ロバート・モンダヴィはカリフォルニアワイン産業の黎明期に多くのプレミアムワインの開発に成功し礎を築きました。また、フランス・ボルドー地方の五大シャトーの1つシャトー・ムートンと提携してカリフォルニアの地でオーパス・ワンをリリースし、カリフォルニアワインを世界的に普及させました。
ここではカリフォルニアワインの父と呼ばれるロバート・モンダヴィが、1966年にNapa ValleyのOakvilleに設立したRobert Mondavi Wineryロバート・モンダヴィ・ワイナリーの歴史と栄光の軌跡をご紹介します。
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーについて
イタリア・マルケ地方からアメリカへ移住した両親を持つ
Robert Gerald Mondaviロバート・ジェラルド・モンダヴィは、1913年にミネソタ州のバージニアで生まれました。その後カリフォルニアのLodiへ移住したモンダヴィ一家はMondavi and Sonsという社名で果物の梱包事業を成功させ、ワイン用のブドウも取り扱っていました。
順調に業績を伸ばしたMondavi and Sonsは1943年に伝統あるCharles Krug Wineryを買収します。
一方、ロバート・モンダヴィは1937年にスタンフォード大学で経済学と経営学の学位を取得すると家業であるMondavi and Sonsに参画します。ところが1965年になると、以前買収したCharles Krug Wineryの経営方針を巡って弟Peter Mondaviピーター・モンダヴィと対立し、家族経営のMondavi and Sonsを離れます。
そして翌年1966年に自身の名前のブランドRobert Mondavi Wineryロバート・モンダヴィ・ワイナリーをナパ郡オークビルで立ち上げます。2人の息子のうち長男のMichaelがマーケティングと販売を、次男のTimがワインメーカーを、娘のMarciaが研究室を担当します。畑は1868年から続く世界的に評価されたTo Kalon Vineyardの一部を取得しました。
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーでは当初から慈善活動や支援活動にも力を入れていました。
1969年にはMargrit Mondavi Summer Concert Seriesというチャリティーコンサートを開催しています。このコンサートは世界的に有名なアーティストをロバート・モンダヴィ・ワイナリーの中庭に招いて行われ、以来毎年開催されています。
1981年には今や世界で最も有名なチャリティーワインイベントとなったNapa Valley Wine Auctionの立ち上げに参画。初代の議長を務めました。このチャリティーイベントでは毎年数百万ドルが地元の慈善団体に寄付されています。また、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーでは2002年にカリフォルに大学デイビス校内に芸術を支援する為の施設建設費用として1,000万ドルを寄付し、The Robert and Margrit Mondavi Center for the Performing Artsを設立。
更に同大学内に2,500万ドルを寄付し、ワイン、醸造、食品科学の理解を深める為の支援施設Robert Mondavi Institute for Wine and Food Scienceを設立しています。
勢いに乗るロバート・モンダヴィ・ワイナリー
1979年、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーが軌道に乗ると、地元Lodiのブドウ生産者協同組合を買収し、毎日飲む事が出来るリーズナブルな価格のワインに焦点を当てた別ブランド
Woodbridge By Robert Mondaviウッドブリッジ・バイ・ロバート・モンダヴィを立ち上げます。
ブランドの名前は近くの町の名前に因んで名付けられました。
同年1979年には、フランス・ボルドー地方の五大シャトーの1つ
Chateau Mouton RothschildのBaron Philippe de Rothschildとジョイントベンチャーを始動させます。
このプロジェクトはフランス・ボルドー地方の伝統とアメリカ・ナパバレーの革新を組み合わせ、ナパバレーの地で世界クラスのワインを造る事を目的とし、「Opus Oneオーパス・ワン」と名付けられました。
※オーパス・ワンの詳細はこちらの記事を参考
これまでワイン事業を勢いよく進めてきたロバート・モンダヴィは2001年3月にワイナリー施設の大規模な改修工事を完了し、新しいロバート・モンダヴィ・ワイナリーを完成させます。これにより最先端のセラーが完成し、訪問者の為のビジタープログラムが拡充されました。ロバート・モンダヴィ・ワイナリーの勢いは止まりません。
売却から新たな道へ進むロバート・モンダヴィ・ワイナリー
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーの運営会社であるRobert Mondavi Corp.はワイン事業を飛躍的に拡大させ1993年に上場します。しかし、これを機に急展開を迎える事になります。
アメリカ経済が低迷する中で高級ワインの需要が鈍化。更にブドウの過剰供給が激しい価格競争と新しいブランドの急増を引き起こし、売上が激減したロバート・モンダヴィ・ワイナリーは、2003年時点で従業員の1割をリストラする事を発表しました。
そして
2004年になるとロバート・モンダヴィ・ワイナリーをConstellation Brandsへ売却する事になります。Constellation Brandsはニューヨークに拠点を置く国際的な酒類販売会社で、広大な流通ネットワークを保有しています。
代表的なアルコール飲料にCorona Extra、Schrader、SIMI等があります。この売却にはセカンドラインのWoodbridge By Robert Mondaviウッドブリッジ・バイ・ロバート・モンダヴィも含まれます。
