ワイナリー 2021.02.05
2021.04.30
林 亨(はやし りょう)
Charles Krug
Charles Krugチャールズ・クリュッグはナパバレー初の雇われワインメーカーであり、ナパバレー初の商業ワインを造った人物でもありました。チャールズ・クリュッグは1861年にナパバレー・セントヘレナの地でCharles Krug Wineryチャールズ・クリュッグ・ワイナリーを創設します。ここではナパバレーで現存する最古のワイナリー「チャールズ・クリュッグ」の歴史と功績をご紹介します。
チャールズ・クリュッグについて
1825年にPrussiaで生まれた
Charles Krugチャールズ・クリュッグ はオークランドでアメリカ西海岸初となるドイツ新聞社の編集者を務めました。1853年になるとブエナビスタ・ワイナリーの創設者であるAgoston Haraszthyから隣接するソノマ・カウンティの土地を購入しました。1860年にはこの土地を売却し、
1861年にナパバレーで土地を購入してCharles Krug Wineryチャールズ・クリュッグ・ワイナリーを創設します。 チャールズ・クリュッグはカリフォルニアのワイン生産にヨーロッパの視点を持ち込み、ナパバレーにボルドー品種のブドウを植えた最初の栽培者となりました。
1870年にはワインメーカーとしてJacob Beringerを迎え入れます。Jacob Beringerは後にBeringer Vineyardsベリンジャー・ヴィンヤーズ を設立し、世界的に有名なワイナリーにまで成長させた人物です。
チャールズ・クリュッグは資産家の娘であるCarolina Baleと結婚した後、広大な土地を相続し、ワイナリー経営も順調に進みました。そして1892年に亡くなるとワイナリーは知人であるJames Moffitに買収されます。
チャールズ・クリュッグのワイナリーはこの49年後の
1943年にモンダヴィ家が買収する と1944年に初ヴィンテージを生産し勢いに乗ります。
1963年にはカリフォルニアのワイナリーとして初めてフレンチオークの新樽での熟成を開始しました。1965年になるとワイナリーの経営方針を巡って兄Robert Mondaviと弟Peter Mondavi が対立し、Robert Mondaviがチャールズ・クリュッグの経営から手を引く事でPeter Mondavi主導の経営体制になりました。
2013年には大規模なセラー改修に加え、2,560万ドルを投資し、850エーカーの畑の約75%を再植樹しました。また、
現在チャールズ・クリュッグはナパ・ワイン・トレイン最北の停車駅となっており、ナパバレーで合法的に結婚式を挙げる事ができる数少ないワイナリーの1つとして機能しているのも特徴です。
主なリリースワイン
チャールズ・クリュッグではフラッグシップのカベルネ・ソーヴィニョンの他にソーヴィニヨンブラン、シャルドネ、ピノノワール、メルロー、マルベック、プティシラー、ジンファンデル等幅広いラインナップがありますが、ここでは主なカベルネ・ソーヴィニョンをピックアップしてご紹介します。
Cabernet Sauvignon
主にヨントヴィルにある5つのファミリーエステートから調達されたブドウで造られます。
Family Reserve Generations
家族の過去、現在、未来を称えるために造られたボルドースタイルのブレンドで、ヨントヴィルのエステート畑から調達されたブドウをフレンチオークの新樽で熟成させて造られます。
Cabernet Sauvignon Vintage Selection
1944年に現在の所有者になって初めて造られた時から続くヴィンテージセレクション。現在でもチャールズ・クリュッグのポートフォリオとなっています。
Ten Clones
限定生産のこのワインはエステート畑の多様なクローンで構成されるカベルネ・ソーヴィニョン100%のワインです。
Slinsen Vineyard
ヨントヴィル近くのマヤカマス山脈の麓にあるスリンセン・ヴィンヤードから調達されたブドウで造られたワインです。
Voltz Vineyard
ヨントヴィル近くのマヤカマス山脈の麓にあるヴォルツ・ヴィンヤードから調達されたブドウで造られたワインです。
Cold Springs Vineyard
ハウエルマウンテンの1,650フィートに位置するコールドスプリングスの畑から調達されたブドウで造られたワインです。
近年のチャールズ・クリュッグ
2016年2月20日、チャールズ・クリュッグを50年以上にわたって率いて来たPeter Mondaviがセントヘレナの自宅で亡くなりました。享年101歳。その後チャールズ・クリュッグの経営は息子のPeter Jr.とMarcが引継ぎ、一家のポリシーである「家族経営」を続けています。
ワインテイスティングレポート
Charles Krug Cabernet Sauvignon Vintage Selection 19742021年1月11日
モンダヴィ家の所有になって以来、造り続けられているチャールズ・クリュッグのフラッグシップワインです。ファーストヴィンテージは1944年。
46年以上熟成している事もあり熟したプラムやブラックチェリー、レーズンのような香りが取れる。やや針葉樹や土のような植物的な香りとスモーキーなニュアンスも取れる。味わいは甘みがさほど強くなくソフト。
酸味はこのヴィンテージでもシッカリと感じられる。タンニンは熟成している事もあり溶け込んでいる印象。
酸化熟成から来るブランデーのような色味が印象的でした。そこまで飲み頃を過ぎている印象はありませんでしたが、次回はできれば80年代位までのものを探してみたいです。
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