西側には太平洋、東側にはサンフランシスコ湾という2つの冷却源を持つ独特な土地、サンタクルーズ・マウンテン(Santa Cruz Mountain AVA)において、世界レベルのエレガントなピノノワールとシャルドネを造りだすRhys Vineyardsの栄光の軌跡をお届けします。シリコンバレーの起業家であった創設者ケビン・ハーベイの徹底したワイン哲学をご覧ください!
リース・ヴィンヤードについて
創設者ケビン・ハーベイ(Kevin Harvey)は、名門ライス大学を卒業した後、27歳の時にシリコンバレーにある自身のソフトウェア開発会社を大手ロータス社に売却し、その後、米国の名門ベンチャーキャピタル「ベンチマーク・キャピタル」を友人と共同で立ち上げた輝かしい経歴の持ち主です。
ハーベイは1990年ヴィンテージのGary Farrell(ゲイリー・ファレル)、Williams Selyem(ウィリアムズ・セリエム)、Rochioli Vineyard & Winery(ロキオリ・ヴィンヤーズ・アンド・ワイナリー)のピノノワールを飲んで強く感銘を受けました。そこから1993年及び1995年ヴィンテージのブルゴーニュ・ピノノワールに目を向け始め、
大のブルゴーニュファンになりました。
このような経験から1995年にカリフォルニア州ウッドサイドの裏庭に、1/4エーカー程の小さなピノノワールブドウ園を造りました。これはリースの最初の畑で、後にホーム・ヴィンヤード(Home Vineyard)と名付けられました。ハーベイは、いつしかロシアン・リバー・バレーやソノマコーストに、ブドウ園を所有する事を夢見るようになっていました。ちなみに、Rhysの名前は本名Kevin Reese Harveyの「Reese」に由来するそうです。
ある日、サンタクルーズ・マウンテンのマウント・エデンがリリースするシャルドネとピノノワールを飲んだ時、サンタクルーズ・マウンテンの土地が、地震活動の影響によって地表に押し出された、カリフォルニアで数少ない場所の1つである事を知りました。
ハーベイは「世界の名だたるワインブドウは岩の上で栽培されている」と気付き、サンタクルーズ・マウンテンの自宅からすぐ上の岩だらけの土地に目を付けます。
探求心が強く、フロンティア精神旺盛なハーベイは、徹底的に地質を研究し、気候までも解析しました。その結果、東のサンフランシスコ湾と西の太平洋の間に位置する、サンタクルーズ・マウンテンの岩だらけの痩せた土壌は、多くのブルゴーニュを生み出すブドウ園に似ており、ブルゴーニュワインには多く見られ、カリフォルニアワインにはあまり見られない「ミネラル」を持つエレガントなワインが造れると確信しました。
ハーベイが発見したこのサンタクルーズ・マウンテンは、夏はブルゴーニュよりも涼しく、秋はブルゴーニュよりも暖かいという特徴がある事もわかりました。
そして、2001年から2003年の間に、サンタクルーズ・マウンテンで「異なる土壌」、「向き」、「微気候」の観点から厳選した4つの土地にブドウを植え始めます。
最初の畑はアルパイン・ロード(Alpine Road)と名付けられ、1200~1400フィートの標高にある非常に急勾配な場所に造られました。
2つ目は、2003年に400フィートの標高に6エーカーのファミリー・ファーム(Family Farm)を造ります。
そして、3つ目は、2004年に1600フィートという高い標高の地にホース・シュー・ランチ(Horse Shoe Ranch)を造ります。
4つ目は、2400フィートという最も標高の高い地にスカイライン(Skyline)という畑を造ります。
ワインは2005年まで、ハーベイのガレージで小規模に造られていました。その後、カリフォルニア州サンマテオ郡のサンカルロス工業団地に2年間入居し、2008年には4つ目の畑スカイライン(Skyline)に隣接する丘の中腹にトンネルを掘り、30,000平方フィートのワイナリーを建設しました。
新境地Anderson Valleyで始動した新プロジェクト
2008年にハーベイはRhysで新プロジェクトを開始します。North Coastの最北端Mendocino AVAにある非常に冷涼なAnderson Valleyの地に、新たな可能性を見出します。
標高900~2,000フィートあたりにあり、谷の奥深くに位置するこのブドウ園は、とても大きな可能性を秘めていました。活力を制限する浅い土壌、深く割れた岩石の下層土は、ブドウの根が深く浸透する事を可能にし、適度な粘土含有量で鉄分豊富な土壌という条件も相まって、非常にエレガントなワインが造られたのです。
このリース6番目の畑は
ベアワロー・ヴィンヤード(Bearwallow Vineyard)と名付けられました。
Rhys Vinyardsが展開する7つのEstate Vinyards
リースでは、サンタクルーズ・マウンテンに6つ、アンダーソン・バレーに1つ、合計7つのエステート・ヴィンヤード(自社畑)を保有しています。
ホーム・ヴィンヤード(Home Vinyarad)
2エーカー未満の小さな土地で、ファミリー・ファームと同じ涼しい気候を有します。ファミリー・ファームと同様に、さまざまなクローンが植えられています。
