カリフォルニアで初めて単一畑指定ワインをリリースし、3度行われた伝説の米仏ブラインドテイスティング対決「パリテイスティング」で9位、7位、3位と好成績を収めたセントヘレナの老舗ワイナリーHeitz Cellarハイツ・セラーが辿った栄光の軌跡をご紹介します。貴重なバックヴィンテージのワインテイスティングレポートもあわせてお届けします。
ハイツ・セラーについて
勢いに乗るハイツ・セラー
2000年12月16日ハイツ・セラーの創設者であるJoe Heitzが亡くなりました。享年81歳。ナパバレーのみならずカリフォルニア全体のワイン造りと生産の芸術と科学に対する彼の貢献はワイン業界と未来のワイン生産者に永続的な印象を残しました。Joe Heitz のワイン哲学は次の世代(息子と娘)に引き継がれました。
それでもハイツ・セラーの勢いは衰える事はありませんでした。
伝説の米仏ブラインドテイスティング対決パリテイスティングでの快挙
赤白10種の米仏ブラインドテイスティング対決 | |
1位.(米) Stag’s Leap Wine Cellars 1973 | |
2位.(仏) Chateau Mouton Rothschild 1970 | |
3位.(仏) Chateau Haut Brion 1970 | |
4位.(仏) Chateau Montrose 1970 | |
5位.(米) Ridge Monte Bello 1971 | |
6位.(仏) Chateau Leoville Las Cases 1971 | |
7位.(米) Mayacamas 1971 | |
8位.(米) Clos Du Val 1972 | |
9位.(米) Heitz Cellar 1970 | |
10位.(米) Freemark Abbey 1969 |
この結果に納得がいかなかった審査員達は10年後の1986年にリベンジマッチを申し出ました。その結果が以下です。
10年後の1986年にリベンジマッチ | |
1位.(米) Clos Du Val 1972 | |
2位.(米) Ridge Monte Bello 1971 | |
3位.(仏) Chateau Montrose 1970 | |
4位.(仏) Chateau Leoville Las Cases 1971 | |
5位.(仏) Chateau Mouton Rothschild 1970 | |
6位.(米) Stag’s Leap Wine Cellars 1973 | |
7位.(米) Heitz Cellar 1970 | |
8位.(米) Mayacamas 1971 | |
9位.(仏) Chateau Haut Brion 1970 |
またもやハイツ・セラーを含むカリフォルニア勢がフランスの名門ワイナリーを打ち負かしたのです。そして10年後の2006年に英国ロンドンとアメリカナパの2拠点同時開催で再々戦が行われました。結果は以下の通りハイツ・セラーを含むカリフォルニア勢が圧勝したのです。
10年後の2006年に英国ロンドンとアメリカナパの2拠点同時開催で再々戦 | |
1位.(米) Ridge Monte Bello 1971 | |
2位.(米) Stag’s Leap Wine Cellars 1973 | |
3位.(米) Heitz Cellar 1970 | |
4位.(米) Mayacamas 1971 | |
5位.(米) Clos Du Val 1972 | |
6位.(仏) Chateau Mouton Rothschild 1970 | |
7位.(仏) Chateau Montrose 1970 | |
8位.(仏) Chateau Haut Brion 1970 | |
9位.(仏) Chateau Leoville Las Cases 1971 |
こうしてハイツ・セラーはカリフォルニアのみならず世界レベルで不動の地位を築いていったのです。
※パリテイスティングの詳細はこちらの記事を参考
近年のハイツ・セラー
ワインテイスティングレポート
Heitz Cellar Martha’s Vineyard 1987 vs Bella Oaks Vineyard 1984 vs Trailside Vineyard 1991
2020年10月23日
ハイツ・セラーズではカベルネ・ソーヴィニョン、ソーヴィニョン・ブラン、シャルドネ、グリニョリーノ、ジンファンデル、ジンファンデル・ポートを生産しています。全体の生産量は年間4万ケース近くで、そのうち約2万5千ケースがカベルネ・ソーヴィニョンです。今回、当編集部では大変貴重なハイツ・セラーズ・シングルヴィンヤード3種のバックヴィンテージを入手しましたのでテイスティングレポートとしてお届けします。
Heitz Cellar Martha’s Vineyard 1987
1960年代初頭から続くTom MayとMartha Mayによってオークビルに設立された35エーカーのMartha’s Vineyardマーサズ・ヴィンヤードから調達し始めたカベルネ・ソーヴィニョン。このマーサズ・ヴィンヤードがカリフォルニアで初の単一畑指定ワインとなりました。
熟したプラムのような赤系果実と黒系果実の中間のようなニュアンスの中にミントやユーカリの香りがハッキリと取れる。また黒スグリの香りとスパイシーで鉛筆の芯を連想させるニュアンスが取れる。味わいは甘みはさほど強くなくソフト。酸味は比較的シッカリと残っており、タンニンはこのヴィンテージでもハッキリと感じられる。独特のミントのニュアンスがとても印象的でした。
Heitz Cellar Bella Oaks Vineyard 1984
1976年に偉大なワイン愛好家として知られるBarney RhodesとBelle Rhodesがラザフォードに所有する17エーカーの畑Bella Oaksベラ・オークスから調達し始めたカベルネ・ソーヴィニョン。このベラ・オークスはマーサズに続き2番目のシングルヴィンヤード(単一畑)となります。
ブラックチェリーや黒スグリの香りの中にややスモーキーなニュアンスが取れる。また、やや湿った土のニュアンスもある。味わいは甘みはさほど強くなくソフト。酸味は非常にシッカリと残っており、タンニンは溶け込んでいる印象。強い酸味がとても印象的でした。
Heitz Cellar Trailside Vineyard 1991
1984年にSilverado TrailとConn Creekの間に位置する85エーカーのTrailside Vineyardを取得し、この畑から収穫されたカベルネ・ソーヴィニョン。ブドウ畑の各ブロックは別々に発酵および熟成され、ワインメーカーが最適な樽を選定して造られます。
ブラックチェリーや黒スグリの香りの中にブラックペッパーのような非常にスパイシーなニュアンスが取れる。また、タバコや葉巻のようなニュアンスも取れる。味わいは甘みはさほど強くなくソフト。酸味は非常にシッカリと残っており、タンニンは溶け込んでいる印象。ブラックペッパーのようなスパイシーなニュアンスがとても印象的でした。
3つのハイツ・セラー・シングルヴィンヤードのテイスティングを通していずも甘さ控えめで酸がシッカリとしているという点で共通している印象を受けました。どれもかなりハイレベルな味わいですが、玄人向けと思われるHeitz Cellar Martha’s Vineyard 1987が当編集部では高評価でした。
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