1875年にドイツからの移民Jacob Beringerと兄Frederick BeringerがSt Helenaで設立したカリフォルニア・ナパバレー最古のワイナリーの1つBeringer Vineyardsベリンジャー・ヴィンヤーズの歴史と栄光の軌跡をご紹介します。希少なバックヴィンテージのワインテイスティングレポートもあわせてお届けします。
ベリンジャー・ヴィンヤーズの歴史
2000年にはオーストラリア最大の醸造会社Foster’s Brewing Groupの子会社でワイン、ブランデー、スピリッツの製造を手掛けるMildara Blassがベリンジャー・ヴィンヤーズを購入。これに伴いベリンジャー・ヴィンヤーズはベリンジャー・ブラス(Beringer Blass)に改名しました。そして2003年1月1日から日本の飲料会社サッポロがベリンジャー・ヴィンヤーズと販売契約を締結します。
このようにベリンジャー・ヴィンヤーズは1971年に売却されて以来、目まぐるしく所有者が変わるといった運命を辿っています。
Foster’s Brewing Groupに買収される前は高収益を上げていたベリンジャー・ヴィンヤーズですが、この後も所有権移転劇は続き、経営が悪化していきます。
2011年になるとFoster’s Brewing Groupはワイン事業を分離しTreasury Wine Estatesを設立するも世界最大規模の飲料会社SABMillerに買収されます。更に2016年には世界50カ国以上に製造拠点を持つ酒類メーカーAnheuser-Busch InBev N.V.がSABMillerの全株式を取得しSABMiller社は法人としての機能を停止。Foster’s Brewing GroupはAnheuser-Busch InBev N.V.の直接子会社となりました。
結局2000年のBeringer Blassへの所有権移転以来、ベリンジャー・ヴィンヤーズはBeringer Blass傘下のまま運営されています。※以降の所有権移転劇は親会社が変わっているだけ
今やどこでも見かける程、流通しているベリンジャー・ヴィンヤーズには複雑な歴史があったのです。
ベリンジャー・ヴィンヤーズが獲得した数々の栄誉
所有・管理する畑一覧
Knights ValleyナイツバレーAVA
ベリンジャー・ヴィンヤーズでは1960年代にソノマ郡の北東に位置するKnights Valleyナイツバレーに畑を所有しています。この土地は火山性の水はけの良い土壌が特徴で1983年にAVA(American Viticultural Area)に認定されました。高品質なカベルネ・ソーヴィニヨンとソーヴィニヨンブランが栽培されます。
Saint HelenaセントヘレナAVA
Howell MountainハウエルマウンテンAVA
その他のナパAVA
ベリンジャー・ヴィンヤーズが保有・管理する畑は上記の他にもオークビルのGAMBLE RANCH VINEYARD、オークノールのBIG RANCH ROAD VINEYARD、マウントヴィーダーのLAMPYRIDAE VINEYARD、スプリングマウンテンのMARSTON RANCH VINEYARD、カーネロスのSTANLY RANCH VINEYARD、ヨントビルのYOUNTVILLE VINEYARDがあります。
Beringer Vineyradsベリンジャー・ヴィンヤーズでおすすめのワイン5選
セブンイレブンで買える!
2019年よりセブン&アイ・ホールディングスはアメリカ及びオーストラリアの名門ワイナリーとコラボしたセブンプレミアムのワイン5種を発売しました。価格は全て880円(税込950円)と非常にリーズナブルです。
ラインナップはカリフォルニアからRobert Mondavi Winery(ロバート・モンダヴィ・ワイナリー)、Beringer Vineyardsベリンジャー・ヴィンヤーズ、南オーストラリア州のワイン名産地バロッサ・バレーからWolf Blass Winesウルフ・ブラス・ワインズの3ワイナリー5種となります。
Beringer Vineyardsベリンジャー・ヴィンヤーズからは以下の2種が発売されています。価格は全て880円(税込950円)均一と非常にリーズナブル。
ベリンジャー コメモラティブ・コレクション メルロー 750ml(赤)
品種は黒ブドウのメルロー。濃縮した色合いで一見パワフルな印象があるがやわらかくて丸みを帯びたふくよかな味わいが特徴の品種です。
シッカリと脂がのった肉料理よりもあっさりした肉料理全般に合わせると良い場合が多いです。酢豚、焼き鳥(タレ)、唐揚げ、すき焼き 等。
ベリンジャー コメモラティブ・コレクション ピノ・グリージョ 750ml(白)
品種は白ブドウのピノ・グリージョ。洋ナシやハチミツのような華やかな香りがありながら上品な酸が続くのが特徴の品種です。
豚肉や鴨肉のようなライトな肉に合いますが、酸によるミネラル感があるので魚介料理にもピッタリです。中華料理やエスニック料理と合わせても抜群の万能タイプの品種です。
Beringer Vineyardsベリンジャー・ヴィンヤーズのクオリティで且つメルロー、ピノ・グリージョといった幅広く料理に合わせられる品種のワインが近くのセブンイレブンで880円(税込950円)で買えるのは非常にうれしいですね!
