Inglenook(イングルヌック)

イングルヌック(Inglenook)

幾度となく所有者が変わり、最終的には映画ゴッドファーザーの監督でお馴染みフランシス・フォード・コッポラによって運営されるようになったナパバレーで100年以上の歴史がある数少ないワイナリーの1つInglenookイングルヌックの栄光と軌跡をご紹介します。

イングルヌックの誕生と発展

ナパバレーでも歴史のあるワイナリーとして知られるInglenookイングルヌックは1871年にWilliam Watsonによって設立されました。William Watsonはナパバレーのワイン産地の1つYountvilleの名前の由来になったGeorge Yountの義理の息子でラザフォードの78エーカーの土地を購入。William Watsonはこの土地への熱い思いからイングルヌックと名付けました。イングルヌックとは炉端(煙突の横の窪地)の事で暖を求めて人々が集まる場所=居心地の良い場所を意味します。

William Watsonはすぐにブドウの木を植え、数年後にカリフォルニア大学ヘイスティングズ・ロースクール創設者のS.Clinton Hastingsへ土地を売却します。

Gustave Niebaum

Gustave Niebaum
参照元:inglenook.com

1879年になるとフィンランド・ヘルシンキ生まれの実業家Gustave Niebaumグスタフ・ニーバムに売却。Gustave Niebaumはアザラシの皮の商人としてサンフランシスコに進出しました。

1881年にニーバムはこのラザフォードに購入した土地にワイナリーを建設します。当時イングルヌックではワイナリーでワインを瓶詰めしないのが一般的で、鉄道でサンパブロ湾まで輸送し、そこからサンフランシスコでワインの樽を見つけて、レストランやワインブローカーに瓶詰めしてもらうという方法が採られていました。

Inglenook Cabernet Sauvignon 1941

Inglenook Cabernet Sauvignon 1941
参照元:inglenook.com

イングルヌックでは品質の高いワインを造る為にヨーロッパに頻繁に出向いてブドウ畑やワイナリーの慣習を観察し、多くのブドウの木を輸入し、熱心にワイン造りを研究しました。

その結果、イングルヌックのワインは非常に評判が良く1999年にはワインスペクテーター誌が選ぶ1900年代の偉大なワイン12選にInglenook Cabernet Sauvignon 1941が選ばれるまでになりました。このInglenook Cabernet Sauvignon 1941はChateau Mouton Rothschild 1945、Chateau Lafite Rothschild 1982、Chateau Latour 1961と同等に歴史的に見ても高い評価を獲得したワインでした。

John Daniels Jr.

John Daniels Jr.
参照元:lailvineyards.com

禁酒法時代に入ると他のワイナリー同様イングルヌックの稼働は停止し、解禁後の1933年に再稼働すると1939年にニーバムの大甥John Daniels Jr.ジョン・ダニエル・ジュニアの指揮の下、イングルヌックは再び脚光を浴びるようになります。

更に1940年代にはYountvilleの象徴的なワイナリーNapanook Vineyardsも取得しました。
※現在はDominus Estateドミナス・エステートが所有。

しかしながらワイナリーを厳格な基準で維持する為の経済力が伴わず、1964年になるとジョン・ダニエル・ジュニアはブランド名とワイナリー施設及びブドウ畑の一部(約100エーカー)をUnited Vintnersユナイテッド・ヴィントナーズに売却します。

フランシス・フォード・コッポラによるイングルヌックの再建

Francis Ford Coppola

Francis Ford Coppola
参照元:freep.com

1975年になるとナパバレー在住のワイン愛好家でありゴッドファーザーをはじめとする大ヒット作品を手掛ける著名な映画監督Francis Ford Coppolaフランシス・フォード・コッポラは、イングルヌックの大部分を取得しNiebaum-Coppola Estate Wineryとして始動させます。

但しイングルヌックというブランド名は取得していません。コッポラは1978年にカベルネ・ソーヴィニョンをベースにしたブレンドをNiebaum Coppola Rubiconという名でリリースします。1980年にはラザフォードのカベルネ・ソーヴィニョンが加わり、1988年ヴィンテージにはメルローと“Edizione Pennino”のジンファンデルをリリースし勢いに乗ります。