参照元:rhysvineyards.com
アルパイン・ロード(Alpine Road)
標高は1490フィートの高さで、40%もの急勾配にある畑です。ホースシューからそれほど遠くありませんが、ホースシューよりも少し温暖な気候です。
参照元:rhysvineyards.com
ファミリー・ファーム(Family Farm)
2003年に造られた標高400フィートにある6エーカーの土地で、リースが所有していない唯一のブドウ園であり、現在スタンフォード大学から貸し出されています。
参照元:rhysvineyards.com
ホース・シュー・ランチ(Horse Shoe Ranch)
2004年に造られた標高1600フィートという高さに位置する土地で、急な傾斜にある畑では、強烈なミネラルの風味を持つ厳格なワインを生産しています。
参照元:rhysvineyards.com
スカイライン(Skyline)
標高2,360フィートに位置し、天候は涼しい傾向にありますが、通常ブドウ畑は霧の上にあります。日中はあまり暑くはありませんが、夜は比較的暖かく保たれます。鉄分を多く含む非常に岩の多い土壌です。
参照元:rhysvineyards.com
パジャロ(Pajaro)
サンタクルーズ・マウンテンのはるか南に位置する新しい畑、「パジャロ・ヴィンヤード」は非常にエレガントで、強烈なミネラルを有するワインを生み出します。
参照元:twitter.com
新ブランドAlesiaアレシア
2004年、ハーベイはゼネラルマネージャーのジャーディンJardine(元Domaine Sereneスタッフ)、ワインメーカーのブリンクマンBrinkman(元Husch Vinyardsのワインメーカー)と共に、ソノマコーストの買いブドウ(主にピノノワール、若干のシラー)から生産する、
「Alesiaアリージア」というセカンドラベルのブランドを立ち上げました。このシリーズは熟成を待たずとも早飲み可能なタイプでした。
しかしながら、当時は一定の基準に満たないセカンド的な位置づけであったため、2008年の収穫後に実質休止となりました。ところが、2016年からは買いブドウの使用を止め、Rhysのエステートブドウ園の中から選定したブドウを使うようになったため、「Alesia」とラベル付けされたワインは、Rhysのワイナリーでまったく同じように扱われ、セカンド的な位置づけでは無くなっているようです。
2015年にRhys Vineyardsが犯した過ち
リース・ヴィンヤードは2015年メンドシーノ郡北端のクラークランチに、
4,591エーカーのブドウ園を造るプロジェクト(Clarke Vineyard Project)の一環として、ブドウ園を建設する際に、小川や湿地を土で埋め、道路を不適切に建設し、野生生物の生息地を破壊したとして、州法および連邦法に基づき、「灌漑池の建設に関連する罰金として約1,700,000ドル」、「環境修復プロジェクトのための資金として、さらに1,770,000万ドル」、「州魚類野生生物局の汚染対策および生息地回復基金のための216,000ドル」
合計約3,700,000万ドルを支払う事になり、これに合意しました。
ハーベイは、弁護士のティナ・ウォリスを通じて「Rhys Vineyards LLCは、犯した過ちを深く後悔しています。
この問題を解決し合意に達するために関係した各機関に感謝したい」との声明を発表。
また、「Rhys Vineyardsは残りの土地を保護する事にコミットします」と続けています。
ケビン・ハーベイ(Kevin Harvey)の現在
探求心に満ち溢れ、紆余曲折ありながらもカリフォルニアワインに新しい風を吹かせた新星ケビン・ハーベイ(Kevin Harvey)は、エレガントなスタイルのワイン造りを理念に、今も新たな可能性を求めてカリフォルニアでブドウ園用の土地を探し求めているそうです。
テイスティング・レポート
Rhys Pinot Noir Home Vineyard 2011
2019年12月8日
リース・ホーム・ヴィンヤードは、1995年最初にブドウが植えられた畑です。外観は熟成による変化がほぼ見受けられない。
香りはブラックベリーやシナモンの香りがあり、軽くスモーキーなのが特徴的。味わいは、果実味が豊かで良い意味で8年の熟成を感じさせない。
きめ細かいタンニンがあり、余韻が長くエレガント。カリフォルニア版エレガントワインといった印象を受け、まだまだ熟成によって良さが引き出せると感じました。
Rhys Horseshoe Vineyard Chardonnay 2012
2020年3月17日
レモンライムや青リンゴの柑橘類の香りが強く、開いてくると微かにバターのニュアンスがある。
貝殻のようなミネラルとヨード感が特徴的。甘みはソフトで酸味は非常にシッカリしており、細く長く続く。
到底、ニューワールドのシャルドネとは思えない程のエレガントな仕上がりで、ブラインドだとブルゴーニュのグランクリュクラスのシャルドネと区別がつかない程。
当編集部では非常に高評価でした!
リース ピノノワール ホースシュー ヴィンヤード 2013の購入はこちら
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