ワイナリー 2021.01.07
2021.04.30
林 亨(はやし りょう)
Blankiet Estate
有名なブドウ栽培家のDavid Abreuと実力派コンサルタントHelen Turleyという最強のオールスターチームを編成してカリフォルニア州ナパバレーのヨントビルを見下ろすマヤカマス山脈の西側の丘陵地帯で世界レベルのボルドーブレンドを造りだす事を目的に設立されたBlankiet Estateブランキエット・エステートが歩んだ栄光の軌跡をご紹介します。
ブランキエット・エステートについて
Claude Blankiet は繊維産業に深く根ざした家族とともにフランスで育ちました。彼の祖父は織機を発明し、彼の父は第二次世界大戦前に軍服を製造する工場を所有していました。1970年代半ばになるとClaude Blankietは米国に移住し世界最大のデニム加工(ストーンウォッシュ加工)会社を設立しました。
以前からワインに関心のあったClaudeと妻Katherine Blankiet はナパバレーの西側にある丘陵地で3年かけてブドウ畑を探しました。1996年になるとナパバレーで最も歴史的なブドウ畑の一つであるナパヌックに隣接した土地を購入します。
この土地はかつてDomaine Chandonの所有地の一部でしたが、ピノノワールとシャルドネは急斜面で栽培するとコストが掛かってしまう為、栽培されていなかった手付かずの土地でした。
ナパヌックのオーナーであるクリスチャン・ムエックスがメディアに向けてこの土地が楽園への入り口であると表現していた事から、Claudeと妻Katherine Blankietはこの場所をParadise Hillsと名付けBlankiet Estateブランキエット・エステートをスタート させたのです。
敷地全体は47エーカーで、そのうち16エーカーがブドウ畑となっておりカベルネ・ソーヴィニヨンが最大の栽培品種で、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドも栽培しました。土壌のタイプは深く砕けた岩や火山灰から厚い粘土の堆積物までさまざまです。火山性土壌にはカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドを植え、砂利粘土の沖積土にはメルローを植えました。
まず初めにClaude Blankietは可能な限り最高のワインを造る為にオールスターのチームを編成するべきだと考えました。1997年になると
Helen Turley と
夫John Wetlaufer に依頼しワインメーカーとブドウ栽培を担当して貰いました。更に
Abreu VineyardsのDavid Abreu を招き、畑の開発を依頼しました。
最初に造ったワインは1998年のカベルネ・ソーヴィニヨンでしたが、このワインは殆ど生産されなかった為、商業的には販売されませんでした。1999年に初めて市販されたブランキエット・エステートのワインはオールスターチームの影響もあり一般の人々や業界から熱狂的に歓迎されました。
主なリリースワイン
Proprietary Red Paradise Hills Vineyard
カベルネ・ソーヴィニヨンをベースに、カベルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルドをブレンドして造られるボルドーブレンドで、ブレンド比率はその年によって異なります。
Rive Droite
メルローを主体としたメルローとカベルネ・フランのポムロール(ボルドー地方右岸)ブレンドで100%フレンチオークの新樽で18ヶ月から22ヶ月間熟成させてから瓶詰めされます。
Mythicvs
カベルネ・ソーヴィニヨン100%で造られ、自社畑の最高のロットからセレクトされています。100%フレンチオークの新樽で18ヶ月から22ヶ月間熟成させてから瓶詰めされます。
Prince of Hearts
ブランキエット・ヴィンヤードのワインとして選定されなかった樽で造られるスーパーセカンドワイン。ボルドースタイルのブレンドワインRedとメルロー及びカベルネ・フランから造られるロゼRoseの2種類があります。
進化するブランキエット・エステート
着実に名声を高めていったブランキエット・エステートは2004年6月に新しいワイナリーとカーヴの建設を着工します。そして2005年6月に完成した新ワイナリーは最先端で清潔且つとても機能的です。
手でカットされた石のディテールと再生されたイタリアのタイルの屋根がブランキエット・エステート独特の旧世界の優雅さを醸し出しています。ワイナリーには、最先端の設備と伝統的なスタイルでワインを熟成させる為の8,000フィートのカーヴもあります。
2005年になるとHelen Turleyと夫John Wetlauferがワインメーカー及びブドウ栽培の職務を満了します。翌年2006年になるとSloan EstateのワインメーカーでもあるMartha McClellan が醸造を担当し、エノロジストのMichel Rollandがアドバイザーを務めました。2010年2月にはKapcsandy Family Wineryでもワイン造りを担当しているDenis Malbec が後任として就任しました。
現在、4代目ワインメーカーとしてGraeme MacDonaldが後任を受け継いでいます。 Graeme MacDonaldは伝説のTo-Kalon Vineyardの一部を所有するMacDonald Familyを祖先に持つ人物です。Graeme MacDonald主導の下、ブランキエット・エステートはまだまだ進化を続けるでしょう。
ワインテイスティングレポート
Blankiet Estate Paradise Hills Vineyard 19992020年12月21日
ブラックベリーや熟したプラムのような黒系果実の香りの中に若干のコーヒーやチョコのニュアンスが取れる。また、ややスモーキーで土、甘草のニュアンスも取れる。味わいは甘みがさほど強くなくソフト。酸味は適度に感じられ滑らか。タンニンは熟成している事もあり収斂性はあまり感じられず、むしろヴィロードのよう。熟したプラムの強い香りが印象的で熟成感がシッカリと感じられ非常にバランスのよい1本でした。素晴らしい!
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