1995年には元々イングルヌックを構成していた歴史的なシャトーを含む残りの土地を購入し、エステートの再結成を実現します。そして中庭の噴水建設計画と共にシャトーの修復が開始されました。2002年になるとコッポラはJJ Cohn ranchとして知られる近隣の60エーカーの土地を購入し幅を広げます。
※JJコーンの孫で写真家のブレット・ロペスは、すぐにコッポラからJJ Cohn ranchの小さな区画を買い戻し後にラザフォード最上級のワイナリーとなるSCARECROWスケアクロウを設立します。

2003年にはシャトーの真後ろの丘の中腹に16,000平方フィートの洞窟(Infinity cave)建設に着手し、翌年に完成させます。
※2018年には23,000平方フィートに拡張されます。

Inglenook

Inglenook
参照元:inglenook.com

2006年にはラザフォードのNiebaum-Coppola Estate WineryをRubicon Estate Wineryに改名しリブランディングします。

他のコッポラブランドはアレクサンダー・バレーの新拠点に移転しました。そして2011年にはついにイングルヌックの商標権を取得しRubicon Estate Wineryは再びイングルヌックの名称で再始動しました。

注目すべきInglenookワイン

Rubicon
Rubicon

Rubicon
参照元:vivino.com

1978年にリリースが開始されて以来、イングルヌックのフラッグシップワインとなっています。

イタリア北東部のルビコン川にちなんで名付けられたボルドースタイルの赤ワインのブレンド。大樽と通常の樽の組み合わせで熟成されます。1985年に一般リリース。敷地の裏側にある畑のカベルネ・ソーヴィニョンが供給源となっています。

Cask
Cask

Cask
参照元:vivino.com

1949年からニーバムの大甥John Daniels Jr.ジョン・ダニエル・ジュニアの指揮の下、カベルネ・ソーヴィニョンの最高のロットを個別に瓶詰めしたのがCask。

これはナパバレーのリザーブワインのはじまりとなりました。ハイウェイ29に隣接する敷地の前部にある畑のカベルネ・ソーヴィニョンが供給源となっています。また、現在のCaskはカベルネフラン、プティヴェルド、メルロー、マルベックがブレンドされており全てフレンチオークで熟成されています。

RC Reserve Syrah
RC Reserve Syrah

RC Reserve Syrah
参照元:vivino.com

RC Reserve Syrahはコッポラの息子であるローマン・コッポラがディレクションを行ない40歳の誕生日を記念して生み出されたシラーです。

このスタイルはオーストラリアのワイン産地バロッサ・バレーでよく造られているスタイルです。RC Reserve Syrahは彼の40歳の誕生日を記念して誕生しました。

ローマン・コッポラはこのワインのラベルやパッケージのデザインも担当しました。

近年のイングルヌック

2019年にフランシス・コッポラはWine Enthusiast Wine Star Lifetime Achievement Awardを受賞。この賞はワイン業界に大きな影響を及ぼした個人に贈られ、アメリカのワインマガジンWine Enthusiast Magazineが主催しています。

今ではコッポラはイングルヌックの他にソノマ・カウンティに隣接するGeyservilleにあるFrancis Ford Coppola Wineryや近くにあるVirginia Dare Winery 、オレゴン州ウィラメットバレーにあるDomaine de Broglieも所有するワイン実業家です。

約40年にも及ぶワイン造りの歴史の中でコッポラが守り続けてきた品質と信頼性はこれからも引き継がれ守り抜かれていくでしょう。

Wine Enthusiast Wine Star Lifetime Achievement Award 2019

Wine Enthusiast Wine Star Lifetime Achievement Award 2019
参照元:winemag.com

ワインテイスティングレポート

Inglenook Reserve Cask Cabernet Sauvignon 1985
2020年10月29日

Inglenook Reserve Cask Cabernet Sauvignon 1985

現在の所有者であるフランシス・フォード・コッポラがイングルヌックを再建している頃の貴重なヴィンテージ。

ブラックチェリーや干しプラムの香りと若干の針葉樹や甘草のニュアンスが取れる。時間が経つと微かにスモーキーなニュアンスも取れる。味わいはナパバレーのカベルネでは珍しく甘みは非常に控えめで酸味はシッカリと感じられる。タンニンはこのヴィンテージでも比較的シッカリと残っており収斂性がある。

甘さが控えめで酸味がシッカリとしている点が特徴的でした。当編集部では好評の1本!

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