ワイナリー
林 亨(はやし りょう)
Pisoni Vineyards
Pisoni Vineyardsピゾーニ・ヴィンヤーズは1982年にカリフォルニア州モントレー郡サンタ・ルシア・ハイランズでGary Pisoniゲイリー・ピゾーニによって設立されました。量よりも質を重視した妥協のないブドウ栽培で、力強くフルーティかつ筋肉質でありながらバランスの取れた強烈なフレーバーを持つピノノワールを実現するピゾーニ・ヴィンヤーズの歴史と功績をご紹介します。
ピゾーニ・ヴィンヤーズについて
1952年に両親がカリフォルニア州中部のモントレー郡に位置する都市サリナス・バレーで野菜の栽培を始めた事から農家育ちだったスイス系イタリア人
Gary Pisoniゲイリー・ピゾーニは大学時代にフランスワインに興味を持ちます。その後、ピノノワールに関する本を読み漁り、ブルゴーニュについて研究していました。
大学卒業後ゲイリー・ピゾーニはフランスへ向かい、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)のピノノワールを飲んでワインの素晴らしさを実感し、アメリカへ帰国してワインビジネスに着手する決心をしました。
1982年になるとゲイリー・ピゾーニは実家のあるサンタ・ルシア・ハイランズがピノノワールにとって天国のような環境である事に気づき、父親が所有する280エーカーの牧場の水捌けの良い花崗岩と砂質ロームの未開の土壌に6エーカーのブドウの木を植えました。
サンタ・ルシア・ハイランズAVAの南端、サリナス・バレーの標高1,300フィートに位置する最初のブドウ畑はカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、シャルドネ、ピノノワールで構成されていました。これがピゾーニ・ヴィンヤーズの始まりです。
ピノノワールに特化していくピゾーニ・ヴィンヤーズ
1991年になると追加でピノノワール専門の畑の開発に着手します。
まず初めに17エーカーのTessa Blockが誕生し、1994年にはHermanos(5エーカー)、Camper(2.5エーカー)、Tina(1.2エーカー)が続きます。1995年に植えられた4.5エーカーのElias Blockはピゾーニ・ピノノワールの主原料となっており、マニアからは「ピゾーニ・ピゾーニ」と呼ばれていました。
※他の所有者もピゾーニ畑を使用しており、ピゾーニ・ヴィンヤーズが手掛けるピゾーニ畑として区別する目的でこのような呼称が使われていました。さらに、母親への敬意を表して名付けられたMommy’s VineyardVineyard、妻の名前に因んで名付けられたMarguerite’s vineyardもあります。
ピゾーニ・ヴィンヤーズの手掛けるピノノワールはその高い品質故にPatz & Hall、Roar、Siduri、Peter Michael、Kosta Browne、Siduri、Tantaraといった著名なワイナリーへのブドウ販売も行うようになりました。
勢いが止まらないピゾーニ・ヴィンヤーズの進化
2000年になると「光」を意味する
Luciaルシアというセカンドラベルをリリースします。ルシアにはピノノワールの他にシャルドネ、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、ロゼがあります。
ルシアの一部のワインはPisoni Vineyardから、一部はGary’s Vineyardから、そして一部は両方の畑をブレンドしたもので構成されています。また、ピゾーニ・ヴィンヤーズのピノノワールに比べて樽での熟成期間、新樽での熟成期間、全房での醸造期間が短く、それに伴って価格も低く設定されています。
2002年には創設者Gary Pisoniゲイリー・ピゾーニの息子である
Jeff Pisoniジェフ・ピゾーニが参画します。ジェフ・ピゾーニはカリフォルニア州立大学フレズノ校で醸造学を学んだ後、ピゾーニ・ヴィンヤーズとルシアの醸造を担当するようになりました。
※初代はマーク・オーベールが、その後はヴァネッサ・ウォンが担当していました。
さらにジェフ・ピゾーニの弟であるMark Pisoniマーク・ピゾーニも家族経営のピゾーニ・ヴィンヤーズに参画します。マーク・ピゾーニはカリフォルニア大学デービス校で農業経済学の学士号を取得し、コーネル大学でファームビジネスマネジメントの修士号を取得。ピゾーニ・ヴィンヤーズの栽培管理を担当します。
2007年になるとピゾーニ・ヴィンヤーズではようやく独自のワイナリー施設を保有するようになります。こうして現在も創業者Gary Pisoniゲイリー・ピゾーニ主導の下、栽培管理をMark Pisoniマーク・ピゾーニが、醸造管理をJeff Pisoniジェフ・ピゾーニが担当し家族経営ながら高品質なピノノワール造りを続けています。
ワインテイスティングレポート
Pisoni Vineyards Estate Pinot Noir 2008
2021年6月12日
Pisoni VineyardsではシンプルにPisoni Vineyards Estate Pinot Noir1本でワインの生産を行っています。ファーストヴィンテージは1998年となります。
ブラックチェリーやカシス、熟したプラムの香りとブラックカラントの強いニュアンスが特徴的。
※表現としては適切でないがインクのニュアンスがある。
ややスパイシーでクローブやスミレのニュアンスも感じ取れる。味わいは甘みはまろやかで酸味はなめらか。タンニンは比較的シッカリとしている。独特な強いブラックカラントの香りとタンニンが特徴的でした。まだまだ熟成によってポテンシャルを発揮するのは想像に難くないです。素晴らしい!
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