カリフォルニアワインについて

カリフォルニア州のワイン生産地の風景

現在、アメリカのワイン生産量の約80%がカリフォルニア州で造られており、約12,300軒あるワイナリーの約40%(約4,800軒)がカリフォルニア州に存在します。

太平洋岸を流れるカリフォルニア海流の冷涼さと元来の温暖な気候が生む昼夜の寒暖差がワイン造りに適していると考えられ、ナパ、ソノマを中心に高品質ワインの産地として世界的に有名になりました。ここではもう少しカリフォルニアワインについて詳しく解説していきます。

歴史

アメリカでは1920年から1933年の間、禁酒法が施行されており、自家消費用のワインがメインでしたが、禁酒法が撤廃されてからはワイン産業が復興し、特にカリフォルニアワインの需要が飛躍的に増大していきました。

さらにその頃、カリフォルニア大学デイヴィス校では、アメリカの大学で初めてワイン醸造学科を設立し、その協力もあって高品質なワイン造りの風潮が高まりました。

1966年には、『カリフォルニアワインの父』と称されるロバート・モンダヴィがオークビルで高品質ワイン造りを目指してワイナリーを設立しました。

パリテイスティング(別称:パリスの審判)

アメリカ独立200周年にあたる1976年には、フランス・パリで米仏のワインをブラインドテイスティングして評価する「パリテイスティング(別称:パリスの審判)」が開催されました。

それまではフランスワインの評価が圧倒的に高く、審査員も全員フランス人、かつ、パリでの開催ということもあり、アメリカのワインにとっては非常に不利な状況ではありました。しかし、結果は赤白ともにカリフォルニアワインが1位に輝き、これまでのワインの歴史を変える大事件となりました。

さらに2年後の1978年にはロバート・モンダヴィとフランス・ボルドー地方の5大シャトーの1つシャトームートン・ロートシルトのフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵が手を組み、アメリカとフランスという新旧ワイン世界のジョイントベンチャーとしてナパに「オーパスワン」ワイナリーが誕生しました。
このようにしてカリフォルニアワインは国際的に認知度が急上昇していく事になったのです。

気候風土

カルフォルニア州の気候は太平洋を北から南に流れる寒流カリフォルニア海流の影響で沿岸部は冷涼です。海岸山脈とシェラネヴァダ山脈の間のエリアは非常に温暖ではありますが、太平洋上で発生した霧が内陸部へ流れ込み冷却効果を生むため、霧の影響大小でその土地の気候が多様に変化します。

カルフォルニア州の気候風景

また、夕方から急速に冷え込むため、非常に大きな昼夜の気温差が生まれ、これが良質なブドウ栽培に貢献し、結果としてカリフォルニア州はブドウ栽培・ワイン造りには好条件な気候風土と言えるのです。

主要ブドウ品種

[ 2017年カリフォルニア州主要ブドウ品種栽培面積 ]

出展:California Grape Acreage Report 2017(USDA National Agrlcutural Statistics Services)

白ブドウ 2017(ha)
Chardonnay シャルドネ 37,819
French Colombard フレンチ・コロンバード 7,651
Pinot Gris ピノ・グリ 6,831
Sauvignon Blanc ソーヴィニヨン・ブラン 6,010
Chenin Blanc シュナン・ブラン 1,938
Muscat of Alexandria マスカット・アレキサンドリア 1,870
White Riesling ホワイト・リースリング 1,558
Muscat Blanc マスカット・ブラン 1,214
Viognier ヴィオニエ 1,097
その他の品種 5,592
合計 71,581
黒ブドウ 2017(ha)
Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニヨン 37,164
Pinot Noir ピノ・ノワール 18,334
Zinfandel ジンファンデル 17,487
Merlot メルロ 16,101
Syrah シラー 6,656
Rubired ルビーレッド 4,690
Petite Si rah プティ・シラー 4,641
Barbera バルペーラ 1,979
Ruby Cabernet ルピー・カペルネ 1,902
Grenache グルナッシュ 1,786
Mal bee マルベック 1,547
Cabernet Franc カベルネ・フラン 1,423
Petit Verdot プティ・ヴェルド 1,379
その他の品種 7,465
合計 122,555
白ブドウ+黒ブドウ合計 194,136

