ニュートンは1977年にPeter Newtonによってセントヘレナの西、マヤカマス山脈の東側に位置する起伏に富んだアペラシオン「スプリングマウンテン」に設立されました。自然発酵や無濾過瓶詰めなど昔ながらのスタイルをベースにした技術を用いてワイン造りを行うニュートン・ヴィンヤードのワインはジョージ・ブッシュやビル・クリントン大統領の在任中を含むホワイトハウスの様々な行事で提供されてきました。ここでは誇り高きニュートン・ヴィンヤードの歴史と歩んだ軌跡をご紹介します。
ニュートン・ヴィンヤードについて
ニュートン・ヴィンヤードが直面した困難と転機
年月を経てワインの種類はシャルドネ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョンに加えて、パズルと呼ばれるボルドーブレンドまで洗練されていった一方で、度重なるワインメーカーの交代でニュートンのスタイルを維持する事が困難になっていきました。
2001年になるとワイナリー経営が困難になった事からニュートン・ヴィンヤードの株式の過半数をLVMHへ売却します。LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは数々の名門ワインブランドを所有するフランスの高級品メーカーで、ワイン & スピリッツ部門ではDom Perignon、Chateau d’Yquem、Moet & Chandon、KRUG等の超一流メーカーを傘下に連ねている大企業です。
暫くの間はニュートン家が残留してワイナリー経営を続け、Michel Rollandがコンサルタントを務めます。
主なリリースワイン一覧
ニュートン・ヴィンヤードでは赤ワインの殆どがエステート(自社栽培)ですが、シャルドネは全てカーネロスの生産者から購入しています。また、トップワインは全て無濾過(アンフィルタード)で瓶詰めされ、赤ワインとアンフィルタード・シャルドネは瓶詰め前に約2年間樽で保管されます。ここではニュートン・ヴィンヤードの特筆すべきリリースワインを厳選してご紹介します。
また、近年では2007年にレッドラベルとして誕生したシリーズが改良されメンドシーノ、ソノマ、レイク、ソラーノ、ナパを含む北海岸のアペラシオンを構成する5つの郡から最高級のブドウを調達し、リーズナブルな価格で販売されるSkysideスカイサイドが注目を集めています。
※スカイサイドシリーズはカベルネ・ソーヴィニョン、レッドブレンドもリリースしています。
近年のニュートン・ヴィンヤード
所有権がLVMHに完全に移転してからはニュートン・ヴィンヤードの評判は落ちていく一方でした。そこでLVMHは、2014年にオーストラリアのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたカベルネのスペシャリストRob Mannを迎え入れます。
更に2016年にはワイン醸造責任者にAlberto Bianchiを就任させ新しいニュートン・ヴィンヤードのチームを形成して再建を図ります。Alberto Bianchiはミラノ大学、トリノ大学、リスボン大学でワイン醸造とブドウ栽培の学士号を取得しイタリア、フランス、オーストラリア、アルゼンチン、ニュージーランドでワイン造りの経験を積み、2014年にニュートン・ヴィンヤードに参画した実力者です。こうしてニュートン・ヴィンヤードは徐々に名声を取り戻していきました。
1977年からPeter Newtonピーター・ニュートンによって築き上げられた「自然を尊重する」ワイン造りの哲学はワイナリーの所有権が整理され、新しいワインメーカーが就任した今、改めて受け継がれ、品質と一貫性の両方が向上しているはずです。
ワインテイスティングレポート
Newton Vineyard Unfiltered Merlot 1994
2020年11月6日
ナパバレーにおけるメルローの先駆者と呼ばれたニュートン・ヴィンヤードの隠れフラッグシップワイン。貴重な1994年のアンフィルタード・メルローを入手したのでテイスティングレポートをご紹介します。
Newton Vineyard Unfiltered Merlot 1994
ブラックチェリーの香りの後にスモーキーなニュアンスがハッキリと取れる。またモカやビターチョコのようなニュアンスもある。味わいは甘みは控えめで酸味は比較的シッカリとしている。タンニンはこのヴィンテージでもシッカリと残っている。ハッキリとしたスモーキーなニュアンスが特徴的素晴らしい1本でした。
Newton Vineyard Skyside Chardonnay 2018 vs Unfiltered Chardonnay 2016
2020年11月6日
ジョン・コングスガードが開発したニュートン・ヴィンヤードの代名詞とも呼ぶべきアンフィルタードシリーズのシャルドネとレッドラベルシリーズのスカイサイドを近いヴィンテージで飲み比べます。
Newton Vineyard Skyside Chardonnay 2018
スカイサイドはオーク樽とステンレスタンクを組み合わせて発酵させているので樽のニュアンスがさほど強くない。パイナップルやゴールデンアップルの香りにアプリコットやジンジャーのニュアンスが取れ、若干クリーミーさが感じられる。味わいは甘みはソフトで酸味は爽やか。苦味は穏やか。
Newton Vineyard Unfiltered Chardonnay 2016
洋ナシやトロピカルフルーツの香りにヘーゼルナッツやバターのようなニュアンスが取れる。Skyside Chardonnay 2018と比べるとシッカリ樽が効いておりクリーミー。味わいは甘みはシッカリと感じられまろやかだが酸味は爽やか。苦味は非常に穏やか。
この2つのシャルドネは全く正反対のタイプに付き比較テイスティングが大きな意味を持ったと感じました。
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