Spottswoode Wineryスポッツウッド・ワイナリー | カリフォルニアワインの世界

The Wine AdvocateのRobert Parkerはこう言いました。”If Chateau Margaux were in Napa Valley, it would be Spottswoode.”（もしナパバレーにフランス五大シャトーの1つであるシャトー・マルゴーが存在するとするなら、それはスポッツウッド・ワイナリーだろう）。1972年にJack Novakがセントヘレナでブドウ栽培を始め1982年に自社ブランドのカベルネ・ソーヴィニョンをリリースした事で始まったSpottswoode Wineryスポッツウッド・ワイナリーの歴史と功績をご紹介します。

スポッツウッド・ワイナリーについて

Mary Weber Novak and Jack Novak
参照元：spottswoode.com

インディアナ州サウスベンドのノートルダム大学を卒業し、セントヘレナで開業医をしていたJack Novakは大学在学中に、後に全米で最も有名なワイナリーの1つとなるシルバー・オーク・セラーズを設立する事になるレイ・ダンカンと出会いワインへの関心で意気投合しました。

1972年になると1882年から続く歴史ある31エーカーのワイナリーを購入し、一家はサンディエゴ郡北部からセントヘレナへ引っ越しました。Jack Novakはすぐにワイン造りに好条件な気候と優れた土壌の組成に魅了され、隣接する16エーカーの土地を買い足しました。

不幸な事にJack Novakは1977年に心臓発作で44歳の若さで亡くなります。妻であるMary Weber Novakは5人の子供を育てながらワイナリーを経営する事を決意しました。

当初はShafer Vineyardsシェーファー・ヴィンヤーズやDuckhorn Vineyardsダックホーン・ヴィンヤーズにブドウを販売していましたが、1982年になるとSpottswoode Wineryスポッツウッド・ワイナリー独自のワイン（カベルネ・ソーヴィニョン）をリリースします。これがSpottswoode Wineryスポッツウッド・ワイナリーの始まりです。
※スポッツウッド・ワイナリーの名は以前の所有者Spotts家に由来します。

Lindy and Beth
参照元：sfgate.com

最初のワインメーカーはEtude Wineryの創設者であるTony Soterでした。

1987年になると娘のBeth NovakがPresident & CEOとしてスポッツウッド・ワイナリーの経営に参画します。Bethはカリフォルニア大学ロサンゼルス校で経済学の学位を取得した後、サンフランシスコを拠点とするワインブローカーとして業界に関与してきた実績を持ちます。

1992年にはスポッツウッド・ワイナリーがCCOF(California Certified Organic Farmers)から有機認証を取得しました。更に長女Lindy Novakがスポッツウッド・ワイナリーに参画し販売活動を全国に広げ始めました。

この頃からスポッツウッド・ワイナリーの経営はようやく波に乗ってきました。

勢いが止まらないスポッツウッド・ワイナリー

1997年になるとTony Soterの後継者としてベテランのRosemary Cakebreadをワインメーカーとして迎え入れます。

Rosemary Cakebreadは1979年にカリフォルニア大学デービス校でブドウ栽培とワイン醸造学の学位を取得した後、歴史ある名門ワイナリーInglenookイングルヌックでカベルネ・ソーヴィニョンに魅了され、その後、いくつかのワイナリーで経験を積みスポッツウッド・ワイナリーに参画しました。

1998年にはナパバレーのワイン産業を活性化する為の非営利団体ナパバレー・ヴィントナーズの最年少代表者に女性として初めてBethが選出されました。更に翌年1999年にはBeth監督の下、歴史ある古い石造りのワイナリーの建物を改装し、スポッツウッド・ワイナリーの新しいワイナリーを完成させます。

リリースワイン一覧

スポッツウッド・ワイナリーの畑は、砂質、粘土質、砂利質、ローム質の土壌にカベルネ・ソーヴィニョンを中心に、カベルネ・フラン、プチヴェルド、ソーヴィニヨンブランが植えられています。以下に各リリースワインの詳細をご紹介します。

Cabernet Sauvignon

自社畑で収穫されたカベルネ・ソーヴィニョンを主体にカベルネ・フラン、プチヴェルドのボルドーブレンドで造られます。リッチでありながらエレガントという特徴を持つこのワインは、1982年の初リリース以来スポッツウッド・ワイナリーのフラッグシップとなっています。

Lyndenhurst Cabernet Sauvignon

自社畑の中でも若いブドウの木から造られるセカンドワインでファーストヴィンテージは2002年。Lyndenhurstという名前の由来は、1800年代に古い見晴らし台を取り囲んでいた美しいリンデンLindenの木に因んで名付けられました。

Sauvignon Blanc

1984年から造られているソーヴィニヨンブランは栽培面積が約1エーカーしかない為、自社畑と近隣のソノマ・カウンティから調達したブドウで造られます。ステンレス樽、フレンチオーク樽、粘土のアンフォラ、コンクリートやセラミックの卵型の樽等、様々な発酵容器が使用されています。

Sauvignon Blanc Mary's Block

創業者Maryが亡くなった2016年に敬意を表して、自社畑の南東にあるSpringCreekに隣接する1.07エーカーのMary’sBlockから収穫されたソーヴィニヨンブランのみで造られるプレミアムワイン。通常は200ケース程度しか生産されていません。

Field Book

フィールド・ブックという名前は、シラーの栽培に完璧に適した土地を探していた時期の広範囲にわたる探索と記録に因んで名付けられました。結果としてソノマ・コーストのペタルマ・ギャップ地区にある涼しい風の影響を受ける丘の上にグリフィンズ・レア・ヴィンヤード(Griffin’s Lair Vineyard)を見つけました。畑の所有者はJoan and Jim Griffin。

近年のスポッツウッド・ワイナリー

Mary Novak and Beth Novak are co-chairing Auction Napa Valley 2010
参照元：spottswoode.com

2010年になるとBethとMaryは、1981年から続く児童の健康と地域の医療への寄付金を集めるオークションナパバレーの名誉会長を務めました。

BethとMaryの活躍は大成功を収め、オークションの収益から850万ドル以上の寄付金を生み出しました。

2016年9月25日に創業者であるMary Novakが癌の為、亡くなりました。享年84歳。

Maryは1977年に心臓発作でスポッツウッド・ワイナリー創設者である夫Jackに先立たれ、女手1つで5人の子供を育てながらJackの夢であったスポッツウッド・ワイナリーを引き継ぎ、かのロバートパーカーに「ナパバレーのシャトー・マルゴー」と呼ばれるまでに成長させたカリフォルニアワイン業界の立役者でした。

翌年2017年には亡きMaryに敬意を表して、自社畑の南東にあるスプリング・クリークに隣接する1.07エーカーのメアリーブロックと名付けられた畑から造られるソーヴィニヨンブラン“Mary’s Block 2016”をリリースしました。この“Mary’s Block”の売上の20％はナパ郡の土地保護団体The Land Trust of Napa Countyに寄付されます。

現在、スポッツウッド・ワイナリーは姉のLindyがMarketing Ambassador、妹のBethがPresident & CEOとして両親から受け継いだスポッツウッド・ワイナリーの伝統を守り続けています。