運営会社を売却したロバート・モンダヴィは2005年に息子Tim Mondavi、娘Marcia Mondaviと共に新ブランドContinuum Estateを立ち上げます。
Continuum Estateはモンダヴィ家が数十年の経験に基づいて辿り着いた「手作りの超小規模生産」「カベルネブレンドの1種に集中」というポリシーで運営されています。全てを失ったモンダヴィ家の再出発が始まりました。
また、同年2005年には創業前に不仲となった弟Peter Mondaviと和解します。2人は「再び」の意を表すAncora Una Voltaという名前のワインを共同で生産しNapa Valley Wine Auctionに出品。40万ドルの値が付けられました。
2008年5月16日午前9時、ロバート・モンダヴィはYountvilleの自宅で亡くなりました。享年94歳。ロバート・モンダヴィはナパバレーのワインが世界クラスのワインである事を世界中に知らしめた立役者でした。そして人々はロバート・モンダヴィを「カリフォルニアワインの父」と呼ぶようになりました。ロバート・モンダヴィがワインに注いだ情熱は国を超えて広がり、世界中のワイン生産者がその功績を讃えています。
また、2016年には妻のMargrit MondaviがCoombsvilleで亡くなりました。享年91歳。
現在、モンダヴィ家はRobert Mondaviと妻Margrit Mondaviの遺志を継いで息子Tim Mondaviを中心に娘Marcia Mondavi、4人の孫がContinuum Estateの運営に参画し、Robert Mondaviと妻Margrit Mondaviの遺志を受け継いでいます。
Tim Mondavi with children Carissa, Dante, sister Marcia Mondavi Borger, Carlo and Chiara
参照元:winefashionista.com
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーでおすすめのワイン5選
現在、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーでは赤ワインがカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、ピノノワール、メルロー、白ワインがシャルドネ、フュメ・ブラン、モスカート、ソーヴィニョン・ブランをリリースしています。ここではロバート・モンダヴィ・ワイナリーがリリースするワインで特におすすめの5ワインをご紹介します。
カベルネ・ソーヴィニョン リザーブ
正式名称はReserve To Kalon Vineyard Cabernet Sauvignon Oakville Napa Valley。ロバート・モンダヴィが1966年にオークビル西部の伝説の畑To Kalonヴィンヤードを取得し、この畑の特別な区画から厳選されたブドウで造られたワインです。
品種はカベルネ・ソーヴィニョン。また、カベルネ・ソーヴィニョンはロバート・モンダヴィ・ワイナリーのフラッグシップワインでもあります。
※各畑の特別な区画から厳選されたブドウで造られるワインにはReserveの称号が付けられます。
シャルドネ リザーブ
正式名称はReserve Chardonnay CARNEROS Napa Valley。冷たい海洋の影響を受けるカーネロス南部地域で育ったシャルドネから造られるロバート・モンダヴィ・シャルドネ・リザーブは果実味豊かで且つエレガントなワインを実現します。
1997年に開催された欧州の専門家が7ヶ国27種のシャルドネをテイスティングで評価するGrand European Jury Wine Tastingでロバート・モンダヴィ・シャルドネ・リザーブが堂々の1位に輝きました。
フュメ・ブラン リザーブ
正式名称はReserve To Kalon Vineyard FUMÉ BLANC Napa Valley。ロバート・モンダヴィが1966年にオークビル西部の伝説の畑To Kalonヴィンヤードを取得し、この畑の特別な区画から厳選されたブドウで造られたワインです。
品種はソーヴィニョン・ブランで、少量のセミヨンがブレンドされます。この畑からは豊かで複雑な風味を持つ成熟したソーヴィニョン・ブランが収穫され、ナパバレーで最初の高品質ソーヴィニョン・ブランとして知られています。
プライベートセレクション
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーでは本拠地であるノースコースト・ナパバレーの他にセントラルコーストのブドウから造られるロバート・モンダヴィ・プライベートセレクションをリリースしています。
このワインは太平洋からの海風の影響を受けた冷涼な地域から収穫されるブドウで造られ、取り扱い品種はカベルネ・ソーヴィニョン、ピノノワール、ジンファンデル、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、ピノ・グリージョです。価格は1,000円台、2,000円台が中心となっており、高いものでも3,000円未満で購入できるので大変お手頃です。
ウッドブリッジ
1979年にロバート・モンダヴィが日常的に飲める高品質なワインを追求する目的でウッドブリッジ・バイ・ロバート・モンダヴィWoodbridge By Robert Mondaviを、幼少期を過ごしたカリフォルニア州のロディに設立しました。ロバート・モンダヴィはこの地域が手頃な価格で高品質のワインを生産できるワイン用ブドウの栽培に最適である事を知っていました。
取り扱い品種はカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、シャルドネ、マルベック、モスカート、ピノ・グリージョ、ピノノワール、リースリング、ソーヴィニョン・ブラン、ホワイトジンファンデル、ジンファンデルです。価格は1,000円以内で買えるものが多く、こちらも大変お手頃です。
セブンイレブンで買える!
