Kosta Browne

コスタ・ブラウン(Kosta Browne)

カリフォルニアの地で世界レベルのピノノワールを造りたいという同じ夢を持ったレストランの同僚Michael BrowneとDan KostaがKosta Browneを設立しカリフォルニアのトップピノノワール生産者にまで登り詰めた栄光の軌跡をご紹介します。貴重なバックヴィンテージのワインテイスティングレポートもあわせてお届けします。

コスタ・ブラウンについて

Michael Browne and Dan Kosta

Michael Browne and Dan Kosta
参照元:princeofpinot.com

Michael BrowneとDan Kostaはソノマの有名レストランJohn Ash and Coの出身です。Michael Browneはサンフランシスコ生まれのワシントン育ち。建築家を目指して1987年にSanta Rosa Junior Collegeに入学。在学中にレストランや小売店でアルバイトをして自然とワインに携わる機会が多くありました。

いつしかワインメーカーになる夢を持つようになったMichael BrowneはJohn Ash and Coでソムリエを務めるまでに成長していました。一方、Dan Kostaはソノマ出身で父親がSanta Rosaでワイン店を経営していました。John Ash and Coではゼネラルマネージャーにまで登り詰めました。いつしかワイナリーに携わりたいという夢を持ち始めました。

同じ夢を持つMichael BrowneとDan Kostaはピノノワールへの共通の愛を持っており、1997年に最初のワインを造りました。そしてブランド名は両者の名前を取ってKosta Browneコスタ・ブラウンと名付けられました。

予想外の事態で廃業の危機に追い込まれるコスタ・ブラウン

Chris Costello

Chris Costello
参照元:thedrinksbusiness.com

2000年になるとMichael Browneはウィリアムズ・セリエムの元アシスタントワインメーカーであるJohn Ferringtonにウィリアムズ・セリエムの供給源となっていたCohn Vineyardの所有者と繋いでもらいCohn Vineyardからピノノワールを仕入れる事に成功しました。しかしながらピノノワールをリリースするには熟成させる時間が必要であり、その間の資金繰りが必要である事が判明しました。

更に2001年9月11日に発生した同時多発テロの影響も相まってビジネスを軌道に乗せるには当初の想定以上の時間が必要である事が予想された為、地元の起業家であるRick Markoff、Jim Costelloそして息子のChris Costelloと組みパートナーシップを締結しました。チームは事業計画を見直し人脈を駆使した結果、19人の投資家から100万ドル弱を調達する事に成功しコスタ・ブラウンの廃業を避ける事が出来たのです。

後にチームのリーダーであるChris Costelloはこの時の事を次のように述べています。

「何度も廃業を考えましたがMichael Browneの熱意とDan Kostaのカリスマ性に心を動かされました」

チームの忍耐は報われMichael BrowneとDan Kostaは素晴らしいワインを造る事に専念出来るようになりました。

コスタ・ブラウンの大躍進劇が始まる!

Michael Browneの目標はWine Spectatorの評価で90ポイント超えを獲得するという事でした。ある時、誰もが夢だと思っていたこの目標が現実となります。2003年ヴィンテージのピノノワールで2つ95点を獲得したのです。更に同じ2003年ヴィンテージの別のピノノワールでも90、92、93、93と90ポイント超えを4つも獲得しました。コスタ・ブラウン程の小さなワイナリーとしては前例のない事でした。

このニュースを聞いたMichael Browneは「恐れおののいた」と言います。コレクターや愛好家の目に留まるようになるとコスタ・ブラウンのワインはたちまち需要が急増し、オンリストするレストランが増え、毎年ヴィンテージは即時完売しました。こうしてコスタ・ブラウンはRussian River Valleyの著名な生産者の1つとなっていったのです。

暫くの間はワイナリーを持たずあちこちで場所を間借りしていましたが、最終的にSebastopolにあるリンゴ加工工場跡地を長期リースで契約しワイナリーを建設しました。

Cirq

Cirq
参照元:cirq.com

2009年になるとコスタ・ブラウンはソノマを拠点とする投資会社Vincraftに過半数の経営権を売却しました。運営体制はこれまでと変わりなくDan Kosta、Chris Costello、Michael Browneの3人は営業、マーケティング、経営、ワインメーカーとしてワイナリーに残ります。

同年秋にはKostaとBrowneが事業から離れ、BrowneがCirqと呼ばれる彼自身のブランドを立ち上げました。

2011年にはワインスペクテイター誌が選ぶWine of The Year 2011にKosta Browne Pinot Noir Sonoma Coast 2009 が選出されました。更に2013年になるとSebastopolのリンゴ加工工場跡地を改装したアウトドア商業施設The Barlowに新しいワイナリーをオープンします。

wine of the year 2011

wine of the year 2011
参照元:static1.squarespace.com

そして、同年にロシアン・リバー・バレーのKeefer Ranchを購入し初のエステートワインを造ります。2016年になるとメンドシーノ郡アンダーソンバレーのCerise Vineyardを購入し更に幅を広げます。KostaとBrowneが事業から離れてもコスタ・ブラウンの勢いは増す一方です。

