月28日

ブラックチェリーやブラックベリーの様な黒系果実の香りがシッカリと感じられ、クローヴやモカ、甘草のニュアンスが取れる。また、ややスパイシーでスモーキーさがあり、土っぽい印象も受ける。

甘味はScreaming Eagle Cabernet Sauvignon 1999よりは感じられるがソフト。酸味は上品でタンニンの余韻は長いが収斂性があるというよりは緻密な印象。

2015年にScreaming Eagle Second FlightからThe Flightに改名されたようにScreaming Eagleのセカンド的な位置付けというよりも全く別のタイプの上級ワインといった印象。

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カリフォルニアワインについて

ABOUTこの記事の監修者

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
2011年よりカリフォルニアワインのバックヴィンテージを追求。 ナパバレー、ソノマに足を運び数多くの名門ワイナリーを訪問。 主に海外のワインオークションで希少なバックヴィンテージを調達。

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