ワイナリー 2021.02.19
2021.04.30
林 亨(はやし りょう)
Staglin Family Vineyard
1865年から続く歴史ある畑を獲得し1985年にGaren StaglinとShari Staglinによってラザフォードベンチの一等地に設立されたナパバレーを代表するボルドーブレンドの一つStaglin Family Vineyardスタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードの歴史と功績をご紹介します。
スタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードについて
Garen Staglinガレン・スタッグリン (1944年生まれ)は1966年にUCLAで電気工学と原子力工学の学位を取得して卒業した後、スタンフォード・ビジネス・スクールに通い、スケジュールの合間に現在の妻であるShariと共にナパバレーを訪れていました。※Shariとは同じUCLAの学生でした。
いつしか2人はナパバレーを地球上で最も偉大な場所の一つだと感じ始め、ナパバレーで生活する事を夢見るようになっていました。スタンフォード・ビジネス・スクールでMBAを取得した後、1968年にGarenとShariは結婚。その後Garenは海軍に入隊し、新たなキャリアをスタートさせます。数年後に海軍を除隊すると、2人はニューヨークへと北上し、Garen Staglinはベンチャーキャピタルと投資の分野で活動し始めます。
資金の準備が出来ると1985年にBeaulieu Vineyardの創設者であるGeorges de LaTourが所有するラザフォードの50エーカーの土地と隣接する12エーカーの土地(1860年代からブドウが植えられた歴史ある土地)を購入し、Staglin Family Vineyardスタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードを設立しました。
この歴史ある土地の購入条件の一つとして1994年までの10年間、収穫したブドウをBeaulieu Vineyardに販売し続ける事が設けられました。スタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードの最初のヴィンテージは1986年のカベルネ・ソーヴィニョンでした。Garenと妻ShariはすぐにAbreu VineyardのDavid Abreu を雇い、栽培とブドウ畑の管理をサポートしてもらいました。
1987年からはDavid Abreu指導の下、敷地を拡張し、畑全体を完全に植え替えました。
次のステージへと駆け上がるスタッグリン・ファミリー・ヴィンヤード
2000年になるとワイン醸造コンサルタントとしてMichel Rollandを迎え入れます。Michel Rollandは世界13ヶ国に顧客を持つ世界的に有名なフランス人ワイン醸造コンサルタントです。更に2002年には最先端且つ環境に配慮した24,000平方フィートの地下生産施設を完成させ勢いに乗ります。
そして2007年には敷地内にある1864年に建てられた歴史的建造物Steckter houseを購入。この建物は修復され、現在はホスピタリティセンターとテイスティングルームとして機能しています。
2011年になると長女の
Shannon Staglin がスタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードの運営に参画します。Shannon Staglinは文化人類学の学位を取得してUCLAを卒業した後、2001年にナパに戻り、収穫インターンとして働き、生産とブドウ栽培を学びました。
2002年になるとワイナリーからオフィスに移り、マーケティング、ホスピタリティ、販売のスキルを磨きました。その後、カリフォルニア大学デービス校経営大学院でMBAを取得した後、1度ワイン業界を離れ2012年に本格的にスタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードに参画しました。兄Brandon Staglinもマーケティング・コミュニケーション担当ディレクターとして従事しており、万全の体制を築き上げます。
慈善活動にも力を入れるスタッグリン夫妻
スタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードでは1995年以来、毎年9月に
「Music Festival for Brain Health」 というイベントを開催しています。
1990年に長男Brandon Staglinが統合失調症と診断された事を機に夫妻がメンタルヘルス関連の病気の研究組織One Mindを設立。このMusic Festival for Brain Healthという名のチャリティーイベントで集めた収益金をOne Mindで役立てています。
現在では自身の統合失調症の回復における深い経験を活かしてBrandon Staglinが代表者として活動しています。
リリースワイン一覧
スタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードのワインは基本的に自社畑(エステート)で収穫されたブドウを使用して造られます。土壌は砂利、岩、石、粘土が混じった火山性の岩石土壌で栽培はCCOF認証の有機農法が用いられています。この土地には、カベルネ・ソーヴィニョン、プティ・ヴェルド、カベルネフランの他にシャルドネとサンジョヴェーゼという意外な2つの品種が植えられています。以下に各ワインの詳細をご紹介します。
Staglin Family Vineyard Chardonnay
サン・パブロ湾の冷涼な影響を受けやすいナパバレーの南部に植えられているシャルドネは夜間に収穫し、手でプレス機に充填する事で果実の新鮮さを実現します。
Staglin Family Vineyard Cabernet Sauvignon
ステンレスタンク、コンクリートタンク、フレンチオーク樽の組み合わせで醸造されています。新樽比率は90~100%で約22~24ヶ月間熟成された後、瓶詰めされます。
Staglin Family Vineyard INEO
カベルネ・ソーヴィニョンを主体としつつカベルネフラン、メルローのブレンド比率を高めたボルドーブレンド。
Staglin Booth Bella Oaks Cabernet Sauvignon
スタグリン家の隣人であるブース家が2012年に取得したベラ・オークス・ヴィンヤードから収穫されたブドウから造られるワイン。
Stagliano Sangiovese
イタリアでお馴染みのこの品種は発酵槽で発酵させた後、樽で12ヶ月の熟成期間を経て清澄や濾過をせずに瓶詰めされます。
Salus Cabernet Sauvignon
1999年にデビューしたスタッグリン・サルースは購入した果実を使用しています。ローマの安全と福祉の女神に因んで名付けられたもので、現在、シャルドネとカベルネ・ソーヴィニョンの2種類をリリース。更にカベルネ・ソーヴィニョンはBooth Bella Oaks Cabernet Sauvignonも造られています。これらのワインの売り上げは統合失調症、双極性障害、鬱病の研究と治療の為に寄付されます。
近年のスタッグリン・ファミリー・ヴィンヤード
現在、スタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードは創業者であるGaren StaglinとShari Staglinがワイナリーの東側の丘にある自宅で暮らしながら共同オーナーを続けています。また、妻のShariがCEOを、娘のShannonが社長を務めています。息子のBrandon StaglinはOne Mindの代表を務めながらスタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードのマーケティングに関与しています。
ワインテイスティングレポート
Staglin Family Cabernet Sauvignon 20th Anniversary 20022021年2月12日
2002年の9月と10月に収穫され、24ヶ月の樽熟成を経て2005年10月にリリースされたこの記念すべき20th Anniversary 2002はカベルネ・ソーヴィニョン100%で造られています。
ブラックベリーのような黒系果実の香りに杉や土、タバコのニュアンスが感じ取れる。味わいは甘みは控えめでソフト。酸味は比較的シッカリとしており、タンニンはこのヴィンテージでも力強く感じられる。力強いタンニンが非常に印象的な1本でした。
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