コスタ・ブラウンが管理・所有する畑と主なリリースワイン

コスタ・ブラウンでは北からAnderson Valley、Sonoma Coast、Russian River Valley、Santa Lucia Highlands、Sta.Rita Hillsの5つの地域でブドウを栽培しており、それぞれ5つの土地にリリースされるアペラシオンワインと各5地域の中の単一畑で収穫されたブドウを使って造られるシングルヴィンヤードワインの2種類に大別されます。メインはピノノワールで若干のシャルドネもリリースしています。

Mendocino郡Anderson Valley

Cerise Vineyard
標高587フィートから1,620フィートの急な丘の中腹にある386エーカーの土地に造られた畑からは驚くほどのエネルギーと豊かさを兼ね備えたピノノワールを提供します。

Sonoma郡Russian River Valley

Cohn Vineyard
ウェストサイドロードから離れたヒールズバーグの近くにあるこの畑はJoe Andersonが所有する畑で並外れた深さと複雑さを備えたピノノワールを提供します。
Giusti Ranch
Giusti Familyが所有するこの畑はやや温暖な地域に位置し、理想的なゴールドリッジ土壌から濃縮した果実味を備えたピノノワールを提供します。
Keefer Ranch
Marcy Keeferと息子のCraig Strehlowが管理するこの畑はアペラシオン内で最も涼しい場所に位置しエレガントなピノノワールを提供します。
Koplen Vineyard
Dennisとその妻Lynn Koplenが所有するこの畑はOlivet Roadのすぐ東に位置し、少し傾斜したこの畑からは力強さとエレガンスを兼ね備えたピノノワールを提供します。
Kanzler Vineyard
Steve Kanzlerが所有するこの畑は太平洋から8マイルの場所に位置し、非常に冷涼な気候の影響を受けて洗練されたエレガントなピノノワールを提供します。
Miron
ロシアン・リバー・バレーにあるグリーンバレー最南端に位置するこの3エーカーの畑は海風の経路となっており冷涼な気候からエレガントなピノノワールを提供します。
Amber Ridge
2000年に植えられたこの畑はロシアン・リバー・バレー北部に位置し4つの異なるブロックからそれぞれの特徴を持ったブレンドを絶妙にブレンドします。
El Diablo Chardonnay
2008年に植えられたこの畑はロシアン・リバー・バレー東端の標高500フィートの寒暖差の激しい場所に位置し、シャルドネ栽培に理想的な環境下にあります。
One Sixteen Chardonnay
ロシアン・リバー・バレーの複数の畑から調達されたブドウで造られるこのワインはSebastopolの町を通り抜けるGravenstein Highway 116に因んで名付けられました。

Sonoma郡Sonoma Coast

Thorn Ridge Ranch
海からの冷たい風の影響を受ける丘の中腹に植えられたこのゴールドリッジ土壌の畑からは複雑で長期熟成を実現するピノノワールを提供します。
Gap's Crown Vineyard
Premier Pacific Vineyardsが所有するこの畑はPetaluma Gapの影響を強く受け非常に冷涼な気候からソノマ郡最高峰のピノノワールを提供します。

Monterey郡Santa Lucia Highlands

Rosella’s Vineyard Pinot Noir
Gary Franscioniが所有するこの畑はSanta Lucia Highlands最北端に位置し、Pisoniクローンを特徴とします。妻の名前に因んで名付けられました。
Garys'Vineyard
Gary FranscioniとGary Pisoniが所有するこの畑の収穫はカリフォルニアで最も生育期間が長く驚くほどのフレーバーと果実味を持ったピノノワールを提供します。
Pisoni Vineyard
Gary Pisoniが所有するこの畑は標高1,300フィートに位置し太平洋からの冷たい風と霧の影響で濃縮しミネラル感のあるピノノワールを提供します。

Santa Barbara郡Sta.Rita Hills

Mt.Carmel
廃墟となったカルメル会修道院を囲むこの畑は非常に冷涼な気候で粘土と石灰岩の土壌からはタンニンと酸味のあるピノノワールを提供します。

その他

4 Barrel
70種類のピノノワールのロットから20の樽を厳選し最終的に4つの樽に絞り込んだ特別なこのワインはどのアペラシオンから来たかは関係ありません。

近年のコスタ・ブラウン

2018年7月ナパバレーのDuckhorn Vineyardsがコスタ・ブラウン買収を発表しました。この買収にはコスタ・ブラウンの全ての資産が含まれます。Michael Browneが設立し、現在も所有しているCirqは含まれません。Duckhorn Vineyardsは1年前に後継者問題で苦戦していた
Calera Wine Companyを傘下に収めており勢いよく事業を拡大しているブランドです。

