独自の取材やテイスティングレポートにより世界のワインを評価するアメリカのワイン専門誌Wine & Spirits Magazineによって世界のトップ25ワイナリーに選ばれ、ワインアドヴォケイト誌でお馴染みのワイン評論家ロバート・パーカー・ジュニアによって「世界で最も偉大なワイナリーの1つ」に選ばれたナパバレーの実力派ワイナリーShafer Vineyardsシェーファー・ヴィンヤーズの歴史と功績をご紹介します。
シェーファー・ヴィンヤーズについて
シカゴを拠点とする書籍出版業界での長い企業キャリアを経てワインメーカーを目指す事にした
John Shaferジョン・シェーファーは48歳の時(1972年)に家族と共にナパへ移住しStags Leap Appellationにある209エーカーのブドウ畑を購入し1977年に古いジンファンデルの木のブドウを使ったホームワインを造りました。とはいえこのブドウ畑は長年手入れがされていなかった為、ブドウ畑の大半はすぐに植え替えを余儀なくされました。
火山石のあるShafer Vineyardsシェーファー・ヴィンヤーズの土壌は、ボルドー品種にぴったりという事もあり、まずはボルドー品種の植え付けに着手しました。そしてシェーファー・ヴィンヤーズは1978年のヴィンテージでデビューすると本格的に生産体制を整え始めます。
1983年になるとJohn Shaferジョン・シェーファーの息子
Doug Shaferダグ・シェーファーがワインメーカーとして参画します。Doug Shaferダグ・シェーファーはシェーファー・ヴィンヤーズで植え替え作業の手伝いをしながらカリフォルニア大学デイビス校で醸造学の学位を取得。その後、Lakespringでアシスタントワインメーカーとして経験を積み、シェーファー・ヴィンヤーズのワインメーカーに就任しました。
更にダグ・シェーファーは同じ年にシェーファー・ヴィンヤーズのフラッグシップとなるヒルサイド・セレクトをリリースします。シェーファー・ヴィンヤーズ・ヒルサイド・セレクトはワイナリーを取り巻く14のブロックで構成されたブドウ畑から厳選して収穫された最高品質のブドウで造られるカベルネ・ソーヴィニョン100%の最上級ワインです。
1985年にはジョン・シェーファーの活動によりワイナリーの所在するStags Leap DistrictがAmerican Viticultural Area (AVA)として認定されシェーファー・ヴィンヤーズにとって追い風となりました。1988年になるとジョン・シェーファーはカーネロスにある70エーカーのなだらかな丘陵地にある未開拓の牧草地を購入しました。その後、数年かけてブドウ畑へと開発され、頭上を飛ぶ赤肩タカに因んでRed Shoulder Ranchレッド・ショルダー・ランチと名付けました。この土地は近くのサンパブロ湾からの涼風の影響でシャルドネとメルローに最適な畑となりました。
1994年にはシェーファー・ヴィンヤーズで大きな組織改革が実施されます。
1984年にアシスタントワインメーカーとして参画したElias Fernandezエリアス・フェルナンデスがワインメーカーに昇格し、ダグ・シェーファーが社長に昇進。創業者のジョン・シェーファーは取締役会長となり新体制にて一路邁進します。
Shafer Vineyards Vineyard Map
Hillside Estate Vineyards
スタッグス・リープ地区にある54エーカーのシェイファー・エステート・ヴィンヤーズではフラッグシップワインであるShafer Vineyards Hillside Select Cabernet Sauvignonの全てのブドウとサンジョヴェーゼとカベルネ・ソーヴィニョンのブレンドであるファイヤーブレイクに使用されるブドウの一部を生産しています。
Red Shoulder Ranch
サンフランシスコ湾が見えるなだらかな丘陵地に広がるこのブドウ畑には5つのシャルドネのクローンが植えられており、これらをブレンドしてShafer Vineyards Red Shoulder Ranch Chardonnay Napa Valley Carnerosが造られます。
Borderline
スタッグス・リープ地区の最南端にある広くて日当たりの良いボーダーライン・ランチはカベルネ・ソーヴィニョンが植えられている25エーカーの畑で、Shafer Vineyards Napa Valley Cabernet Sauvignonの供給源となっています。
La Mesa