ワインテイスティングレポート
Beringer Chardonnay Private Reserve 2017 vs Napa Valley 2017 vs Fouder’s Estate 2017
2020年10月12日
シャルドネ・プライベート・リザーブ 2017
パイナップルやマンゴーのような香りの中にヘーゼルナッツのニュアンスが取れる。味わいは思いの外甘さは強くなくソフトで酸味はシッカリとしていて爽やか。苦味は非常に穏やかな印象。香りの華やかさからは想像できないようなエレガントな味わいでした。
シャルドネ・ナパバレー 2017
洋ナシのような香りの中に蜂蜜やヴァニラのニュアンスが取れる。味わいは思いの外甘さは強くなくソフトで酸味はシッカリとしていて爽やか。苦味は非常に穏やかな印象。
こちらもプライベート・リザーブ同様思いの外エレガントな印象だがプライベート・リザーブの方が味わいがリッチでした。
シャルドネ・ファウンダース・エステート 2017
トロピカルフルーツやパッションフルーツの中に若干の貝殻や石灰のニュアンスがある。味わいは思いの外甘さは強くなくソフトで酸味はシッカリとしていて爽やか。苦味は非常に穏やかな印象。
今回3つのシャルドネをテイスティングした中で共通していたのがどれも甘過ぎず酸がエレガントであるという点。これに加えてプライベート・リザーブは非常にリッチでファウンダーズ・エステートは非常にミネラリーという特徴がありました。価格比は5:3:2位ですがどれも優劣をつけるのが難しい位完成度が高いワインでした。
Beringer Cabernet Sauvignon Private Reserve 1993 vs Knights Valley 2016 vs Fouder’s Estate 2018
2020年10月12日
カベルネ・ソーヴィニヨン・プライベート・リザーブ 1993
ブラックベリーやブラックチェリーのような濃縮した黒系果実の香りがあり、杉や針葉樹、林床といった植物的なニュアンスもはっきり取れる。また、ややスモーキーで黒スグリの香りが際立つ。味わいは甘みは控えめでソフト。酸味は比較的シッカリとしておりタンニンはこのヴィンテージでもハッキリと感じられ収斂性がある。
カベルネ・ソーヴィニヨン・ナイツ・バレー 2016
カベルネ・ソーヴィニョン88%、カベルネフラン5%、メルロー5%、プチ・ヴェルド2%をブレンドしたこのワインはブラックチェリーののような甘い濃縮感のある香りの中にコーヒーやシナモンのニュアンスが取れる。味わいは甘みは豊かで酸味には円みがある。タンニンはシッカリとしており収斂性がある。これぞナパバレーのカベルネ!といった印象で「甘くて濃い」ワイン。
カベルネ・ソーヴィニヨン・ファウンダース・エステート 2018
色合いが他の2つに比べて圧倒的に明るく、香りはラズベリーやカシスのような赤系果実寄り。赤スグリのような明るい印象も取れる。味わいは甘さは控えめでソフト。酸味は比較的シッカリとしておりタンニンは強くはないがカベルネ・ソーヴィニョン特有の収斂性のある渋み。
3つのテイスティングを通してカベルネ・ソーヴィニヨン・プライベート・リザーブ 1993は熟成している事もありダントツのクオリティ。印象的だったのはカベルネ・ソーヴィニヨン・ファウンダース・エステート 2018が非常にバランスが良くとても1000円台で買えるワインとは思えぬ出来栄えだった事です。
ベリンジャー・ヴィンヤーズは1000円台からどこでも購入出来てこのクオリティを発揮するのは素晴らしいとしか言いようがないですね。
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