カリフォルニアで栽培されるブドウの主要品種は白ブドウがシャルドネ、フレンチコロンバード、ピノグリ、ソーヴィニヨンブランがあります。
黒ブドウではカベルネソーヴィニヨン、ピノノワール、ジンファンデル、メルロ、シラーとなっております。

ナパではカベルネソーヴィニヨンが、ソノマではシャルドネ、ピノノワールが主力品種となります。
※2017年カリフォルニア州主要ブドウ品種栽培面積の表を参照

アメリカのワイン法

アメリカのワイン法は1978年に制定され、アルコール・タバコ課税及び商業取引管理局(TTB = Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau)が、各産地の規定及び表示、ブドウ品種、収獲年の記載等を管理しています。

また、ブドウ栽培において一定の地理的・気候的条件を満たすと判断された産地を規定したのがAVA(American Viticultural Areas)と呼ばれるもので、アメリカ全土で130以上も存在します。

ちなみに、州 → 群 → AVA → 畑の順番で細かくなっていき、適用される法律も異なります。

ワイン産地

カリフォルニア州のワイン産出カウンティのマップ

カリフォルニア州のワイン産出エリアは大きく分けて5つに分類されます。

太平洋岸北部から「ノースコースト」「セントラルコースト」「サウスコースト」。内陸側北部から「シェラフットヒルズ」「セントラルヴァレー」

その中でも特に高品質なワインを多く産出するナパ、ソノマを内包するのが「ノースコースト」です。

ナパ・カウンティ Napa County/ノースコースト

ナパ・ヴァレーのワイン産地のマップ東、西、北側は山脈に囲まれており、南側がサンパブロ湾に向かって開けているため、ここから吹き込む冷たい海風が温暖な気候との温度差を生み、霧を発生させます。この霧がワイン造りに良い影響を与えると考えられています。現在、ワイナリーの数は約480軒存在します。ナパヴァレーの中でも南部のカーネロスは最も海からの影響を受けるので冷涼となっています。
北上するにつれて、海から吹き込む冷たい海風の影響が弱まるため温暖になる傾向にあります。

St.Helena(セントヘレナ)、Rutherford(ラザフォード)、Oakville(オークヴィル)、Stags Leap District(スタッグスリープディストリクト)といった中央部は比較的温暖で歴史的にも有名な「Opus One(オーパスワン)」「Stag’s Leap(スタッグスリープ)」等のワイナリーが多く存在します。

Opus One(オーパスワン)とStag’s Leap(スタッグスリープ

西側のマヤカマス山脈、東側のヴァカ山脈のような山地の畑は標高の高い所にワイン畑がある傾向があります。このワイン畑は霧がかかる標高よりも高い位置にあるため、日照量と冷涼さを兼ね備えたテロワールにより独特の味わいを持つワインに仕上がる傾向があります。

このようにナパ1つとっても気候風土(テロワール)が異なるため、ワインの味わいも多種多様となります。

ソノマ・カウンティ Sonoma County/ノースコースト

ソノマ・カウンティのワイン産地のマップ

ソノマは地図の通り18のエリアに分けることができます。ただし、カーネロスはナパとソノマの両方にまたがります。
ソノマもナパ同様、霧の影響を受けます。特に海岸線沿いのソノマコーストでは標高の高い場所でブドウ栽培が行われ、霧がかかる場所よりも高い位置に畑が多く存在することから海岸線沿いの冷涼な気候でありながら豊富な日照量を確保し、エレガントで高品質なワインが生まれます。

また、内陸側のナパよりも、海岸部のソノマの方が全般的に冷涼な気候となるため、温暖なナパがカベルネソーヴィニヨン主体である一方、ソノマではカリフォルニアの強い日差しと海岸部ならではの冷涼さから高品質なシャルドネやピノノワールが造られ、世界的に注目を集めています。