スタッグス・リープ地区の南の境界に隣接する18エーカーのラ・メサはサンフランシスコ湾からの冷たい風の影響を受け、シラーとプティシラーが栽培されておりShafer Vineyards Syrah Relentless Napa Valleyの主な供給源となっています。
Ridgeback & School Bus
これらの隣接する18エーカーと24エーカーの2つの畑はカベルネ・ソーヴィニョンとメルローが植えられておりShafer Vineyards Napa Valley Merlot及びOne Point Fiveの供給源となっています。ヴァカ山脈の麓の乾燥した岩だらけの丘に位置するこれらの区画はサンフランシスコ湾からの冷たい風がブドウを栽培する上でプラスに働いています。
主なリリースワイン一覧
シェーファーでは最も人気のあるブドウはカベルネ・ソーヴィニョンで、97エーカーの畑があります。次いで、66エーカーのシャルドネ、24エーカーのシラー、12エーカーのメルロー、6エーカーのプティシラーが続きます。以下に主なリリースワインの詳細をご紹介します。
Cabernet Sauvignonカベルネ・ソーヴィニョン
スタッグス・リープ地区とオークノール地区の厳選されたブドウを軸にカベルネフランとメルローを少量ブレンドし、フレンチオークとアメリカンオークで18ヶ月熟成してリリースされます。
Hillside Selectヒルサイド・セレクト
スタッグス・リープ地区の丘陵地にあるワイナリー周辺の最高の区画から厳選して収穫されたブドウで造られるカベルネ・ソーヴィニョン100%のフラッグシップワイン。ワインはフレンチオークの新樽100%で32ヶ月間熟成されます。1983年がファーストヴィンテージ。
One Point Fiveワンポイントファイブ
ワイナリー周辺のヒルサイド・エステート・ヴィンヤードとワイナリーから2マイルのところにある「ボーダーライン」と呼ばれるスタッグス・リープ地区の南側の境界線内に位置する25エーカーのシェーファー所有の畑から収穫されたブドウを使用しています。このカベルネ・ソーヴィニョンは、100%フレンチオークの新樽で平均22ヶ月間熟成されます。創業者John Shaferのすぐ後に息子Dougが参画した為、第2世代ではなく1.5世代という位置付けになり、この1.5世代という点がOne Point Fiveの名前の由来となりました。
Merlotメルロー
ナパバレー全体(スタッグス・リープ、オークノール、ヨントビル、オークビル、セントヘレナ、カーネロス)からの厳選されたブドウに少量のカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネフランをブレンドして造られます。※ヴィンテージによって異なります。ファーストヴィンテージは1985年。
Red Shoulder Ranchレッド・ショルダー・ランチ
カーネロスに位置する66エーカーのこの畑には特徴的なフレーバーを持つ5種類のシャルドネのクローンが植えられておりフレンチオークとアメリカンオークで発酵させます。ロラクティック発酵を行わない為、自然な果実味と酸味が保たれています。畑の頭上を飛ぶ赤肩タカに因んでRed Shoulder Ranchの名が付けられました。ファーストヴィンテージは1994年。
Firebreakファイヤーブレイク
1991年から2003年までサンジョヴェーゼとカベルネ・ソーヴィニョンをブレンドした「ファイヤーブレイク」を生産していました。このワインの最終ヴィンテージはユーモアのセンスを発揮し「シェイファー・ファイヤーブレイク・ラスト・チャンス」と名付けられました。1981年の山火事で焼け野原になってしまった、かつての角地のブドウ畑に由来しています。
Relentlessリレントレス
スタッグス・リープ地区の南と丘陵地帯から収穫されたシラー(80%)とプティ・シラー(20%)をブレンドしたリレントレスはフレンチオークの新樽で32ヶ月間熟成されます。ワインメーカーであるエリアス・フェルナンデスによるリレントレスへの品質追求へのオマージュとして名付けられました。ファーストヴィンテージは1999年。
Sunspotサンスポット
2001年にシェーファー・ヴィンヤーズ25周年を記念して特別なワイン「シェーファー・サンスポット」をリリース。カベルネ・ソーヴィニョン100%のこのワインはマグナムのみで販売されました。その名が示すように、ブドウの原産地は彼らのサンスポットの畑から来ています。25周年のテーマに沿って樹齢25年のブドウの木から計25樽を生産。
TD-9ティーディーナイン
カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、マルベックのブレンドであるTD-9はスタッグス・リープ地区の郊外にあるシェーファー所有の小さなブドウ畑から収穫されたものが大半を占めます。50歳近くで勤めていた会社を辞め、ナパバレーのブドウ栽培者としてTD-9トラクターの運転を独学で学んだ創業者ジョン・シェーファーのリスクテイクと冒険の精神を称えて名付けられました。ファーストヴィンテージは2014年。
シェーファー・ヴィンヤーズが獲得した数々の輝かしい実績
シェーファー・ヴィンヤーズのワインはワイン評論家のロバート・パーカー・ジュニアによって「世界で最も偉大なワイナリーの1つ」と称賛されています。またロバート・パーカー監修ワインアドヴォケイト誌にてシェーファー・ヴィンヤーズ・ヒルサイド・セレクトが7回の100点満点を獲得しました。ここではその他の輝かしい功績の詳細をご紹介します。
1993年にドイツで開催された国際的なブラインド・テイスティング・コンクールでフランス・ボルドー地方の五大シャトー「シャトー・マルゴー」「シャトー・ラトゥール」を押さえて1位を獲得しました。2005年Food & Wine Magazine10月号にてShafer Vineyards Merlot 2002をトップメルローに、Shafer Vineyards Hillside Select 2001をトップカベルネに選定。2010年ジョンとダグ・シェーファーはジェームズ・ビアード財団の「Outstanding Wine and Spirits Professional」を受賞しています。ナパバレーの醸造家が受賞するのは14年ぶりとなりました。2012年ワインスペクテーター誌がWine Of The YearにおいてShafer Vineyards Relentless Napa Valley 2008が堂々の1位に輝きました。
近年のシェーファー・ヴィンヤーズ
2019年3月2日ジョン・シェーファーが亡くなりました。
享年94歳。1924年にシカゴ郊外の小さな町で生まれたジョン・シェーファーは17歳で第二次世界大戦に参加しB-24爆撃機のパイロットを務めました。兵役後、コーネル大学で工学を学びましたが、最終的には出版業界で営業の道に進み、教育出版社Scott Foresman & Co.の長期計画部門の副社長にまで上り詰めました。
1985年には近隣のワイン生産者の協力を得てスタッグス・リープ地区を正式なアメリカのブドウ栽培地域に指定するよう政府に請願しました。4年の歳月を要し、最終的にスタッグス・リープはAVAとして認定されました。全てはあの時、家族を連れてシカゴからナパへ移住した事から始まったのです。ジョン・シェーファーが残した偉大な功績は息子のDougが引継ぎ現在も最高品質のワインを造り続けています。
ワインテイスティングレポート
Shafer Vineyards Hillside Select Cabernet Sauvignon 1997
2020年11月26日
スタッグス・リープ地区のワイナリーを囲む畑から厳選して収穫されたカベルネ・ソーヴィニョンのみを使ったシェーファー・ヴィンヤーズのフラッグシップワインの貴重なバックヴィンテージ。
香りは熟したブラックチェリーにモカやビターチョコのニュアンスが取れる。
カベルネ・ソーヴィニョン特有の杉や針葉樹のニュアンスも取れる。更に木炭のようなスモーキーな印象がある。味わいは甘みは比較的シッカリとしているが嫌な印象は無くまろやか。酸味は若干感じられ滑らかな印象。
タンニンはこのヴィンテージにして非常にシッカリとしており収斂性がある。アタックが強く香りが華やかでタンニンもシッカリとしている事からパワフルな印象を受けました。カリフォルニアのカベルネの中でも特に脂の多い牛肉や羊肉との相性が良いと考えられる。
Shafer Vineyards One Point Five Cabernet Sauvignon 2004
2020年12月2日
この2004年ヴィンテージはOne Point Fiveの希少なファーストヴィンテージ。
ブラックチェリーのような黒系果実の香りにカベルネ・ソーヴィニョン特有の杉や針葉樹のニュアンスも取れる。味わいは甘みはシッカリしており、酸味は控えめ。タンニンは非常に強く収斂性がある。全体的にHillside Selectに非常によく似ている印象を受けました。ブラインドで飲んだら当てるのは困難ではないでしょうか。
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