Duckhorn Portfolio

Duckhorn Portfolio
参照元:duckhornportfolio.com

2020年になるとMichael Browneはロシアン・リバー・バレーの中心部に保有する自身の畑から新たにCHEVの名で新ブランドをリリースしました。

Michael Browneは現在、自身のブランドCirqでワイン造りに携わっています。Dan Kostaは著名な飲食業界の経営者Emeril Lagasseとパートナーシップを組みAldenAlliというブランドのワイナリーを設立しました。コスタ・ブラウンの創業者Michael BrowneとDan Kostaが培ったワイン造りの哲学は別の形でいまだカリフォルニアの地で存続しています。

Dan Kosta and Michael Browne

Dan Kosta and Michael Browne
参照元:sfchronicle.com

ワインテイスティングレポート

アペラシオンワイン比較テイスティング
2020年12月21日

特定の地域(広域)のブドウをブレンドして造られるワインがこのアペラシオンワインです。今回は以下の3地域のアペラシオンワインを比較テイスティングします。

アペラシオンワイン比較テイスティング

Russian River Valley Pinot Noir 2015

ブルーベリーやプラムのような香りの中に甘草のニュアンスも取れる。若干ではあるがミントのニュアンスもある。味わいは甘みは比較的シッカリと感じられまろやか。酸味はそれほど感じられずなめらか。タンニンは緻密。

St.Rita Hills Pinot Noir 2016

非常に涼しいこの地域のピノノワールはラズベリーやザクロのような赤系果実の明るい印象の中にクローブ、オレンジの皮、バラの花びらのニュアンスが取れる。味わいは甘みは比較的シッカリと感じられまろやか。酸味はSanta Lucia Highlandsと同じくらいシッカリとしていてタンニンは緻密。Santa Lucia Highlandsよりも全体的にエレガントな印象を受けました。

Santa Lucia Highlands Pinot Noir 2015

一般的にはロシアン・リバー・バレーよりも涼しいこの地域のピノノワールはラズベリーのような赤系果実の明るい印象。スミレの香りがあり若干ではあるが紅茶のニュアンスも取れる。味わいは甘みは比較的シッカリと感じられまろやか。酸味はRussian River Valleyよりもシッカリとしていてタンニンは緻密。

シングルヴィンヤードワイン比較テイスティング
2020年12月21日

特定の単一畑(狭域)のブドウのみを使用して造られるワインがこのシングルヴィンヤードワインです。今回は以下の3つのシングルヴィンヤードワインを比較テイスティングします。

シングルヴィンヤードワイン比較テイスティング

Gap’s Crown Vineyard Sonoma Coast Pinot Noir 2015

ペタルマギャップの影響を強く受けて非常に冷涼なこの畑のピノノワールはラズベリーのような赤系果実の明るい印象の中にスミレやハーブのニュアンスが取れる。味わいは甘みはまろやかだが他のピノノワールと比較すると断然控えめ。酸味は非常にシッカリとしておりシャープ。タンニンは穏やか。

Keefer Ranch Russian River Valley Pinot Noir 2015

コスタ・ブラウンの畑の中で最も涼しいこの畑のピノノワールはラズベリーのような赤系果実の明るい印象の中に紅茶のニュアンスが取れる。味わいは甘みはまろやかだが他のピノノワールと比較すると断然控えめ。上品な酸味が後味に長く続きタンニンは非常にシルキー。今回のテイスティングの中で最もバランスが良く、エレガントな印象を受けました。

Giusti Ranch Russian River Valley Pinot Noir 2015

コスタ・ブラウンの畑の中でも温暖な地域に位置するこの畑のピノノワールはブルーベリーのような濃縮した黒系果実よりの香りの中にバラの花びらのニュアンスが取れる。更に若干ではあるが土やタバコのニュアンスも取れる。味わいは甘みは比較的シッカリと感じられまろやか。酸味は適度にありなめらか。タンニンは非常にシッカリとしており力強い。

全体を通してカリフォルニア特有の甘みのニュアンスは共通していますが、当編集部ではバランスが良く上品な酸味が印象的なKeefer Ranch Russian River Valleyが最も高評価でした。

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カリフォルニアワインについて

ABOUTこの記事の監修者

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
2011年よりカリフォルニアワインのバックヴィンテージを追求。 ナパバレー、ソノマに足を運び数多くの名門ワイナリーを訪問。 主に海外のワインオークションで希少なバックヴィンテージを調達。

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