Frog’s Leap Winery

フロッグスリープ・ワイナリー(Frog's Leap Winery)

乾式農業と環境に配慮したワイン造りを推進し、カベルネ・ソーヴィニョンを中心とした並外れたワインを造りだすNapa Valley RutherfordのFrog’s Leap Wineryフロッグスリープ・ワイナリーが歩んできた歴史と功績をご紹介します。

フロッグスリープ・ワイナリーについて

John Williams

John Williams
参照元:frogsleap.com

New York州西部Clymer出身のJohn Williamsジョン・ウィリアムズはコーネル大学でワイン醸造学を学び、1975年にカリフォルニアに移ると、後に全米で最も実力のあるワインメーカーとなったHelen Turleyと知り合います。Helen Turley はJohn Williamsのワイン造りのサポートに兄弟のLarry Turleyを紹介しました。

その後John Williamsはカリフォルニア大学デイビス校でワイン醸造学を学びながらStag’s Leap Wine Cellarsで働き始めます。1977年にカリフォルニア大学を卒業するとニューヨークの新しいワイナリーGlenora Wine Cellarsでワインメーカーに就任します。

その後ナパバレーに戻るとSpring Mountain Vineyardでも経験を積みます。

Larry Turley and John Williams,Frog's Leap Label

左:Larry Turley(左) , John Williams(右) 右:Frog’s Leap Label
参照元:frogsleap.com

パートナーとなったJohn WilliamsとLarry Turleyは1981年にMill Creek沿いのカエル養殖場だった場所でワイン造りのプロジェクトを立ち上げます。

John WilliamsがキャリアをスタートさせたStag’s Leap Wine Cellarsとカエル養殖場跡地の畑Frog Farmを組み合わせてFrog’s Leap Wineryフロッグスリープ・ワイナリーと名付けられました。

幸運な事にサンフランシスコのラベルデザイナーChuck Houseが100ドルと数ケースのワインでフロッグスリープ・ワイナリーのラベルデザインを引き受けてくれました。当初はSpottswoode Wineryからブドウを調達してソーヴィニョン・ブランとジンファンデルを700ケースずつ生産していました。

RIBBIT!

Frog’s Leap Cork
参照元:ilivetotravel.me

1982年にはカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネを造り始めます。フロッグスリープ・ワイナリーがリリースするワインのコルクには「ribbit」の文字が刻印されています。これはカエルの鳴き声「ケロケロ」の意味で、ワインのテイスティングを真剣に受け止める人々を「面白がらせる」為に刻印され、ユーモアに溢れたJohn Williamsのアイデアでした。

1989年には畑の管理を引き継ぐ為、Frank Leedsを迎え入れます。Frank Leedsは乾式農業とサスティナブル農法の第一人者でJohn Williamsに大きな影響を与えた人物です。そして、フロッグスリープ・ワイナリーはFrank Leedsが所有するChavez & Leeds family vineyardsとの提携を結びました。

John Williamsは農業環境が健全でなければ健全なブドウ畑を維持する事は出来ないというサスティナブル農法の考え方を強く支持しています。例えば、フロッグスリープ・ワイナリーでは農園の土壌生産性を維持し、害虫を駆除する為に生物学的害虫駆除等の技術に頼っています。

有機農法では製造された肥料や殺虫剤、植物成長調整剤、遺伝子組み換えの生物は使用していません。有機農業では除草剤による雑草防除ではなく機械的な雑草防除が行われています。

また、灌漑を廃止し乾式農業を推進しています。これによりブドウの木の根が土壌の奥深くまで伸び、栄養分を引き上げると考えています。

1989年にはカリフォルニア認定オーガニック農家(CCOF)の認定を受け、フロッグスリープ・ワイナリーはナパバレーで最初のオーガニック認定を受けたワイナリーとなりました。