日本国内におけるコンビニエンスストア最多のセブンイレブンでお馴染みセブン&アイ・ホールディングスが2019年4月9日からアメリカのロバート・モンダヴィ、ベリンジャー及びオーストラリアのウルフ・ブラスの3ワイナリーと提携し、プライベートブランド「セブンプレミアム」として発売を開始しました。
ラインナップは3ブランドで5種類のワインとなっており、価格は全て880円(税込950円)と非常にお手頃です。
左からロバート・モンダヴィ ツインオークス カベルネ・ソーヴィニヨン、ロバート・モンダヴィ ツインオークス シャルドネ、ベリンジャー コメモラティブ・コレクション メルロー、ベリンジャー コメモラティブ・コレクション ピノ・グリージョ、ウルフ・ブラス ヴィンヤーズ・リリース シラーズ
参照元:7andi.com
ロバート・モンダヴィ ツインオークス カベルネ・ソーヴィニョン(赤)
ロバート・モンダヴィ・ワインリーとのコラボで品種カベルネ・ソーヴィニョンから造られるこのワインは特に肉料理全般(牛肉や羊肉)との相性が抜群です。BBQに持参するにはピッタリですね!
ロバート・モンダヴィ ツインオークス シャルドネ(白)
ロバート・モンダヴィ・ワインリーとのコラボで品種シャルドネから造られるこのワインはチキンのグリルや焼き鳥の塩、グラタン、ムニエルとの相性が抜群です。
もちろんカリフォルニアワインの父「ロバート・モンダヴィ」の作品ですので、そのまま飲んでも十分楽しめると思います。その他のラインナップにはベリンジャー コメモラティブ・コレクション メルロー(赤)、ベリンジャー コメモラティブ・コレクション ピノ・グリージョ(白)、ウルフ・ブラス ヴィンヤーズ・リリース シラーズ(赤)があります。
このように我々の生活に身近なセブンイレブンでロバート・モンダヴィをはじめとする上質なワインが安価で手軽に楽しめます。
「ロバート・モンダヴィ」 ワインテイスティング・レポート
Robert Mondavi Cabernet Sauvignon Reserve 1999 vs To Kalon Vineyard 1999
2020年8月27日
Cabernet Sauvignon Reserveの色合いはほぼ黒に近く見るからに凝縮感がありそう。ブラックベリー、ブラックチェリーのような凝縮した黒系果実の香りがあり、カベルネ・ソーヴィニョン特有の杉や針葉樹のような独特の香りもある。
味わいは酸味は殆ど感じられず、甘い印象が強い。後味には舌にいつまでも残る渋味がある。これもカベルネ・ソーヴィニョン特有の特徴。簡単に言うと濃くて甘い!専門的なテイスティングコメントでは『味わいは甘みはまろやかで、酸味はなめらか。タンニンは収斂性がある。』と表現する。
To Kalon Vineyardの方は熟成の印象がハッキリと出ており、干しプラムのような印象を受ける。更に埃っぽさ、枯れ葉っぽさを感じる香り。テイスティングコメント的には『スモーキーでタバコや葉巻のニュアンス』。カベルネ・ソーヴィニョン特有の杉や針葉樹の香りは弱め。
味わいは甘みは控えめで酸がシッカリと残っており、渋味(タンニン)はやわらかい印象。テイスティングコメント的には『タンニンは溶け込んでいる印象』と表現。ナパバレーの歴史ある伝説の畑だけあってエレガント且つ複雑で別格に美味いですね!
2つのテイスティングを通して、予算があればフラッグシップであるTo Kalon Vineyardの方を強くおすすめします!
Robert Mondavi Chardonnay Reserve 2014
2020年8月27日
香りは太陽をたくさん浴びたカリフォルニアのシャルドネ特有のパイナップルやトロピカルフルーツの強い香りがあり、その中にバターやトーストの香りも取れる。これは俗に言う「樽が効いている」というもので、焼いた樽の風味がワインに反映されている。
味わいはやや甘さが強いが酸味もシッカリあるので飲みやすい。苦味は穏やか。テイスティングコメント的には『甘みはまろやかで酸味は爽やか。苦味は穏やか』と表現。華やかで誰が飲んでも美味しいと感じられる見事なワインでした!
Woodbridge By Robert Mondavi Cabernet Sauvignon 2016
2020年8月27日
まずロバート・モンダヴィのカベルネ・ソーヴィニョンと異なり、色が明るい。香りはブラックチェリーやブラックベリーというよりも、もっと赤くライトなカシスの印象。味わいは甘みが強く酸味は弱い。苦味(タンニン)も控えめ。
これだけ華やかな強い香りで、甘みが強く苦味が弱いとワイン初心者には受け入れられやすいと思いますね。誰が飲んでも分かりやすい美味さがあります。
しかもコルクで栓がしてないタイプ(スクリューキャップ)なので、簡単に開け閉めが出来る。品種的には肉との相性が抜群なのでBBQに持参すると皆に一目置かれるかもしれませんね!何とこのワインは1,000円未満で買えてしまう驚異のコスパ!
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