それぞれの道へ ~フロッグスリープ・ワイナリー第2章

Red Barn,風見蛙

左:Red Barn 右:風見蛙
参照元:frogsleap.com

1993年になると創業パートナーのLarry Turleyはこのカエル養殖場跡地Frog Farmの地で自身のブランドTurley Wine Cellarsを立ち上げる為、持ち株をJohn Williamsへ売却します。

そして1994年にフロッグスリープ・ワイナリーはRutherfordの200エーカーの土地を長期リース契約で確保し正式に移転しました。

この場所は1884年にAdamson Wineryとして建てられた歴史的な「Red Barn(赤い納屋)」があり、これをフロッグスリープ・ワイナリーとしてリノベートしました。

2006年になると新しいホスピタリティセンターと管理事務所が完成します。太陽光発電で稼働するこの施設はカリフォルニアワイン業界で最初のLEED認定を受けた建物となりました。

LEEDは米国グリーンビルディング協会が開発した省エネと環境に配慮した性能評価システムです。2007年にはRutherford Benchにある52エーカーのRossi Estateを買収します。このRossi Estateは1903年にイタリアからの移民であるRossi familyによって設立されたRachel Rossi Wineryが所有していた歴史ある畑です。

Harvest Moon Dinner

Harvest Moon Dinner
参照元:fellowshipofthefrog.com

こうしてJohn Williamsとフロッグスリープ・ワイナリーチームはRutherfordの地で3つのエステート・カベルネ・ソーヴィニョン・プログラム(Red Barn、Chavez Leeds、Rossi Estate)を整えます。

そして2014年9月1日、長年の夢であったフロッグスリープ・ワイナリーからエステートのカベルネ・ソーヴィニョンFrog’s Leap Estate Grown Rutherford Napa Valley Cabernet Sauvignon 2012をリリースしました。

フロッグスリープ・ワイナリーではこの年から収穫を祝うHarvest Moon Dinnerが開催されるようになりました。また、フロッグスリープ・ワイナリーでは1984年以来4年に1度うるう年の日にワイナリーの敷地内で数百人の親しい友人を招待してパーティーを開催しています。

近年のフロッグスリープ・ワイナリーとJohn Williams

これまでにフロッグスリープ・ワイナリーではCabernet Sauvignon、Sauvignon Blanc、Chenin Blanc、Chardonnay、Zinfandel、Merlot、Petite Sirahを生産してきました。

2020年現在68歳になるJohn Williamsは家族に囲まれながら引き続き現役で健全な畑と最高品質のワイン造りを進めています。

The Williams Clan

The Williams Clan
参照元:frogsleap.com

テイスティング・レポート

Frog’s Leap Cabernet Sauvignon 1997 vs Estate Grown Cabernet Sauvignon 2016
2020年8月5日

Frog's Leap Cabernet Sauvignon 1997 vs Estate Grown Cabernet Sauvignon 2016

Frog’s Leap Cabernet Sauvignon 1997

香りはブラックベリーや黒スグリ、甘草のニュアンスが取れる。味わいは甘みはソフトで酸味は爽やか。タンニンには収斂性は無く熟成によって溶け込んでいる印象。驚くほどエレガントなまとまりでした!

Frog’s Leap Estate Grown Cabernet Sauvignon 2016

香りは濃縮したブラックチェリーとカベルネ・ソーヴィニョン特有の杉や針葉樹のニュアンスが若干取れる。味わいは甘みはソフトで酸味は爽やか。タンニンは収斂性がある。強めの酸味が特徴的でした。

いずれも驚くほどエレガントな仕上がりで素晴らしいですが、熟成によってポテンシャルを発揮するタイプであると思われ、当編集部ではFrog’s Leap Cabernet Sauvignon 1997がダントツで高評価でした。

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カリフォルニアワインについて

ABOUTこの記事の監修者

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
カリフォルニアワイン協会認定資格 California Wine Certification Program Level 2

2011年よりカリフォルニアワインのバックヴィンテージを追求。 ナパバレー、ソノマに足を運び数多くの名門ワイナリーを訪問。 主に海外のワインオークションで希少なバックヴィンテージを調達。

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